« 2011年5月28日 | トップページ | 2011年6月10日 »

2011年6月4日

2011.06.04

生産管理システムの事例をポーターの戦略から観ると??

中小企業も震災以降、新規投資に対してかなり内向き。IT関係はなおさらである。
でも、必要と思うのですが??
今まで、対応したり、関係した100名前後の製造会社での事例を見ながら、戦略的な
ポイントの視点で、少し考えて行きたい。
①ねじ関係の100名ほどの会社
基本は見込み生産型であり、課題は「生産計画が曖昧」「工程管理は人任せ」「在庫管理
の精度が低い」などがあり、組織的にも、営業部門と製造部門のコミュニケーションが不十分
であった。本システムでの最大の課題は「部門毎、部門内での属人的要因の排除」に
あった。営業門での各自勝手な内示数字の設定、製造部門での各工程での担当判断での
製造」などである。システム的には、パッケージをカスタマイズしたが、在庫含む製造数量
の共有化、製造ライン毎の工程管理の精度アップなどで、必要情報の提供は可能となった。

この業界は5つの競争圧力が極めて強い。現状の即時納入、低価格化の強みだけでは、
顧客と供給者の強い圧力に何処まで、頑張れるか?十分な低コスト化が図られていない現況では、
コストリーダとしての戦略は厳しいものがある。

②シリンダー製造の200名ほどの会社
個別受注生産型であり、完成品在庫は持たず、大量品の受注を受けないの基本方針がある。
単品短納期化を目指している。
当初は、パッケージによる生産管理システムを構築したが、部品表とのリアルな連動、
販売管理システムとの不十分な連携、在庫管理の精度の低さなどがあり、十分な対応が
出来ていなかった。このため、全体最適を考えた業務見直し(モノの流れと情報の一体化)、
効果のある業務からの適用などを考えて、受注処理から作図化、工程管理、在庫管理、
など基幹業務を自社開発した。

見込み生産から受注生産への思い切ったビジネスモデルの転換とそれを実現したIT化の
推進は、徹底した内部の強みの強化であり、コスト戦略、差別化戦略の両面で
活かされている。

③繊維製品製造の100名ほどの会社
繊維業界は、人的要素が高いため、海外の低価格品への対応が極めて厳しい。
自社を委託加工型から企画開発製造をする市場対応へビジネスモデルを転換させた。
生産方式はセル生産を基本とするは多品種小ロット型であり、1枚から大量受注もこなす。
このため、受注から生産までの管理を自社システムにて開発した。
販売レベルでは、受注精度の大幅なアップのための管理、製造ではリードタイムの短縮化、
(作図のCAD化、セル生産、ハブ工場化など)これらの統合的な管理のため、自社メンバー
にて、独自の生産管理システムを構築した。

経営戦略の明確化とそれに合わした徹底した内部体制、それを支援する情報化の推進が
出来ている。縮退して行く業界について、ポーターも検証しているが、需要のある程度
安定している特定市場で強力な地位を確保していくことは有効との事。当企業の基本
ステンスは正に、この形の追求である。

④座金関連製造の100名ほどの会社
見込み生産と受注生産の混在方式であるが、多品種小ロット化の増加、納期の短縮化
に合わせ、現状の体制、情報化では、限界があるとの判断。このため、業務全般の
見直しから新組織への転換を図った。業績の拡大に伴い、部門内での人の配置換え、
新部門の設置などやや場当たり的に進めていたが、生産管理部門、製造部門への
統廃合にて、受注、発注に関する対応の一元化を図った。生産管理システムについては、
パッケージを基本として、業務をそれに合わせていく形で、極力カスタマイズを
減らした。生産精度のアップと在庫情報のリアル管理が可能となっている。

業界としては、①と同様の特性がある。内部体質の強化とそれによる多品種小ロット
短納期対応という基本スタンスの徹底追求で、絶対的な強みとなりうるか、厳しい
情勢である。

⑤プスティック成形の50名ほどの会社2社
1社は、生産管理としては、受注生産方式であり、パッケージを基本として活用している。
もう1社も受注生産ではあるが、こちらは、ACCESSによる自社開発である。
ほぼ、同じ業態であるのに、システムへのアプローチの違いは経営スタンスの違い
によるもの。1社は、当初から徹底した「リアルレベルので利益管理」を目指している。
もう1社は、工程管理を中心とする通常の生産管理向けとしてのシステムであった。
利益管理主体の会社は、毎日の投入材料の量と成形した製品での予測数字から不良率
をリアルで出している。このためには、現在のパッケージでは、対応が難しい。
パッケージ使用の会社では、営業力の強化と原価管理の強化が今後の課題として
あげている。重点は、販売管理系と既存の経理システムの連携であり、生産管理
は相互の連携を中心としたレベルアップになる。

いずれも、共通していることは、戦略的にニッチ戦略の推進である。そのための利益
追求であり、特定ニーズに絞り込んだ営業推進強化となる。

以上、今まで、関係した企業の幾つかの生産管理システム化の事例を中心に挙げたが、
自社の理解と方針の明確化により、夫々の基本スタンスを追求している。
中小企業製造業では、会社のコアは、製造に絡むノウハウかもしれないが、最近の
市場の変化では、生産管理システムという脳神経系にあたる部分の重要性が再認識
されている。
これは、会社の規模にはあまり関係しない。一般に、べストプラクティスと言われる
のは、大企業の事例が多いが、今回の事例のように、頑張っている中小企業に
事例も多くある。

« 2011年5月28日 | トップページ | 2011年6月10日 »

最近のトラックバック

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ