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2012年2月24日

2012.02.24

漁業での新しいビジネスモデル、苦節10年

元気な企業経営者からお話を聞くことは楽しい。
多分、ここまで来るのに、色々な困難な状況があったと思うが、将来への夢がある。
それが、国レベルでの波及度を持つようなビジネスであれば、更に、テンション
が上がる。

先週、大阪の魚の仲介会社をしている社長の事務所に伺った。色々な意味で、
以前から話は聞いていたが、事務所への訪問は始めてである。
以下の点について、気付きをもらった。

1)漁業への強い想いからビジネスは始まる
2)あらためて、自分の得意分野での事業展開
3)ユーザチャネルの重要性
4)自分の想いの継続と実現

特に、今回のようなマッチングビジネスの場合、そのユーザチャネルのつながりの
太さは重要である。私自身、依然、製造業でのマッチングビジネスを仕掛けたが、
2億円ほど掛けたシステムも、そのユーザ数の確保が出来なかったことから失敗した。
元々のつながりの太さか、時間を掛けた醸成か、私の場合、いずれも弱かった。

1)漁業への強い想いからビジネスは始まる
⇒最近、特に、この社長のように「自分の軸を持つこと」の重要性を頓に感じる。

社長は、漁価の低迷、後継者不足など国内の漁業不振の原因は様々ある。
「漁業者の経営改善が進まない限り、漁業の未来はない」
そのために一番必要なのは、漁業収入の向上だと考えていた。

日本の水産物の消費額は、約3.2兆円であるが、そのうちの2割ほどが規格外
品として通常流通に乗らない形との事。また、輸入漁が増加する中、従事者は年々
高齢化、低減化している。昔は、120万人ほどであったが、現在は、20万人程度。
また、最終価格に対して漁業者での売値は2割ほどとのとこ。
中間業者が多いのである。
これは、農業も全く同様の状況である。私も農商工コーディネータとなってびっくりし
た。SCOREはその起爆剤になるのでは?

2000年初め、注文は電子メールやFAX、電話で24時間体制で受け付ける。
深夜に入った注文でも午前3時半から買い付けるため、夕方までに配送できるという。
日本の漁業を何とかしたい、という「思い込み」だけが頼りの起業だった。
だが、事業はいきなりつまずいた。最初に社長が着手したのは、消費者向けの産直ビジ
ネスだった。当時、インターネット事業に積極的だったある企業が、新規事業のアイデ
アを募集していた。そこで、漁業者から仕入れた旬の食材を、消費者にネット通販する
事業を提案した。しかし、ネット事業への不安視から企画段階でぼつとなった。

2)あらためて、自分の得意分野での事業展開
一般消費者相手の難しさを味わったことから漁業関係の人脈を活かしたb2bに
シフトする。
市場を介さず、生産者と直接取引するため、価格も2割程安くできる。前日の深夜
に飲食店から注文を受け、翌早朝に買い付け、営業開始までに届ける機動性や、
小口配送に対応する使い勝手の良さも売り物だ。
他店にない食材で差別化を図りたい飲食店と、市場流通に頼らない独自販路の確立
で収入の柱を増やしたい生産者。この両者のニーズをマッチングさせるビジネスが
軌道に乗った。「全国の津々浦々には、その土地にしか知られていない、美味しい
食材がたくさんある。生産者が価値に気付いていなかったり、どう売っていいか
分からないだけ。それを手助けしたい」

3)ユーザチャネルの重要性
「店は看板商品が出来た、と喜んでくれ、産地も売れるのであればと協力してくれた」
こうした、生産者と飲食店の双方にメリットのある関係を作り、それを広げることこそ
が目指すところだ。
船舶エンジンの売込みなどを通じて知った全国生産者の人脈がこれを更に強化する。

4)自分の想いの継続とその実現
漁業への強い想いを形化しつつあるのが、今回、見せていただいたSCOUT
(Syunzai Coupled Trading System)事業である。
特に、SCORE(Syunzai Collective Reservation System)システムは旧来の流通モデル
を大きく変える可能性がある。

会社としては、水産業界全体の経営後退が顕著な現代において、日本の食と漁業を
守る為、全国の産地情報の一元化を図り、魚食にかかわる各事業者が流通過程で
産地から直接販売・直接発送させることをサポートすることを目的としたSCOUT
(Syunzai Coupled Trading System)事業を運営している。
SCOUT事業には、動画・音声で水揚げ状況を見ながら、全国産地市場の鮮魚をリアル
タイムで買い付け出来る産地直送システムSCSS(Syunzai Circulation System Service)
と水産物の予約販売を可能にしたSCORE(Syunzai Collective Reservation System)
の2つのシステムがある。

①SCSS
リアルタイム買付システム SCSS(Syunzai Circulation System Service)は、インター
ネットを用いて動画、音声、水揚データなどを見ながら、漁業者・漁協から需要者(消
費地・仲買・百貨店・スーパー・外食産業等)が直接に水産物を購入できる、会員制の
受発注システム。
これまでは有力な市場から遠い僻地の水産物は、ほぼ半数が規格外で市場に売れないも
のばかりでしたが、漁業者・漁協側はSCSSを通して、従来の市場では規格外で販売でき
なかった水産物をネット上で提示し、それを会員である需要者が直接に注文し販売する
ことができる。
・SCSSのメリット
ライブ映像と音声による水揚げ情報をもとに買付、パソコンがあれば可能。
全国の漁業生産者と直接結びつく新流通システムであり、産地直送の取引で中間マージ
ンを大幅削減。
水揚げされた新鮮な魚をその日に販売、旬や地方限定の魚を顔の見える生産者
より届ける。

②SCORE
SCORE(Syunzai Collective Reservation System)は、全国の漁業者・漁協がこれまで出
荷困難であった水産規格外品・通常流通水産物を、事前予約で売り出すことを可能にす
る水産物予約販売システム。
バイヤーが希望の注文量を漁港に予約注文することで、漁業生産者は事前に量と価格を
確定して出漁することができる、画期的な水産物予約販売システム。
また、ご希望の漁港から指定の漁獲量が水揚されなかった場合も、システムが自動的に
他の漁港の水揚げを割り当てるので、安定して注文量を確保することができる。
□バイヤーのメリット
漁業生産者から直接水産物の入手が可能になる為、大幅なコスト低減が可能。
大量のご注文でも、複数の漁協から水揚げを割り付けることにより、安定して
注文量を確保できる。
水揚げしてすぐに輸送することが可能なので鮮度の高い鮮魚を仕入れることができる。
□セラー のメリット
卸売業者や仲卸業者を通さず、直接消費者に販売できる。
事前に価格を確定してから出漁することができ、旧来の豊漁貧乏に陥るリスクを軽減で
きる。
漁獲した魚が売れず、無駄に水産資源を消耗することを避ける事ができる。

IT経営力大賞も受賞したが、その評価点は、
電子商取引を用いて規格外品を中心とした鮮魚の取引を仲介する流通システムを構築
し、水産物における新たな販路を創出し生産者と流通業者双方の利益確保、水産物
標準化コードに対応したシステム構築によるトレーサビリティの明確化を図っている
等、ITを活用した農商工連携の新しいビジネスモデルを創出した点。

更に、大きく育って欲しいものである。

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