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2011年12月9日

2011.12.09

中小企業、地域ITベンダーにとってのクラウドビジネス

先日、地域ITベンダー向けクラウドビジネスの取り組みについて
経済産業省の資料と私の地域での対応事例等を含めた内容で、
セミナーを開催した。
10社ほどの参加であったが、クラウドビジネスに取り組んでいる
企業も無く、人材面、体力面での不足もあり、ビジネス的に展開は
厳しそうである。
■当日の概要
・環境の変化への認識アップ
 インターネットの拡大に伴い、情報サービス産業全体は大きく
 変りつつある。それに伴い、中小ITベンダをとりまく状況も一変し
 ており、この変化を認識しつつ次の時代への方向性が問われている。
・クラウド時代のユーザ企業概況
 ユーザ企業事例を含め、ユーザ企業におけるクラウド利用のパターン
 を理解し、ユーザ企業の求めるニーズを把握することが重要である。
・地域ITベンダが目指すべきビジネスモデル
 クラウド時代にITベンダが強化すべきサービスを把握し、その
 競争力強化の手法、中小ITベンダが推し進めるべき変革、
 クラウド活用ビジネスに必要な能力の育成を推進して行く。

1)環境の変化とITベンダー現況
地域ITベンダにとって不利な状況は、クラウド利用やオフショア開発
の普及を通じて、いっそう拡大する傾向にある。
企業がソフトウェアへ投資した額は2007年度までは順調に増加していた
ものの、以降は減少傾向が続いている。2010年度の投資額は製造業と
非製造業の合計で約2.7兆円であり、これはピーク時の額と比較して
約3割程落ち込んでいる。

また、自己完結している受注を経験している企業が71%ではあるものの、、
中間下請(一次)を経験している企業が40%、中間下請(二次)と回答した
企業は24%も存在している。下請を経験している企業が合計73%に上り、
また、23%、およそ4社に1社、は専ら下請のみで売上を成立させている。

地域ITベンダが自らの企業としての存続を考えた場合、従来の
下請中心の業態では今後の市場の回復が期待出来ない現状では、
何らかの業態転換・新事業創出が必須となりつつある。

2)クラウド時代のユーザ企業
クラウドサービスの増加はITベンダ、ユーザ企業ともに認識は一致している。
しかし、受託開発については、ITベンダは約4割が増える
という見通しであるのに対して、ユーザ企業の半数が減ると
認識しており、両者に大きなギャップがある。ITベンダーとしても、従来の
主要な売上げであった受託開発に頼わるざるを得ないこともあるのでは。

ユーザ企業におけるIT投資やIT活用における最大の課題は
人材の不足であると認識されているが、経営者のIT化への意識が
低いことも大きな要因でもある。
クラウドサービス利用低迷には、導入のためのIT人材がいないこともあるが、
自社内でのデータ保有意識の強さ、セキュリティへの不安など、まだまだ
IT化推進以前の問題が多いようである。

導入に向けたコンサルティング支援に関する要望が高い様であるが、
ユーザ企業は、現行のITベンダの企画・提案力に満足していない。
ターゲットとするユーザ企業のIT活用のリテラシーや意欲に応じて、
ITベンダもその提供するソリューションをユーザ企業の経営方針、
戦略、ITスキル・体制などにより、適用させる必要がある。

3)地域ITベンダが目指すべきビジネスモデルに向けて
ユーザ企業にとってはIT導入は目的でなく手段であり、ITの利活用
によって自社の経営課題を解決することこそが目的である。
ユーザ企業のニーズを踏まえ、従来のハードウェアやソフトウェア
といったプロダクトを主体として提供するベンダから、ITサービス
の利活用によるユーザ企業の経営課題解決を支援するサービスを
提供するITベンダに変わっていくことが必要である。

・ハイブリッドクラウド化への最適支援
・SaaSサービス等の導入支援
・クラウドへの移行支援
・複数のサービスの連携
・ユーザ企業の事業に最適なサービスの組み合わせの企画・設計
・データ活用コンサルティング
・業務プロセス見直しや業務代行(BPO)化

クラウドサービスの普及により、まずサービスを試用してみて自社
のニーズに合わなければ停止・変更するなどといったきわめて柔軟な
IT利活用が可能になる。これにより、従来、経営戦略策定から
段階を踏んで実施することを理想形としていたIT利活用
のプロセスが、変化する可能性がある。
クラウド時代においては、IT利活用のプロセスが柔軟になり、
サービスの開始も大幅に短縮化出来るようになる。

地域ITベンダがユーザ企業のクラウド活用を支援するために
必要となる主な能力を以下に列挙する。
これまでのようなユーザ企業の希望を聞き取って実現する能力
だけでなく、最新の動向を把握した上で、ユーザ企業に最適解
を提案し、納得してもらうための能力が求められる。

①課題発見能力
・ユーザ企業の現状やIT利活用の水準を理解し、的確に把握できる能力
・ユーザ企業の現状から、隠された課題やニーズを発見できる能力
②提案力
・ユーザ企業にとって最適となるソリューションを作成する能力
・ユーザ企業が理解できる言葉でソリューションを説明し、
 相手に自らの意図を理解してもらう能力
③サービス説明能力
・専任のIT担当者やIT部門を持たない中小ユーザ企業の関係者
 に対して、ITサービスの内容や多様なサービスの違いなどを
 分かりやすく説明できる能力
・クラウドを導入するメリット(費用対効果)を中小ユーザ企業に
 分かりやすく伝えられる能力
④サービス選定能力
・中小ユーザ企業の課題やニーズにあったITサービスの要件を
 明確化できる能力
・既存のITサービスの中から中小ユーザ企業の課題やニーズに
 あったITサービスを比較し、素早く選定することができる能力
⑤信頼感
・中小ユーザ企業の経営者や従業員が、「この人の言うことなら
 聞いてもよい」と思えるような雰囲気・人柄
・中小ユーザ企業が支援者を選ぶ際の最終的な決め手となる資質

最後に、私見ながら、ITベンダーとして中小向けクラウドビジネス
には、以下の4点が重要と述べた。
①クラウドを含めた新しい動きを注視して行く
 スマートクラウド戦略展開、ソーシャルメディア拡大、等最近
 の動きは更に激しくなっている。
 自社ビジネスの方向性を再度見直すことも重要である。 
②自社経営戦略の見直しと次期モデル化の明確
 中小企業のニーズを把握し、自社のリソースの見直しをベースに
 今後の中期的な方向を決める。
③自社強みの構築
 先行しているSaas,Paasベンダーや国内ベンダーの
 状況を把握し、 絞り込んだサービスでのno.1を目指す。
④自社顧客(見込みも含む)への営業力アップ
 b2bを基本とするコンサル営業力の向上と人材育成の推進

また、クラウドを活用するにあたって、理解しておくべき技術の項目は、
・情報セキュリティ
・仮想化技術
・分散処理技術
・クラウド連携技術
・開発言語、処理方式
・自動運用技術
であるが、CloudStackと言うクラウド構築基盤などの様に、従来のホスティング
サービスのスキルとは一歩進んだ技術が要求される。地域ITベンダーにとっても、
中々に大変な世界でもある。


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