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2012年8月17日

2012.08.17

企業のIT化、再考

今年も中小企業IT経営力大賞の応募が行われている。
昨年は、長年地道ながら、自社の身の丈に応じたIT化を進めてきた支援企業が
受賞し、真に喜ばしいことであった。
しかしながら、IT化の必要性をキチンと理解し、継続的な活用に理解のある経営者は
まだまだ、多くないようである。全国420万社の1割の企業が更なるITへの
認識アップと具体的な取り組みに1割の時間をかけてもらえれば、その効果
は大きいように思うのだが。

今回は、改めて、IT化を進めるポイントを再考したい。
1)現状
 過去の「中小企業IT化推進計画」等において、ITの重要性は認識しているものの、
定型業務の生産性向上に留まっており、商品・サービスの高度化による顧客満足度向
上、顧客・取引先との緊密な連携については、いまだ実現レベルとの間に大きな開
きがあると指摘されて来た。
①国内企業のIT化に向けた「3つの壁」
 ・IT導入の壁  
  IT導入自体に関心を有しないなど、導入そのものを妨げる壁がある。
  IT投資の効果に対する疑念に基づく「IT不信の壁」。ヒアリングなどでも、
  中小零細企業を中心とする「無関心の壁}がある。
 ・経営の壁
   IT導入自体を目的としたIT投資に終始するなど、ITの本格利活用に至らないこと
   により、IT経営への道を妨げる壁。多くは、ハードの旧態化による止むを得ない
導入であり、導入は経営の立場ではなく、機械設備導入と同じく道具としての
   視点であり、英語3文字は嫌だとの変な理由での担当者任せがほとんどである。
 ・企業間連携の壁
   既存の取引関係に縛られ、新たな企業間連携を適確に進める事が出来ずIT利活用
   が実質化しない。EDI化の導入も、ほとんど大手と下請けのやむを得ない条件
   導入であり、多くは、FAX、電話など20年以上前から変化なし。

2)再考すべきこと
まずは、経営環境変化の認識とそれによる戦略課題の見直しの必要性の意識改革。
 企業を取り巻く経営環境の激変は企業に多くの課題を突きつけている。
 外部経営環境の変化は企業経営にとって「脅威」であると同時に新しい「事業機会」
 も生み出すはず。その再認識をIT活用の視点からも考える時期では?
 内外の経営環境変化を見極めて策定する経営戦略に基づき、それを実現するために
 取り組むべき戦略課題を明確にすることが肝要である。
 IT経営による強靭な企業体質作り => 「IT経営」とIT活用の一体として
の再認識をする事がまず、重要。

①「IT経営」は単なるIT使用では無いはず。「IT経営」 とはITを活用した
経営戦略を実現したビジネスの仕組み(ビジネスモデル)に基づく経営である。
②企業の「IT経営」のレベル差が拡大している。まだ多くはありませんが、
個人と業務毎のパソコン利用」レベルから「ITを活用した経営戦略の実現」レベルを
実現しつつある企業も増えている。
③今後の経営改革のポイントは「IT経営」であり、自社の「IT経営」
レベルを知り、身の丈にあった対策を考えて欲しい。

3)まずは、大まかでもよいで、自社の戦略化の勧めからIT経営へ
①財務分析による企業力の把握
 自社の実力を知るための定石である財務分析を実施して、自己診断を行う。
②内外環境分析 (SWOT分析)
 経営戦略立案手法として普及しているSWOT分析を行い、自社の内部資源
 の状況把握と外部環境変化の経営に及ぼす影響から、今後の活路を探索して
 主要成功要因を選定する。
 また、新たな事業領域を確定して、業界内または地域内における目指す
 ポジションから中期(3年後)の経営目標を設定する。
 多くの企業では、単年度の目標意識であり、それを改める。
③ビジネスプロセス要件の洗い出し
 自社の戦略遂行に最適な業務の流れ(ビジネスプロセス)を想定して、
 各業務で主要成功要因を実現するために何が必要か?を考える。     
④戦略マップの作成
 主要成功要因とビジネスプロセス要件をバランス・スコアカード(BSC)
 の4視点に配置して、それらの要素を因果関係によって連動させて行く。
 最終的に収益増大の論理的な道筋を描ければ、利益創造の仕組みを構築する
 ことが可能であり、経営者としては、重要な作業でもある。
 例えば、完成した戦略マップで、主要成功要因を中心にした因果関係の流れ
 に着目すると、通常は3~5個程度のグループに分けることが出来る。
 学習と成長の視点→内部プロセスの視点→顧客の視点の順に連続した因果関係
 を持つ大きな流れを一つの戦略企画に位置づける。特に重要なのは、内部
 プロセスの視点→顧客の視点であって、ケースによっては学習と成長の視点は
 別途に検討するケースも多い。学習と成長の視点は、全ての企業・組織が
 取り組まねばならない性格があり、特別な競争力の育成にもなる。 
⑤戦略計画
 自社経営の程度やITの活用度を理解する。戦略マップが戦略の鳥瞰図であり、
 そこから重点的な個別戦略を抽出する(=戦略課題)。それを集約すると
 経営戦略となるはずである。
 選定した戦略課題を3年間で達成することを考え、ビジネスプロセス要件を因果関係
 に従って、各年度にマッピングして行く。
 直近の1年間を短期計画として同様に作成する。
⑥情報化の考え方とIT動向の理解
 ITの活用度をわきまえた上で、戦略課題解決にITを有効に利用することと、
 最近のIT活用の方向性を理解する。これを関係者と討議することが有効。
⑦戦略情報化企画
 各ビジネスプロセス毎にIT化対象業務や目的を明確にして、戦略課題達成を
 支援するためのITを検討する。更に、現状でのIT活用状況を洗い出し、
 現状ITでの限界を把握することが重要である。
 最後に戦略的なIT利活用の内容を決定する。 

4)IT化への勧め    
以下のポイントに留意して、戦略的IT化企画を立案する。
① IT活用ビジョン構築
 IT化範囲、役割の明確化、ITの選択と集中、関連各部門の役割明確化が必要。
② IT活用コミュニケーション
 以下の周知と合意形成が必要である。
  ・経営者から活用の発信と関連部門への周知
  ・システム導入後の変革への理解と周知
  ・システム活用事例の共有、IT投資判断の合意形成
③ ビジネスプロセス再構築
  目指すビジネスプロセスの明確化、データの一元化、標準化の徹底を実施する。
④ IT投資の適正化
  経営者による投資判断と推進担当の投資評価を総合的にまとめる。
  その際、効果要因分析、活用状況把握も必要となる。
⑤ IT利活用人材
  ビジネスプロセス含む改革推進メンバーの育成。
  多くは、兼任となるが、システムの基本を理解出来るスキルアップを考える。

チョット考えると、大変だ!と見えるかもしれないが、実際始めると、数日でも
可能である。要は、経営者として、会社を変えていかねばならないと言う意識
変革がまず、その第1歩である。

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