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2008年12月7日

2008.12.07

中小企業にとってのSaaS

3年ほど前からSaaS(Software As A Service)という言葉が聞こえるようになった。
しかし、大企業はともかく、中小企業の中では、その認知度は低いようである。
本稿では、中小企業での活用を図ってもらうための導入のポイントを少し述べたいと思います。

■SaaSとは
ユーザがソフトウェアを自社のシステムに導入して使用するのではなく、外部のサービス・プロバイダーのシステムに導入されたソフトウェアの機能をネットワーク経由で利用するビジネスモデルであり、アウトソーシング形態の1つである。
現状では、営業関連、財務会計関連、情報共有関連が多くサービスされている。
その特徴
①情報化投資が削減できる
②ユーザ業務に合したカスタマイズが可能
③既存のソフトウェアとの連携が可能

90年代に脚光を浴びたASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)と大きく異なるのは、自社業務に沿ったカスタマイズがかなりできる点と高速ネットの発展によるストレスのない操作性であろうか。
しかし、最近言われているPaaS(Platform As A Service)が深化をすれば、有効な他社のアプリケーションの利活用や従来現場でEXCELなどで作成されていた現場情報資産の大幅な活用が図られ、費用対効果では大きな効果を生むのではと思う。

■中小企業への導入
中小企業への導入は進んでいない。私の関係する企業さんへのアンケートでも、導入企業は40社中1社である。
その理由では、
・カスタマイズへの不安
・費用効果の不透明さ
・セキュリティへの不安
・パフォーマンスへの不安

しかし、SaaS導入で極めて高い実績を上げている会社も出ている。
・社員9名ほどの工事会社様は、携帯電話との連動による顧客対応の迅速性、各工事に対する利益管理の徹底などで、3割以上の利益アップを図っており、画面作りも社長が数ヶ月をかけて実施。
・社員20名ほどのねじの会社は、商談の徹底管理とパートのメンバーも含めた情報の共有化の深化により、これも、3割以上の利益アップ。

いずれの場合も、共通しているのは、経営者のトップダウンによる導入である。
これは、SaaSサービス会社のメンバーに聞いても、SaaSの導入効果を出すのは、多くの場合、経営トップの積極的な対応がある企業とのこと。
情報化となると現場に任せる傾向の強い中小企業経営者の対応が「中小企業でのSaaS導入が進まない」大きな要因ではないかと思う。

■更なる導入に向けて
導入を促進するには、導入費用の適正判断と自社業務の見直しがポイントとなる。
①費用について
多くのSaaSサービス会社は月額で1IDで10,000円/月程度である。経済産業省の調査では、多くの企業の想定費用は5500円/月とのこと。
「ちょっと高い」という意見もあるが、年間で100万円前後の費用と先ほどの事例のような大幅な利益拡大の業績アップの可能性を考えた場合、どうするか?積極的な経営判断をする経営者であれば、自ずと解は出ているのでは。

ある試算では、50IDの企業であれば、5年後の累積費用は、自社開発より45%ほど安くなるとのこと。しかし、300IDでは5年後の累積費用は20%ほどSaaSでの費用の方が高くなるという。
400、500人規模の企業では、5年間をベースとした費用のシミュレーションが必要となる。

②導入に向けて
多くの中小企業では、全社業務プロセス、フローが十分把握されているとは言えない。
以下のポイントでの推進が必要である。
・まずは、戦略的な対応であること認識
・業務プロセスの見える化の推進
・ITスキルアップ
・投資効果の明確化
・セキュリティへの対応アップ

③SaaSサービス会社選定について
最近は、多くのサービス会社がSaaS提供をしており、以下のポイントでの選定が必要である。
・業務機能の豊富さ
・現場での使いやすさ
・現場事情に合ったカスタマイズ性
・性能と信頼性
・拡張性
・TCO(維持運用経費も含む)

④提供サービスの具体的な評価
自社の情報資産をサービス会社に預けるのであるからこの点からも十分な配慮が必要となる。
SLA(Service Level Agreement)のきちんとした把握
・可用性(稼動率、トラブル対応など)
・信頼性(復旧時間、ログ収得など)
・拡張性(外部接続性、カスタマイズ性など)
・サポート範囲
これには、経済産業省がまとめた「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」から
の報告書が出ており、これらをベースにSaaS会社と構築をすすめてもらいたい。

⑤SaaS活用基盤整備事業
今、経済産業省を中心に、従業員20名以下の小規模企業を対象に、会計含めたバックオフィスのSaaS活用型サービスを本年度から実施しようとしている。この事業への参加も含めて、是非、SaaSへの積極的な対応を進めてもらいたい。活用のためのインストラクターも登録されている。
また、この推進に役立てるのが、ITコーディネータでもある。


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