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2012年12月1日

2012.12.01

オープン・イノベーションと中小企業

最近、従来のクローズ型ビジネスの限界と日本企業の再生手法の1つ
としてのオープン・イノベーションがよく言われるようになっている。
チョット前の大手企業のオープンイノベーションの取り組み
紹介の話やその他での中小企業としての取り組みの話もあり、経営
トップの意識次第で対応可能なのだ、と思った。

オープン・イノベーションとは「会社」の枠を越えて行うイノベーションで、
決して新しい概念ではないが、現状を見渡すと殊に日本企業はなかなか自前
主義から脱却できていないのも事実である。まだまだ、共同研究、産学連携
と何が違うの?同じでは?と言う声も良く聞かれる。
1990年代には、アメリカ的な株主主権主義の台頭による研究開発への
投資減退などやデジタル化、モジュラー化があり、産学連携が進んだ様である
が、結果的には、尻つぼみとなり、企業の閉鎖性はそのままとなった。

しかし、企業を取巻く環境は、厳しくなる一方である。 例えば、製品ライフ
サイクルを2002年と2007年とで比較すると、13業種中12業種で
短縮化しているとの事。イノベーションにますますスピードが求めら
れるようになっている。また、インテル、デュポン、P&Gのような積極的な
オープン・イノベーションで成果を上げている企業も出ていることも事実
である。良く、P&Gのオープン・イノベーションの成功要因は3つに
集約されると言われる。
①目的意識の明確化
R&DのためのR&Dではなく、明確な製品コンセプトに基づき、技術探索を
進めたことがイノベーション成功率やR&Dコスト低減に反映された。
②ネットワーク構築
世界中のアイデア・技術とコンタクト可能なグローバルネットワークを
ソフト/ハード両面で構築したことが、実際のアイデア・技術調達を実現
させた。
③R&Dのミッション変革
研究者に、社内で研究するだけでなく、社外アイデア・技術の活用について
もコミットメントを要求したことが、実効性のあるR&D促進につながった。

これらは、オープン・イノベーションを積極的に進めている日本企業の
スタンスとしても、よく出てくるポイントでもある。
また、実績のほどはよく分からないが、
以下のような「オープンイノベーション推進ポータル」もある。
http://www.open-innovation-portal.com/

連携の考え方としては、シリコンバレーにおけるエコシステムも、参考になる。
このエコシステムには、大企業の新規プロジェクトと似たところがある。
例えば、大企業で2、3人のエンジニアを中心に新規プロジェクトを起ち上げる
とすると、プロジェクトを円滑に進めるには、人事部や法務部、事業部長や
研究所長のサポートが必要となる。その意味では、彼らもプロジェクトの一員。
シリコンバレーのエコシステムと大企業の新規プロジェクトで異なるのは、
後者が会社という枠の中でのシステムであるのに対し、前者が会社という枠
の外でできたシステムとなっている点であり、専門能力を持つ多人数が事業を
遂行する少人数をサポートするという構造は両者で大きく似ている。
要は、如何に、大学や専門企業等の外部の関連リソースを上手くまとめられる
か、と言う経営トップの意識とスキルに関わっている。

米国では、イノベーションの担い手が大企業から、ベンチャーや大学へと変化
している。
これはシリコンバレーという一部の地域だけで起きていることではなく、市場
経済の大きな流れの中で起きている本質的な変化であり、大学は、
イノベーションの種を生むとともに、それを何らかの形でビジネスへと成長
させる「場」を提供する機能も果たしている。実際のイノベーションを担う
のはベンチャーが中心になるが、産業化には関連企業のインフラも必要となる。

最近では、以下の4点をベースにオープン・イノベーションの進め方が討議
されているようである。
1) コラボレーション強化
コラボレーション強化とは、単純に社内外の技術を足し算するのではなく、
自社の強みを梃子にして必要なケイパビリティを社外から調達することで、
スピーディ且つ高いレベルでのイノベーションを実現するということである。
但し、強みを認識しないままコラボレーションを図ろうとしても、
イノベーション価値が増幅しないどころか、逆にそのオープン性ゆえに
自社を危険に晒してしまう場合もある。
まずは、自社の強み・弱みを棚卸しし、十分に自覚することが、
ファーストステップである。
2)グローバルネットワーク
「グローバルネットワーク」とは、ケイパビリティを探しにいく世界を可能な
限り広めることでオープン・イノベーションのマッチング確率を高めること
である。日本企業の場合、国内の業界活動に参画している企業は多いが、
グローバルネットワークに積極的に働きかけたり、インフラを構築したり
している企業は少ない。まずは視野をグローバルに広げ、世界中のリソース
に手を伸ばせるネットワークに参画する、もしくは自ら構築することが重要
なステップとなる。
3)プロデューサーの育成
ネットワークに接続できたとしても、外部を有効活用する意識がなければ
宝の持ち腐れとなってしまう。オープン・イノベーションには、目的志向に
基づき社内・社外のリソースを中立的に評価し、イノベーションをマネジ
メントする舵取り役が必要である。反面、日本企業では自前主義の傾向が強く、
縦割りの組織が社内コラボレーションすら阻害している例が少なくない。
まずは、社内外を問わずリソース最適活用を促進する仕組み・制度の整備と
社内横断のプロジェクトマネジメント能力の強化が、プロデューサー創出の
ためのステップとなる。
4) 全社規模の意識変革
いかに優れたネットワークとマネジメント能力を保有し、自社の強みを強化
させるコラボレーションを考え付いたとしても、R&D部門のみの変革では
なかなか既存ビジネスの延長線から抜け出せない。日本企業はイノベーション
をR&D部門のみに任せることや、コスト効率だけを追求することをやめ、
ビジネスモデルの変革機会としてオープン・イノベーションに取組む必要
がある。まずは、顧客にどんな価値を提供する企業を目指すのかを明確にした
上で、オープン・イノベーション成功のために全社規模で何をしなくては
いけないのかについて、しっかりと議論することが必要である。

実は、これらのテーマや課題は中小企業でも十分対応できる内容でもある。
確かに中央研究所のような大掛かりなものはないが、上記の4項目も自社
なりに進めることが出来る。
まずは、自社の棚卸による見直しであり、産学連携や各種連携の仕組みの活用、
そして、経営トップが中心となり、全社の意識改革と選任メンバーによる
コーディネートの実施である。私の知っている企業でも、社長が中心となり、
内外部リソースのまとめやネットワーク作り、社内の意識改革を実施し、
オープン・イノベーション的な結果を出している。
R&Dといえば、とかく内部で実施するという感覚が強く、大企業にしか出来
ないと思われるが、実際には外部で実施するものもあり、外部のR&Dが内部
のR&Dよりも重要になることがあると考えるのも重要なのでは。

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