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2012年4月20日

2012.04.20

高収益企業から学ぶ、コアはコンサル営業化

昔、元キーエンスのメンバーがグループに中途入社したことがあった。
彼曰く、同じソリューション営業でも、大分文化が違います?
結構、のんびりできます、との事。その時は、あまり意識していなかったが、
これは、批判的なコメントであった。
今回、単なる利益率がダントツ高いからだけではなく、中小企業として、
その良さを理解し、自社業績アップへの気付きとしてもらうことを目的に、
キーエンスについて考えてみた。

1.キーエンスとは、
徹底した高収益企業であり、1800億円ほどの売り上げと毎年50%超の
営業利益率をあげてきた会社である。業態的には、生産設備向けセンサーの
製造販売に特化している。

1)その特長
 ・事業ドメインの絞込みと集中(設備センサーによる顧客の生産性の向上)
 ・顧客密着による現場ニーズの徹底収集
 ・コンサルスキルのある営業による「課題解決法」の提案
 ・顧客潜在ニーズをベースとした製品開発とその短期提供
 ・独自のファブレス体制
 ・提供製品の絞込み
・合理的、公平性の高い仕組みと組織力をベースとするオープンな風土

2)基本スタンス
・最小の資本と人で最大の付加価値をあげる⇒無駄は許されない。
・市場原理・経済原則が判断基準⇒何事も合理的に。最終的には数字を
残さないとダメ。
・目的意識を伴った行動が成果を挙げる⇒目的意識はもって当然。
・顧客の欲しいというモノは創らない⇒顧客が自分でも気づくような提案
 しか出せないようならば存在価値がない。
・環境の変化を先取りし、自らも進化する⇒進化できない人間は不要
・「夢中になって楽しむ⇒夢中になれない人間は通用しない

オープン、楽しいという側面を打ち出しながらも、一方で、強烈なプレッシャー
が組織風土にある。例えば、GEやマイクロソフトなど高収益企業の共通点として、
「強いプレッシャー」というものがある。
それは社内外のライバルとの競争である場合もあれば、かなり高い目標の
場合もあるし、あるいはカリスマ的経営者の存在がプレッシャーを生む場合もある。
いずれにせよ、従業員を強く駆り立てる「何か」があり、実際に目に見えやすい
リターン(金銭や自分自身の成長など)があると、人間は大きな力を出す。

3)付加価値の源泉はヒト
・営業、マーケティングと研究開発に機能を特化し、
  製造は外注化するファブレス経営
・直販による顧客(購買意思決定者)へのコンサルティング営業
・顧客の生産性アップ(経済的価値)を徹底的に高めるソリューション
 追求アプローチ
・顧客の現場の問題点を発見し、スピーディに「他の企業にはない」
 製品開発に結びつける開発力
・製品開発に加え、スピーディな納品やサービス体制により、
 価格維持を実現

4)営業の進め方
営業の仕事はセールスではなく、クライアントの話を徹底的に聴くこと。
特にその不満、不都合、不具合を可能な限り引きずり出すことに集中している。
しかもクライアント企業の現場で。これは、本当に工場責任者たちが
「キーエンス社の営業担当者は頼れる味方」だと賞賛している。

さらに、実際に困っていることを解決する提案だけでなく、「当たり前だと
思っていた不便」を見つけ出し、「不便そうにされていますが、解決できますよ」
と提案する。「“ハコ売り”ではなく“ソリューション”へ」とソリューション
の提供の重要性は言われて久しい。しかし、顕在化した問題ではなく、潜在的な
問題まで引き出し、対応をする。
「ニーズの深掘り」はマーケティングの基本であるが、中々、難しい。

2.自社で考えるべきポイント
多くの企業では、営業は売る人、製造は作る人の意識があり、この意識改革が
必要となる。また、一番顧客接点の多い営業部門が積極的な製品開発に関わって
いないし、開発、マーケティング部門も営業の情報を参考にしないことが
多く見られる。

■キーエンスから学ぶ
営業を自社価値創造の接点として位置づけ、社内での製品企画、開発の業務と
同期させることが重要。
そのためには、
①製品の持つ価値をキチンと顧客に伝えること
 社内開発部門との徹底した討議、勉強会の実施による営業のスキルアップ化
②顧客ニーズの徹底収集
 単なる顧客の意見、想いを伝えるのではなく、顧客の潜在ニーズを広く深く
 収集する事が重要。現場でのトラブル、課題などからそれをコンサルする事で、
 新しい顧客ニーズを掴む。

単なる御用聞き営業はしない。
顧客から寄せられるさまざまな要望への対応では、電話やメールなどの対応で
済ませられるものと、実際に顧客のところに出向いて話をすべきものに
大別される。

面談する必要がある要望については、的確に応えられるよう提案書などを
準備しなければならない。この準備にしっかりと時間をかける事が重要である。
営業で重要な役割を果すツールが顧客報告書とローリングプレイである。
顧客報告書は、顧客訪問をした日には必ず上司にその内容を報告する。
客先の要望は特定のシートに記されて企画・開発部門に送られる。
この現場情報の蓄積が今後の商品開発力、顧客対応力の元となる。

情報・ノウハウの共有が重要である。そのため、営業での成功事例も
必ず共有する仕組みを作る必要があり、そのためが、事後ローリング
プレイがある。どのような営業活動、セールストークやプレゼンテーション
が成約に結びついたのかをローリングプレイで再現し、営業チーム全体で
追体験する。これが極めて効果的なセールスOJTとして機能する。

中小企業としても、高収益を目指すのであれば、製造関連の効率化を
重点化する必要があり、多くの企業は、ニッチな分野で、そのスキルを
磨いて来た。しかし、キーエンスの一番の要因は、コンサル営業の
の徹底育成とそのための風土創りである。
是非、このポイントを見つめてほしいものである。
私の関係する中小製造業でも、コンサル営業に重点を置き始めた企業もある。
楽しみにしたい。

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