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2012年3月30日

2012.03.30

サービス業を考える。モノからコトへの変化。

日本は、成熟社会である。
モノが余り、人々は、自分の価値観、想いを大切にする。そのような顧客相手の
意識をそのまま、他の国の顧客に当てはめようとしている製品の多くがある。
また、長年の製造業偏重の意識が多くのサービス業での事業としての難しさを増長
してきたようにも見える。

1.モノからコトへ
サービス業は、その場しのぎ、顧客次第など中々に対応が難しい、よく聞く話である。
まずは、サービスの特性を少し見てみると、
①同時性:
サービスは生産と消費が同時に生じるという特性である。モノは生産してから消費
されるまで時間的なラグがあるのが一般的であるが、サービスは生産されるのと
消費されるのが同じ時間に生じる。
②不可分性:
同時性から容易に導出されることだが、生産と消費が分離できない一体性を持っている
ということである。
③不均質性:
サービスの品質は提供するサービサーによって異なるため、一定に保つことが難しい。
④非有形性:
サービスは触ることができないものであるという特性。形を持たないため、サービスを
購入前に試すことが難しい。
⑤消滅性:
非有形性という特性から、在庫ができないということ
の5つを言われる。

そして、顧客は、モノ⇒サービス⇒体験へ 意識変化している。
このような顧客を相手に、商品の機能や品質等の基本価値を上げ、他社との差別化を
はかったところで、結局は価格競争となる。
だが、今でも日本の製造業の多くは、機能と品質の泥沼の消耗戦を続けている。
博報堂生活総合研究所のある調査では、使い道ベスト5は『旅行』『生活費』『貯金』
『外食』『税金/ローン支払い』というから、如何に日本の消費者のモノ離れが進んで
いるかがここでも見て取れる。「モノのストックよりも体験、知識、思い出、人との
関係性といったソフトのストックに関心が移っている」のである。
「製品→サービス→体験と付加価値の中核を高度化させていくことで、モノから関心
が離れた消費者に購買行動を促すのだ。
「モノからコトへ」というキーワードをキチンと考えるべき時期でもある。

■モノとコトの違いは何でしょうか。
広辞苑の抜粋では、
物:形のある物体をはじめとして、広く人間が感知しうる対象
事:意識・思考の対象のうち、具象的・空間的でなく、抽象的に考えられるもの
簡単にいえば、モノは形ある物体でコトは現象です。モノはそれ自体で存在
可能ですが、コトはそれ自体で存在できない。
元気な製造業の企業は、「モノ」を単に売るのではなく、モノを使う楽しみ、
つまり感動体験という「コト」を提供するマーケティングを進めてきている。
これからは、これを更に強化する必要があるが、私の関係した中小企業も含め、
それを徹底している企業はまだまだ、多くないが、頑張っている企業もある。

地域資源活用支援事業の多くはモノの開発認定企業であるが、その中でも、
チョット違うアプローチの企業もある。

・A社では、京町家という環境と本物の工房に隣接している特徴を活かし、従来
にない「京都古来の雰囲気の中で」職人とも交流が図れるという付加価値を有した
新サービスを行う。友禅染体験施設で本物の職人が指導にあたり、芸術大学、
絵付け師との連携により、友禅染独自の技法や専門技術、最新の絵柄を外国語に
翻訳して伝え、歴史文化まで深く理解できる内容を提供する。「何を体験したか」
「どの様に過ごしたか」が重視される傾向に対して、本事業で取り組む「滞在型
体験の開発」はそういったニーズに対応して行く。

・B社では、『京町家』を過ごしやすく快適なものへ改修し、一棟貸し、ゆったり
とまさに「暮らすように」滞在できるサービスを提供する。
滞在時にはお客様のご要望により、京都の伝統文化をゆったりとほんものを体感
して頂けるプログラムを併せて提案する。
伝統文化体験事業の実施のために「能楽」、「狂言」、「茶道」、「書道」、
日本舞踊」など伝統芸術や「京料理と舞妓・芸妓の夕べ」等のプログラムを提供。

2.サービス業の生産性、品質向上
成熟化社会、そして生産人口の減少などの大きな流れの中で、サービス業でも、
高度化・効率化する事により、消費者が満足する高品位な社会を実現して行けるか?が
大きな課題となって来ている。
このため、サービス工学、SSMEなど科学的なアプローチが活発となっている。
 ・効率性の追求
 ・顧客満足度向上やホスピタリティなどサービス品質向上
が必要となる。
しかし、顧客対応としての「コト」化の推進は、重要であるが、企業としての
体質改善も重要な活動である。
(1)生産性改善へのアプローチ
「勘と経験」は必要ではあるが、定量的なアプローチも考えるべきである。
特にサービス業に関わる多くの中小企業では、認識の低さも在り、労働生産性の低さ
は顕著である。因みに、平均的な製造業の労働生産性は、4.3%程度で、サービス
業でのそれは、2.6%との事。

基本は、「観測、分析、設計、適用」を現場状況を反映しながら、PDCA化
していくべきではあるが、出来るレベルからの実行が必要である。
まずは、サービスに関する要素について具体的イメージを捉える必要がある。このため

サービスが実際に提供される過程を支える要素(支援要素)を考える。
① プロデュース機能
プロデュース機能は、個々のサービスの機能をアレンジして、「人」「モノ」「情報」
「環境」を最適化し、生活者のニーズを充足するサービスをつくる役割をもつ。
② サービス・モジュール化
サービス利用者が機能や情報の詳細を知らなくても、ブラックボックスとして提供
される機能を使い分けるだけで、必要な機能や情報が十分使えるような仕組み。
③ サービス評価メカニズム
サービス提供者による顧客の観察メカニズムを整備するとともに、利用者がサー
ビス内容を適正に評価するための評価項目の整備が必要になる。また第三者による
評価をサービスの選択や自らの評価に反映させるための環境の構築も重要。
④ 生産管理機能
製造業や小売業の生産管理機能を、サービス特有の性質を考慮しながらサービス
の生産管理に適用していく手法を考える。
⑤ 関係者の合意形成機能
サービスは、複数の利害関係者の調整による協働の結果、実現されるものである
ため、サービスの選択や提供プロセスの決定のために、関係者間の合意形成が必要
になる。関係者間の情報の不均等を是正することにより円滑な合意形成を促す機能
が重要。
⑥ 人材育成機能
サービスの質の水準維持のためには適切な人材教育が必要。

時間軸で考えるなら、現状においては、サービス種別ごとに具体的な③サービス
評価メカニズムと④サービス提供過程の生産管理機能が重要視される。
加えて、⑥人材育成機能をサービス産業の持続的発展のために準備する。
①のプロデュース機能は、サービスの種類、時代の変化によって具体的内容は大きく
変わっていくであろうが、質の良いサービスの持続的提供のためには、まさに
サービスを総合的に設計していくことが必要となる。

そして、これらをベースに業務プロセスの見直しを考える。
但し、製造業でのプロセス見直しとは以下の点で注意する必要がある。
①提供価値の明確化
顧客に対して、どのような価値を提供するのか?そして、それは、自社の経営理念
に沿ったものか?
②サービスの設計見直し
顧客に対して直接的に提供される内容を具体的な業務の流れに沿ってムダやムリが
ないか?
③業務の見える化
各業務項目とそのフローを把握する。ただ、サービス業務の同時性、非有形性を
考えておくことが肝要である。
④業務の評価
自社競争力の基本業務であるか、顧客にとっての付加価値業務か、あまり付加価値
を生まない業務か?を評価選別する。
この4ステップをベースに、担当者と討議し、業務プロセスの見直しを行う。
業務見直しの決定には、サービスの実施者である担当者との密な確認が、
人をベースとしたサービス業での必須活動でもある。

(2)人のマネジメント
サービス業では、その多くが、アルバイト要員である。外食産業では、9割が
アルバイト、パート要員とのこと。
このような環境での人の育成、人材のマネジメントは、直接、サービスの品質
につながる。特に、初めに上げた同時性、不可分性、不均質性、非有形性は、
製造業での人材の活用とは、大きく異なる。
また、幾つかの調査でも、サービス業で働く人々の動機では、
「給与ではなく、組織貢献、顧客に対して役立っていると実感できるから」
という精神的な満足感というものが動機になっているとの事。
内発的な動機付けが重要なのである。
例えば、「顧客からの満足、感謝の言葉、同僚からの励まし、上司などから
の褒めの言葉」等の精神的な報酬が必要である。
生産性、勤務態度、などの外部要因での評価も必要であるが、自身の「存在感、
組織への貢献感、他のメンバーとの共感」を持たせるためのマネジメント
が必要となる。
サービス業は体質改善のアプローチでも、中々に難しい。

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