« 2012年12月1日 | トップページ | 2012年12月15日 »

2012年12月8日

2012.12.08

中小企業とサービス化

製造業のサービス化とと言われて久しいが、特に、中小企業の中では、
部品製造など直接顧客が見えていないこともあり、その取り組みには、
まだまだの様である。
しかし、ビジネスの主流が、「モノを売るビジネス」から「モノや
サービスの提供を通じて顧客に満足感を売るビジネス」にシフトしつつ
ある現状、所謂「コト」化への進化の中では、会社の規模に関わらず、
経営認識として捉えておくべきことでもある。
モノの需要が経済を牽引する時代からサービスの需要が経済を牽引する
時代へと変化しただけであり、優れたサービスの提供には優れたモノ
の製造が必要であり、サービスが拡大することによってモノの需要が
拡大することは言うまでもない。
ビジネス環境がサービス牽引型に変わったことに対応して、製造業は
その在り方を変えていかなければならないし、モノの価値だけで勝負
するのではなく、モノで実現するサービスの価値で勝負することが重要
になってくる。

以前支援した企業も家電製品の下請けとしての製造のみをしてきたが、
自社が蓄積してきた保守部品製造やそのサービスのノウハウの高さを
強みとして認識し、全国的な保守サービス事業を立ち上げた。同じく
家具屋として製造販売のみを長年ビジネスとしてきたが、その需要の
低減に伴い、過去の家具の修繕、改造などの保守、修繕サービスを
新規ビジネスとして頑張っている。

また、サービス業の場合でも、その生産性向上と顧客満足向上の両立
を図っている。
例えば、ハイサービス百選にも選ばれている和倉温泉の加賀屋の場合は、
客室係が宿泊客とのコミュニケーションを通じて、宿泊客の要求を理解し、
それを旅館全体で情報共有することで、宿泊客が求める前に必要な
サービスを提供できるようにしている。これによって宿泊客の満足が
高まるだけでなく、何を行えばよいのかが従業員の間で十分に理解され、
その行動に無駄が無くなり、サービス提供の効率を高めている。
回転寿司のくら寿司では、廃棄率を低くするために来店客の飲食履歴を
分析できるシステムを店舗に導入し、得られたデータから厨房で調理を
行っている。この方法によって、廃棄率が低下し、サービス提供の効率
が向上しただけでなく、来店客の立場から同じことを見ると、待たずに
食べたい寿司がレーン上にあることになり、顧客満足度の向上にも
つながっている。

多くの先進的な方法でサービスを提供している企業は、顧客の行動や
要求に、サービスの内容や提供方法を最適化している。そして、
経験や勘だけに頼ることなく、客観的データの収集と蓄積、分析を
通じて、サービスが最適化される科学的・工学的手法が導入されている
のである。
サービス関連のビジネスが増えるこれからの時代に企業が成功し続ける
ためには、従来の製品中心のイノベーションだけでは不十分であり、
サービス領域での変革が不可欠であるといえる。製品中心からサービス
中心へ、モノづくりからコトづくりへと企業が顧客に提供する価値が
シフトしていくなか、モノを使う側にいる生活者と共創しながら、
競争力のあるコトづくりを創造することが求められているのである。
これは、コモディティ化のリスクを払い除けるための明確かつ
持続可能な手段でもある。これには、会社の規模に関係はない。
経営者の気付きと従業員の意識改革である。

ビジネスをサービスという枠組みに入れると、ビジネスに対する考え方
が変わる。顧客との関係の築き方、ビジネスの構築法、差別化や価値創出
の手段といった、すべてのものがサービス志向になる。
この経営コンセプトの変化が第一歩である。
ある企業では、「人々の暮らしはどこへと向かっていくのか」を生活者視点
で捉える「生活者発想」を第一義に掲げ直している。人をユーザーや
ターゲットとしてではなく、生活者として「まるごと」観察し、生活者の
心の奥にある価値観や欲求の変化を読み解いていく「生活者発想」が
最重要と認識したからである。

サービスの実施や高度化に向けて様々な取り組みの中でも、IT やロボット
技術を活用したサービスマネジメントシステムを導入して、顧客の行動を
「見える化」し付加価値の高いソリューション提供を行う企業が
現れてきている。これは、毎年表彰される「IT経営力大賞」の企業の
先進事例を見れば、よく分かる。先ほどの加賀屋やくら寿司のようにライン
の状態を「常時リアルタイムで情報が入る仕組み」を作り上げたこと
が競争力となった事例などを初めとして、IT を単なる効率化のための道具に
過ぎないとみなし、コスト削減や合理化のツールとしか考えないステージ
から経営全体の中でのサービス化へのソリューションとして考えること
が重要である。

« 2012年12月1日 | トップページ | 2012年12月15日 »

最近のトラックバック

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ