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2012.04.14

新しい変化に向けて

社会の成熟化、個人と社会、行政、事業者とのつながりの高密度化、そして、
毎年60万人前後の減少と言われる生産年齢人口の劇的な変化等など、日本は、
大きく変わりつつある。しかし、多くの企業は、過去の成功経験と意識を
そのままに引きずっているように思える。

今回、研究会メンバーへの再認識もあり、以下のポイントでの講義をした。
・成熟化と協働化社会として大きく変化しつつある。
 モノからコト、無意識の見える化
・大局観、直観醸成には、自分の基軸が必要
・関連情報の幅広い収集とその選別が求められる
・自社の重要な資産は顧客の評価であり、そのイメージ
  評価獲得の徹底が業績に直結してくる

1.時代変化に伴う大局観の醸成
広辞苑では、
大局観は「物事の全体的な状況や成り行きに対する見方、判断」であり、
喩えて言えば、「森の中で次への道を探している時、やや高台に上り、俯瞰的に現状を
掴むことであり、事業を推進する点においては、4、5年先のビジネスが明確に描ける
事ではないのだろうか。

何故、今、大局観が必要なのか?
・いまだ垣間見える80年代の成功体験の残影(イノベーションのジレンマ)
・急激な技術進歩とそれに伴う社会変化(ソーシャルメディア)
・溢れかえる情報、データとその未消化(ビッグデータ化)
・生産年齢人口減少に伴う避けられない経済の縮退(藻谷氏のデフレの時代)
混沌とした時代に備える時期である。
私自身の80年代後半から90年代、2000年代と10件ほどの事業化の経験
をしたが、時代が大きく変わって来たことを感じる。

各メンバーには、以下の点を考えてもらいたいものである。
①まずは、時代の絶対認識
生産人口減少、協働化の拡大など絶対的変化要因による社会変化の認識と自身の
事業としての軸決め。
②基礎情報の収集とその選別
まずは基礎となるべき情報の収集について3つほどある。
□基礎的データの収集
「総務省統計局」の様々な統計データや生活情報センターの『民間統計徹底活用
ガイド』等である。
□先見的な知恵者から知る
コトラーのWeb3.0は色々と示唆の多い内容がある。コンサル会社の年予想
のテーマもある。
□口コミ情報含めマクロデータを読む
更なるWeb上でのデータの加速度的な増加。例えば、
 wisdom、Google Insight
そして、「情報は相思相愛」であることの認識である。
何かビジネスでのテーマに集中すると、不思議とそれに関する情報が自分に
集まってくる経験をしたことはないだろうか、私の場合でも結構多い。
勘やエイや!で事業は出来ない。
③顕著に現れている現象、活動への感度アップ
例えば、最近の顧客の認識価値の変化は、
■商品からサービスへ
 商品と付随するサービスを統合的に提供することが重要となっている。
■モノからコトヘ
 新しいイベント、体験、感動などや自分にとって持つ意味を重要視する。
■関係性重視
 商品、サービスを単体としてのものではなく、それを提供する企業との
 関係性において評価するようになった。

人口構成の変化、社会トレンド、経済的な環境、政治・規制面での変化、競争状況、
新しい技術、コミュニティの状態変化など主要なポイントを自身のベースを
基準に、選別し、より精度の高い大局観を醸成してもらいたい。
あふれる情報の中から必要情報にフィルターをかけられるのは、自身の軸が
基本になる。

2.市場、顧客の変化
市場と顧客が大きく変化しつつある。
コトラーは、マーケティング3.0を提唱し、従来の顧客と市場の関係変化を
マーケティング1.0 製品が中心(良いものは売れる。消費者はひとつのカタマリ)
マーケティング2.0 消費者が中心(消費者を細分化したカタマリとしてアプローチ)
マーケティング3.0 個人(人間)が中心(生活者はひとりひとり異なる,心を持った
人間。企業と人の協働化) 
企業はすでにマーケティング3.0の実践を求められている。
そしてこれからは,顧客を単なる消費者として見るのではなく,「多元的で,精神
満足を求め,価値の創造に積極的に関わろうとする人間」として理解する必要がある。

そして、その具体的な進展が、ソーシャルメディアの急激な拡大とそれに伴う
ビジネスの変化である。ただ、ソーシャルメディアは、「スプリント(短距離)」
ではなく「マラソン」だと表現されており、ユーザーとのコミュニケーションを図り、
関係性を築くにはじっくり長く時間を費やさなくてはならないことを覚悟しなくては
いけないと指摘されている。
本年度のマー研のテーマもソーシャルメディアの活用であるが、上記のような指摘も
含め、多方面のアプローチを進める必要がある。

また、顧客は、モノ⇒サービス⇒体験へ 意識変化している。
このような顧客を相手に、商品の機能や品質等の基本価値を上げ、他社との差別化を
はかったところで、結局は価格競争となる。
だが、今でも日本の製造業の多くは、機能と品質の泥沼の消耗戦を続けている。
博報堂生活総合研究所のある調査では、使い道ベスト5は『旅行』『生活費』『貯金』
『外食』『税金/ローン支払い』というから、如何に日本の消費者のモノ離れが進んで
いるかがここでも見て取れる。「モノのストックよりも体験、知識、思い出、人との
関係性といったソフトのストックに関心が移っている」のである。
「製品→サービス→体験と付加価値の中核を高度化させていくことで、モノから関心
が離れた消費者に購買行動を促すのだ。
「モノからコトへ」というキーワードをキチンと考えるべき時期でもある。

3.顧客理解へのスキルアップ
1項で述べた大局観醸成のためのいくつかのアプローチが自身のビジョンの方向性を
決めるべきベースとなるが、顧客の変化もキチンと捉える事も経営者として重要である

変化には、「社会的な要因、経済的な要因、法制的な要因、技術的な要因」が
あり、その中から、自社に関係する要因変化を整理しておくことが重要と思う。
ここでは、BSCの手法をベースとしたやり方について説明した。
価値観の傾向変化等から顧客行動の背景とその理由を自身の大局観をベースに、
データやヒアリングの活用により仮説化していく事が必要である。
データには、以下のような官庁関連資料もあるが、
・工業統計調査
・生産動態統計調査
・家計調査
・全国消費実態調査
・サービス業基本調査報告
最近のWEBをベースの調査は、顧客の現在と将来の動きまで把握することも可能
であり、有効である。

中小企業経営者としては、今まで述べたような対応をする時間はないと
いわれる方も多い。あまり大げさに考えずに、出来そうな事を時間の合間に
少しでも実行できれば、少し違うビジネスが開かれるのでは、と思う。

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