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2012年9月8日

2012.09.08

組織、人の活性化へのヒント、ポジティブ心理学

最近、元気な企業の経営者と話していると、「最後は人であり、如何に人
を企業の中で、活性化し、有用な人に育てられるか?を考えている」
との事。継続的な、そして、極めて重要な課題である。
最近、個人的にも、社会的レベルでも有効と言われ、その活用と効果に
期待をもたれているのが、ポジティブ心理学である。
ポジティブ心理学は、人間の健康面・人間の強みなど側面に焦点をあわせて、
科学的検証も行い、豊かな潜在能力、人間の美徳、楽観的な感情、幸福感、
未来志向などを探求するなど、心理学者セリグマン氏が提唱したな心理学。

セリグマンが「同じ劣悪な環境の中でも、その環境に負けずに、成功していく人
とダメな人が居ること」への疑問から、ポジティブ心理学が考えられたとの事。
そのためか、ポジティブ心理学は現状の改善を目指すが、社会自体の改革を
目論むものではなく、その実践は現行の制度と共存する形で導入される。
職場レベルで言えば、従業員個人および組織の生産性を上げると同時に、
仕事への満足度を高めることが主点となるが、生産的であることと満足感を味わう
ことが両立する関係となるような価値志向の創出が主題となる。
様々な実験、検証から、組織の活性化、個人の意識改革には、有効との実績もあり、
その活用熱は高まりつつある。

各書に述べられている事例を見ると何と無く納得感が出るのでは。
①イリノイ大学のE・ディーナー博士がある大学の卒業生を対象に行った調査から
大学入学時の性格のポジティブ度(ポジティブ感情を示す度合いを測定したもの)
と、卒業して19年後の収入との関係を示したグラフだが、最もポジティブ度の
高かった学生たちとそうでなかった学生たちとの間に平均年収にして1万5000ドル
の開きが出たことが判明した。

②「尼さん研究」として有名なものだが、修道院という閉鎖的な場所に暮ら
し、生活環境が同じであることから研究対象として好都合な尼僧たちを調査した結果、
最もポジティブ度の高かった尼僧たちと最も低かった尼僧たちとでは生存率に大きな
開きが見られることがわかった。

③「幸福優位性」を人材育成に適用して自らの職場で成果を挙げる。
ザンダー氏のやり方は、自らが講師を務める音楽院で、毎年、新年度のはじめ
に、60人の音楽家の卵たちに「A」という文字を書かせる。「A」という文字
とともに成績が授与される学年の最後の日の日付も書かせる。そして
学生自身に説明させ、「A」をもらった自分に「惚れさせる」。「取れないので
はないか」とささやきかける自分の声を完全に念頭から追いやるようにと指導する。
結果的に、学生たちは外からの期待に添うように頑張るのではなく、「A」という新
たな「未来の現実」の中に自らを見出して頑張るようになるという。

④ロサダラインによる組織活性化
ロサダ博士の研究チームは、60のマネジメントチームがそれぞれ年間の経営目標や戦略
を組み立てる様子を会議室のマジックミラー越しに観察し、各チームがどのような言葉
を用いて議論したかに注目して(1)ポジティブかネガティブか(励ましなど協力的で前
向きな言葉が聞かれたか、または皮肉や嫌味などの後ろ向きの言葉が聞かれたか)、(2
)自分向きか他人向きか(目の前の発言者やグループに言及したか、またはその場に不
在で自社にも関係のない人物やグループに言及したか)、(3)探求か弁護か(状況改善
に向けて質問を行ったか、または発言者自身に偏る議論に終始したか)、という三つの
チェックポイントから分析した。
その結果、60のチームのうち25%に相当する15のチームをハイパフォーマンスチーム
として特定したのだが、彼らは確かに生産性、顧客満足度、上司や部下、同僚からの社
内評価という三つの主要な経営指標においても高得点をマークした。
さらにこれらのチームについてポジティブ感情(P)とネガティブ感情(N)の割合を
算出したところ、P:N=約6:1という、ポジティブ感情が際立つ形での比率が見られた
(ただし、ポジティブ度が高ければ高いほどよいということはなく、あまりに高い値
では逆に障害が出る)。
ちなみにいずれの経営指標でも低い得点を見せた、全体の30%に相当する18のローパフ
ォーマンスチームでは、ポジティブ感情比が1を割ってP:N=約0.75:1(ちなみに離婚
に至る夫婦の場合はP=0.5)、そして経営指標の得点にばらつきが見られた残りの混合
型チームにおいてはP:N=約2:1という比率が算出された。

ロサダ博士がこのときの3タイプのパフォーマンスチームについて数学モデルを用いて
グラフ化している。P/N比を検討していくと、数学の世界では真実が美として表現さ
れることを想起させられるかのような美しい蝶のような形が浮かび出る。結果的に、平
均レベルで人間がうまく機能するためにはP:N=約3(2.9013):1の割合を保つこと
が重要であることがこの研究から判明した。
社員がうまく機能するP/N比の実現を目指して、ポジティブ度を上は約3(または
それ以上)から下は約1という「ロサダ・ゾーン」を目安にしての企業向け
トレーニングが行われ、成果を挙げている。
例えば、70人の社員が居れば、ポジティブ感情の強い人を60人ほどにすれば、
組織としては上手く成果を上げていくが、50人ほどでは、停滞する可能性が高い。

ポジティブ心理学で基本となるキーワード
1)幸せの定義。
以下の3つの基本要素を考えて、定量的な把握をしようとしている。
・喜び⇒楽しい人生
・夢中になること⇒良い人生
・意味を見出すこと⇒意味ある人生
例えば、
意味ある人生とは、自分が考える大切なものに、どれだけ自分が貢献できているか
を指します。自分が大切だと考えるものに、どれだけ自分が役立てていると感じて
いるかが、幸せ度合いを左右する。

2)考えるべき要素
幸福優位性を高めるには、以下の5つの視点をベースに組織作り、人的活性化を
図る必要があるようです。

①ポジティブ感情(Positive Emotion)
人生にたくさんのポジティブな感情をもたらすことで、人生をより良いもの
にすることが出来る。
「ポジティブ感情」は、幸せと同意語と考えても良いそうですが、
10個あると言われている。
喜び(Joy)、感謝(Gratitude)、安らぎ(Serenity)、興味(Interest)、
希望(Hope)、誇り(Pride)、愉快(Amusement)、鼓舞(Inspire)、
畏敬(Awe)、愛情(love)

②没頭(Flow)
高度に没頭する活動に伴う精神的な状態を表す。
何かに集中してやっているうちに没頭してしまい、時間も忘れてしまう。
そんな状態をフロー(Flow)と言っている。
スポーツ選手やアーティストが周りや自分を見失うほど没頭している状態をフロー
(Flow)と名付けて重要視している。

③関係性(Relation)
周りの人々とどのような関係を築けているかという、関係性。
人間が生きていく上で、他者との関係性がその人の人生に与える影響は絶大であり、
その関係をどれだけ楽しく、お互いに支え合えるような関係を築けているか?

④意味(Meaning)
自分の人生に意味を見出せているかは、よく生きる上で重要。
周りから見るとどんなに大変に思えるようなことであっても、自分が考える大切なもの
に貢献できていれば、その人にとっては幸せな人生となる。
人が生きていく上で意味を見出すということが大事となる。

⑤達成(Accomplishment)
生きていく上で大きな目標、小さな目標たくさんある。
目標を達成することで、私たちの人生は満たされて行く。
目標を持って生き、その目標を達成することで、人生を豊かにすることが出来る。

ポジティブ心理学の課題は「既存の競争主義や成果主義を否定することなく、個
人と制度両面への有機的アプローチを図りながら、ウェル・ビーイング(いわゆる幸せ
や生き甲斐)を育んでいく」ことにあるとの事。
皆さんの組織、皆さん自身は、如何ですか?
「単純に頑張ろう精神ではなく、組織活性への要因、要素を明確にすることで、
より効果的なアプローチも可能となるのでは?

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