« 2012年3月30日 | トップページ | 2012年4月14日 »

2012年4月7日

2012.04.07

製造業を考える。変種変量短納期生産、中小企業が目指すべきもの

顧客ニーズが単なるモノから自分の想いを体現する「モノ+コト」への変化を
増大させている。多くの商品が普及し充分状態となった安定期時代になると、
市場ニーズがメーカーに代わって品種と量の変化の主導権を握った。
品種と量の変化のスピードが速くなり、幅も大きくなった。技術革新のスピード
が上がるとともに、商品のライフサイクルが短くなり、同時に商品の多様化が
急速に進んだ。90年代には、市場ニーズに対応し生き残るためには、大量生産
から多品種少量生産に移行せざるを得なかった。

変種変量生産は、市場ニーズの品種と量の両方の変化変動に対応してモノづくりを
即応することである。品種の多様化, ライフサイクルの短縮化、販売量の不定、
グローバル競争といった最近の成熟期の中では、競争に打ち勝つために単に
多品種少量生産ではない、市場の動きにダイナミックに連動する変種変量生産
が必要となってきた。

このため、開発、調達、生産、物流、販売を網羅した変種変量生産への対応力強化
が必要となる。従業員のやる気、自律性の向上、非熟練技能者の即戦力化・高品質化
の実現はもちろん、まだ多くあるある部分最適と相互不信に陥りがちであった
生産・販売・技術の各部門での全体最適を追い求め、組織間の壁がなくなり、
連携カが更によくなるといった企業・組織風土の変革が必要不可欠である。
この企業改革を進めることで、商品群の統一、プラットフォーム化、ユニット化
・モジュール化による商品のバラエテイと共通化の両立、IT化、セル生産など
による混合生産・迅速な機種切り替え・生産量の変動化、SCM構築による受注
から調達・生産・輸配送・納品にいたる情報の連動と共有化による全体リード
タイムの短縮、在庫圧縮などの改革が進み、競争力のある変種変量生産体制を
構築することができる様になる。

また、変種変量生産は、それを構築する過程で、モノづくり現場のみならず、
企業活動全体の変動対応力と競争体質の向上など多くのものをもたらし、
企業に活力を与えると思われる。
サービス業も含め、成熟化する日本では、従来にない企業変革が求められている。

しかし、中小企業では、まだまだ変種変動生産への対応は十分といえない。
改革に向けての基本的なアプローチでは、
①ムダ、ムリ、ムダの徹底管理
・組織のムダ  アウトソーシング出来る部門は
・業務のムダ  入力の複数回対応、同じ資料作成
・モノ作りのムダ 動くな、運ぶな、段取りなし、リードタイム0
②MRP(モノの管理)からERP(総資産活用へ)
・製造部門だけでのモノ作りではコストは下がらない
・部分最適から全体最適へ
・営業、設計、製造、管理部門の総合的な取り組みが必要。
 更に、得意先、仕入先、パートナー企業との密なる連携が重要となる。
 (企業の持つ全資産の活用)
・コスト低減だけでなく、トータルなリードタイムの短縮化を図る
・コストの8割は設計時点で決まることの認識
③管理、事務部門の徹底したリードタイムの短縮化
④効果、目標管理は相対的な比率ではなく、金額による絶対管理を基本
  特に、時間管理による効率管理
⑤5Sと5Mの徹底管理
  習慣、習熟と意識改革

更に、部門ベースでのアプローチでは、
①「売れた管理」から「売る管理」への改革
・受注情報の早期化
・在庫情報の精度アップ
②徹底した営業先行情報の管理
 確実な需要予測のための意識、体制化
③生産計画への先行情報の直接化
 事務でのリードタイムの短縮化
④在庫管理の徹底
・リードタイムの短縮化
・在庫予定管理による仕掛在庫の低減化
⑤生産計画と製造の同期化
 必要なものを、必要な時に、必要な量を供給
⑥工場作業での改善
・ムダに動くな(1000歩以上動くな)
 「稼働時間の40%が“歩く、探す、運ぶ”で占められている。
・ムダに運ぶな
・段取り時間の0化
⑦品質管理は現場管理が基本
 品質は管理するものではなく、製造現場での不良0化
 
個々の企業では、不断の努力で、改善は、進んでいるものの、
改革レベルにはまだ充分といえない。

企業対応の中で、気になるポイントを少し列記する。
①受注計画
受注の都度、受注仕様部品の在庫・生産計画確認、標準構成部品、オプション部品、
バリエーション部品、バリアントや特別仕様部品、などの区分と発注、組立生産枠
に当て込み、納期回答を即時に行うこと。
このように計画を短サイクル化するには、生産計画管理の仕組みを短サイクルに
やれるように変えることと、その管理・運用組織を機能別分業し、受注情報が、
営業、生産管理、設計、資材、製造、と渡り歩く体制でなく、製品別やお客様別に
集約する必要がある。
②日次計画
組立完了・出荷計画日の3日程度前に納入指示後の部品集結と組立順序計画
(平準化と客先受注仕様)を確定する。この確定組立順序計画に従って、一台
づつ仕様の違う部品を組立順序に合せて納入させる、生産(同期化生産・同期化納入)
させることが必要。
生産サイクルと計画サイクルは、お客様の要求に素早く応えるために、同期
させなければならない。このサイクルを決定する要因は、「段取替えのロス」と
「計画・手配業務の処理期間」である。
製造期間、受注期間を圧倒的に短縮するには、「正味時間の累計で生産」出来るように
“生産工程編成の整流化”を図ること。
各部品の工程系列に応じて設備を配置する「一貫工程編成」に“整流化”すること。
③同期生産
同期化生産編成を決定付けるのは、組立順に合せて、タクト内に加工段取が出来る
かと言うこと。組立の品種切り替えが1タクトで完了するなら、その前工程の
加工も1タクトで完了しないと、“同期化”が崩れてしまいます。組立が切り替え0
なら、加工も“瞬間段取”を実現し、タクトを乱さないようにすることが必要。
段取改善なくして、「生産編成の同期化」は有り得ない。

■ある中堅企業では、季節変動の大きな多品種少量生産を可能にするために、
「変種変量生産」を推進して居る。最新の市場情報を日単位で生産計画に
反映させ、需要変動に対応するフレキシブルな生産システムである。
たとえば、あるラインでは、1日に1000台以上を生産するが、その機種数
は123機種。1個流しの混合生産が行われている。これだけの
フレキシビリティを確保するには、それを支える仕組みと多能工の育成が
不可欠である。
他のラインでは、作業者に合わせて作業台の高さや角度がコンピューターで
自動調整される仕組みが組み込まれている。
日本人ならではのきめ細かい対応で、生産性と品質と短納期を確保する仕組みが、
ここかしこに見られる。自動化できるものは自動化し、機械に任せられるものは
機械に任せる。部品や仕掛品を運搬する無人搬送車(AGV)はいたるところを走り、
製造工程のみならず、梱包ラインの段ボールを組み立てる工程も自動化されている。
その一方で、人手に頼った方がフレキシビリティを確保できる工程は、作業者を
サポートする仕組みを組み込む。一見何気ない生産ラインだが、実は人間の知恵
とアイデアが高度に詰まった創意工夫溢れるラインなのである。

ただし、より根本的には、「人」に対する思想や哲学がモノづくりの在り方を
規定する。人を育て、ひとり一人の能力をいかに最大限に発揮させるかを考える
日本的な考え方とこの工場で根付いている改善提案制度やマイスターの育成など
は、中小企業の企業改革でも可能なはず。
工場規模は資金と設備でなんとでもなるが、全体品質は人からしか生まれてこない。

« 2012年3月30日 | トップページ | 2012年4月14日 »

最近のトラックバック

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ