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2012年11月10日

2012.11.10

中小企業支援ネットワークについて思う

中小企業が抱える経営課題への支援体制を強化するため、地域の中小企業
団体、地域金融機関、税理士、NPO等の中小企業支援機関等から成る
ネットワークを構築し、支援機関の連携の強化、支援能力の向上を図る
「中小企業支援ネットワーク強化事業」が進められている。
また、最近の日本再生計画でも、中小企業が「が国の経済成長を牽引し、
将来のグローバル企業の苗床、地域の雇用や社会をしっかり支える地域の
核となる存在」としている。日本再生戦略(平成24年7月31日閣議決定)
では、「担い手としての中小企業」として、ちいさな企業に光を当てた地域
の核となる中小企業活力倍増プロジェクトを進める。私自身、「日本の未来
応援会議ー小さな企業が日本を変える」サポーターでもあり、今回の動き
には、興味がある。
中小企業政策では、これまでの小規模企業向けの支援策は、一律の下支え
支援策が中心となっており、それぞれの企業の実情に応じたきめ細かな支援
策が講じられてきたとは言い難い状況にある。
このため、これまでの中小企業政策を真摯に見直し、“ちいさな企業”
に光を当てた施策体系へと再構築を図るとともに、様々な段階・指向を
有する小規模企業に対し、それぞれの実情に沿ったきめ細かな支援策を
構築していく、との事。
このため、知識サポート・経営改革プラットフォーム事業を進める。
100 万社以上の中小・小規模企業が、気軽に専門家や先輩経営者等からの
高度で生きた知識・ノウハウの提供を受けられる、1 万以上の専門家・支援
機関等が参画するIT クラウドを活用したプラットフォームを構築するととも
に、全国200箇所の地域プラットフォームを構築し、経営支援体制の強化
を図る。
先ほどの強化支援ネットワークが人のつながりを主とするものであり、こちら
は、地域としての基盤作りと考えてよいのであろうか?

しかし、現場(中小企業の経営)はあまり待ってくれない。企業を訪問しても、
①これまで以上に危機感が強い
業績が低迷することで、何かしなければと感じ始めている経営者は増えて
いるが、具体的に何をすればよいのか、自分で見出すことができず、不安
と自信喪失の入り混じった危機感が高まっている。
②反省し、迷っているひとが増えている
いままで、経営者としてのスキルが計られたり、他人に欠点を指摘される
ことがなかっただけに、できるはずのことができない無力感は強く、真剣に、
できるようになりたいと考える経営者は多い。
ただし、最近の環境変化の激しさについていけない現状もある。
③意思が伝えられないことを改善する
市場、事業が上手く行っている場合は、阿吽の呼吸みたいな感じで何と無く
意思疎通が出来ていたと思う経営者は多かったが、反省したり、挫折感を感じる
ことの多くが表現力の不足にある。改めて問われたら、うまく答えられない
ことに気づき、お客様や従業員に意思が伝わらない原因を自覚しつつある。
④体験が自信につながる
耳で百回聞くよりも、一度やってみることのほうが、より深く理解できると
わかっていても、差し迫った理由がなければ、考えて結論を出したり、紙に
まとめてみることなどを体験することはない。
⑤受益者負担意識が高まる
サービスの提供を受けるためには、できるだけ安いほうがよいと誰も考える
が、内容がよければ、ある程度の出費もいとわないと考えるひとも多く、
現に、高額な民間研修の受講者は多い。

他方、先ほどの基盤作りが出来たとしても、その基盤に中小企業をつないで
いくのは、各商工会等の経営指導員となる。
経営指導員は、商工会議所・商工会に常駐し、地域内の小規模事業者のために
経営改善や指導にあたっており、同時に、地域の商店街、祭りやイベントなど
の事務局をするなど地域振興の担い手としても活動されている。
今回参加した討議会でも、経営指導員さんの悩みは多い。

・企業からの相談が多岐にわたるが、個人的なレベルでは、全ての相談に
応えられない。
・自分のスキルアップと専門家とのネットワーク作りをしたいが時間がない。
・企業経営者との信頼関係を得るための時間が取れない。
・紹介した専門家と企業側のミスマッチが多く、対応に苦労している。
・経営者の悩みも漠然としたものが多く、問題を掘り下げ、具体的な課題認識
をお互いに醸成するまでに中々行かない。
等など
更に、経営指導員達は補助金のでない地域総合振興事業で手一杯なのが現実。
経営指導員は、地域社会の要請に応えて、商工会の各部会(青年部・女性部・
商業・工業・建設・・・)、お祭り、商店街・・・、それぞれの事務局を
担っている。
たとえば、ある指導員さんは「毎月23の会合が自動的にスケジュールを埋めて
しまう」と語り、別の指導員は「地域から要請されると断り切れないことから、
こうした事業(事務局をつとめるイベント等)はどうしても増えていく」との
事。
こうして本来の「経営指導」のウエイトが低下している現実がある。そもそも、
地域そのものを活性化しないと域内の中小・小規模事業の将来はない。そういう
意味では、地域に根ざし、祭りやイベントをサポートする活動は、商工会議所・
商工会の目的にかない必要なものなのだが。

今回の支援ネットワークのセミナーに参加では、行政側では、まだまだ、人創り
より器作りに意識が高いようである。この点を感じたのは、私だけではなく、
参加者からもかなりの不満が出ていた。
確かに、知識サポート・経営改革プラットフォーム事業としての仕組み作りは
大切であるが、以下の点の考慮も大切と思う。

1)現場での人材育成の強化
今回のような研修会的な会の開催の頻度アップは人のつながりを増やし、その場
の気付きからのスキルアップを進める。
①研修会は、みんなが知りたいことに対応
受講される方が、知りたいことや体験したいことを要望してもらい、受講者その
ものを事例として、相互に学ぶ。
②交流会は、必要なひとにあえる場所
参加者は、事前に、何を目的として、どんなひとに会いたいのかを事前に
決めて、プロフィールが事前に配布される。きているひとの顔がわかり、少し
だけ発言する機会も持て、みんなが当事者になれる。
③個別支援は、フォローアップを重視
支援は年何回、達成のために何をするのかということを具体的に決め、取り
組んだ結果を分析し、さらに目標を達成するためのアドバイスを受ける。
2)企業の選別
行政的な発想であると、相談に来る企業には、機会均等の対応となるが、元々、
事業としてはどうにもならない企業(一般には、全体の2割?)に限られた人
と費用をかけるべきか、疑問が残る。このために、経営指導員が自身のスキル
アップに支障を来たし、支援すれば、頑張れる企業への対応が不十分になれば、
本末転倒の結果となるはず。経営者の質、会社の実績などから判断すれば、
事業継続の厳しい企業は、結構あるようにも聞く。関係する研究会でも、
同様の事例企業の報告があったとき、参加していた企業経営者から多く出た
疑問が「何故、そこまでそこまで支援するのか?早めの倒産と言うフェーズ
に持っていくべきでは?」
正当な意見とは思うのだが。
中々に、考えさせられる討議の機会ではあった。

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