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2013年2月16日

2013.02.16

経営力、組織力の強化に向けて

昨日は、和雑貨を製作、販売している企業から「知恵の経営」への対応を
テーマに、討議した。全社取り組みへの苦労や知恵の可視化による更なる
自社強化の取り組みなど、参加メンバーは、各自、業種業態は違えども、
夫々の気付きをもらった様である。
更に、このような取り組みをベースに、中小企業の経営力が強化されて
いくことを熱く語られ、経営の面白さを実感したのでは。昨今の経済環境、
社会環境の変化に対して、、単に経営トップが旗を振る(振っていない
企業も散見されるが)だけでは、この状況からの好転はない。全社挙げて
の総力戦が必要な時代でもある。
そのこともあり、今回は、よく使われている経営力、組織力強化のための
幾つかの手法について、概観し、出来れば、自社の次の展開に役立てて
欲しいものである。
・戦略マップ
・ビジネスモデルゼネレーションキャンパス
・知恵の経営報告手法
・経営品質手法

1.戦略マップ
バランススコアカード(BSC)をベースにした戦略マネジメントシステム
で使われる。戦略記述・説明ツールで、組織体(もしくは事業)全体の戦略
目標とBSCの4つの視点(財務、顧客、業務プロセス、学習と成長)ごとの
課題と施策、個別目標の関係を図示したもの。
戦略マップは、階層状に配したBSCの4つの視点を示すエリアに各視点での
取り組むべき課題、達成すべき目標を置いて、互いに影響や関係のあるもの
を矢線で結び付けた図である。各個別目標間の因果関係を可視化する
ことで、全体として整合性のある戦略を構築・検討することができる.

BSCフレームワークにおける戦略とは「どのようにしたら、ビジネスが
成功するか?」を示した“仮説”であり、戦略マップはそのストーリー
を1枚の図にまとめたものである。戦略の全体像を把握するのに適しており、
“戦略策定・検討ツール”として有効である。また、一般社員にとっても
「会社の方向性」「全体の中での自身の位置付けや役割、求められる貢献度」
が理解しやすい。結果として戦略実行時の“意思統一ツール”、社員の
“モチベーションアップツール”としても役立つ。

戦略マップ化の実施すべき流れ
1)ビジョンの確認
ミッションとコアバリューが明確になった(または明確である)なら、
それらを基にビジョン(組織体がどうなりたいか)を策定する。ビジョンを
策定するには、環境分析または3C分析,PEST分析等を使用する。
2)基本戦略策定
ビジョンが明確になったら、それを実現するための戦略(組織体のゲーム
プラン)を立案する。戦略の立案には、SWOT分析とクロス分析を使用
すると有効。
3)戦略目標と戦略マップ
基本的な戦略が明確になったなら、これらを基に戦略マップを作成する。
基本的な戦略といっても、実際には基本となる戦略目標が導かれている
はず。戦略マップにおける戦略目標は、『財務の視点』『顧客の視点』
『内部プロセスの視点』『学習と成長の視点』の4つの視点から捉える。
これらは4つの階層と考えることが出来るが、下位から上位へ因果関係の
把握、上位から下位への検証が必要となる。

各視点のポイントは?
①内部プロセスの視点 - われわれは何をすべきなのか?
『内部プロセスの視点』では、内部的にどのようなことを行う必要が
あるのか、プロセスの定義や改善などの視点から戦略目標を捉える。
②顧客の視点- 顧客には喜ばれているのか、必要な要望に応えているのか?
『顧客の視点』では、顧客を喜ばせるためにはどうすべきか、外側から
戦略目標を捉える。『内部プロセスの視点』でとらえた戦略目標を達成した
場合は、『顧客の視点』ではどうなるのかといったことを考えて戦略目標
を明確にする。
③財務の視点 - 利益が出ているのか?
『財務の視点』では、株主を喜ばせるためには財務をどうすべきか、
経営側から戦略目標を捉える。『顧客の視点』でとらえた戦略目標を
達成した場合は、『財務の視点』ではどうなるのかといったことを考えて
戦略目標を明確にする必要もある。
④学習と成長の視点 - 将来に向けての活動は十分か?
最下層の『学習と成長の視点』は、基本的な戦略目標を達成するために、
内部のプロセスを実現維持する環境の整備や人材の育成をどのように行う
必要があるのかを捉えるための視点となる。中小企業としては、一番
難しいことでもある。

中小の個別企業の支援をして、戦略マップ化を進めるには、SWOT分析
も含め、関連部門の参加とオープンな討議が前提となり、必要でもある。
これは、単に、全社をマップ化し、可視化するだけではなく、討議を通じて、
各部門のキーマンが夫々の立場で新しい気付きや業務上でのアイデアの
気付き、全体での情報の共有化の推進などプロセス上でのメリットも大きい。

更に、戦略マップで戦略を記述・定義し、これに基づいてCSF・KGI・KPIを
設定してスコアカードを作成する。このように作成されたスコアカード、
戦略スコアカードは、組織体の戦略を反映したものであり、組織体が想定
する目標、成果、達成方法などを体系的に明確化、詳細化したものとなる。
これが戦略を効率的かつ迅速に実行するための戦略マネジメントシステム
のベースとなる

2.ビジネスモデルゼネレーションキャンパス
これは、既に2012年11月24日の記事に書いているので、その前半
だけの転載となるが、
1)ビジネスモデルゼネレーションとは?
簡単に説明すると以下の9つの要素をベースに何を、どのように進めて
いくか?をまとめていくものである。
①顧客セグメント(CS)
企業が関わろうとする顧客グループについて定義する。
②与える価値(VP)
特定の顧客セグメントに向けて価値を生み出す製品とサービスについて記述。
③チャネル(CH)
顧客セグメントとどのようにコミュニケーションし、価値を届けるのかを記述。
④顧客との関係(CR)
企業が特定の顧客セグメントに対してどのような種類の関係を結ぶのかを記述。
⑤収入(RS)
企業が顧客セグメントから生み出す現金の流れを表現する。
⑥リソース(KR)
ビジネスモデルの実行に必要な資源、資産を記述する。
⑦主要活動(KA)
企業がビジネスモデルを実行する上で必ず行わなければならない重要な活動
⑧キーパートナー(KP)
ビジネスモデルを構築するサプライヤーとパートナーのネットワークについて
記述。
⑨コスト構造(CS)
ビジネスモデルを運営するにあたって発生するすべてのコストを記述する。

2)その効果は?
・現在と将来の組織モデルの見える化が可能となる。
・プロジェクトの全体像と役割、相互関係を視覚的に見れる。
・ビジネスを必要プロセス化に翻訳出来る。
・活動を全体的に考え、細部へのこだわりをやめるよう、
 チームに気付かせてくれる(一覧性の活用)
・支援者、仲間との共通言語とフレームワークを共有出来る。

昨日は、これを少し参加企業でワークしてもらった。1時間ほどであり、
少し戸惑いもあった様であるが、その活用への気付きはあったのでは。
中小企業の他に、NPOや自治体にも紹介しているが、結構、面白い
との評価もある。

3.知恵の経営報告手法
多くの自治体は、「知的資産報告」として、「1.戦略マップ」的な
まとめ方をしている様であるが、京都府で採用しているのは、チョット
違ったアプローチであり、今回の和雑貨の企業の報告もこの手法に準じて
いる。個人的にも、中小企業向けには有効では、と思っている。
参考のガイドブックは、
http://www.pref.kyoto.jp/sangyo-sien/documents/1227854577732.pdf
であり、詳細はこれを参照してもらいたい。
この報告での特徴は、会社全体の経営の方向性について説明することでは、
他の自治体の報告書と変わらない。しかし、個々の商品(事業)ごとの
競争の方法について説明「主力商品」や「売上希望の強い商品」を絞り
込んで記載することに特徴がある。
これらの主力商品を抽出することが、知恵(強み)の発見に役立つと
考えている。
主力商品を抽出するための指標として、次の3つの視点が挙げられる。
・売上高から考える
・特異性(他社との違い)、個性から考える
・今後も売り続けたいかどうかを判断する
これらの視点に基づき、主力商品を「売上高」と「特異性(他社との
違い)」の両面から分析し、次の4つのタイプに区分する。
・タイプⅠ;売上げが高く、特異性も強い
・タイプⅡ;売上げは高いが、特異性が弱い
・タイプⅢ;売上げは低いが、特異性が強い
・タイプⅣ;売上げが低く、特異性も弱い
知恵(強み)とは「商品が売れている理由」や「事業収益が上がっている
理由」などのことで、「自社の強み」を表すもの。強みと弱みの両面から
自社の特徴を分析することで、強みが構築された背景などを含め、知恵
(強み)の詳細が明らかになって行く。また、他の人からもその強みなど
が理解できるよう、数値、写真などやKPI( 経営のものさし: 重要業績
評価指標KeyPerformanceIndicator)を用いて客観的な理由付けを行うこと
も重要である。

4.経営品質手法
上の3つと比べて、現組織を評価することが主であり、少し趣が違うが、
経営力、組織力アップには、重要な手法と思っている。

「経営品質」は「組織効率化のための洗脳ツール」とか、「従来からの改革
活動に屋上屋を重ねるもの」などと、誤って認識されることがあるが、
以下のような特質を持つ。
・ 今までの各種取組を否定して、新たな取組を行うものではない。
・ 特定の経営手法を押しつけるものではありません。
・ 対話を重視しており、効率化を全てと考えるものではない。
・ 顧客とともに、職員を重視する考え方。
・ 組織の成熟度を知ることができ、改善に取り組むことが出来る。

1)4つの要素
以下の基本理念の4つの要素は、経営品質の価値観が凝縮されたものであり、
この考え方になじまない組織は、経営品質に取り組んでもあまり効果が
期待出来ない。
①顧客本位 ~お客様にとって必要でないことは仕事ではない~
「いつもお客様の立場からものを見ていく」「組織の目的はお客様に価値を
提供することに尽きる」という考え方。
私たちは、自己満足的な作業を、仕事だと思ってやっている可能性があり、
そこでいつもこう自問自答してみる必要がある。
「その仕事は本当にお客様のためですか。なぜそうと言えるのですか」と。
②独自能力 ~長所を伸ばしてオンリーワンを目指す~
組織のもつ「独自の強みを伸ばす」ことが極めて大切だということ。他の
組織と同じことをよりうまく行うのではなく、「強みを生かしたオンリー
ワン」を目指す。顧客の心に残るのはオンリーワンのみのはず。
また「高い目標」が大切ですし、初めから一番を目指すのが良いと言われる。
③社員重視 ~社員がshine(シャイン)~
一人一人の尊厳や自主性を大切にすること、職員が好奇心や情熱を持ち
続けられることを重視する考え方。社員が仕事の中に創造性を発揮し、
輝く(シャイン)ことができるような環境づくりが求められる。
トップの思いを実現する人材がいるかどうかが組織浮沈の鍵を握っている
のであり、だからこそ、スタッフの意欲を重視する必要がある。
④社会との調和 ~地域から尊敬される組織づくり~
組織は社会の一員であり、社会に貢献する、社会価値と調和する組織を
目指すべきだという考え方。
組織は社会との不調和を生じさせることがある。例えば、経済活動を行う
こと自体、環境に負荷を与えている。こうしたマイナス作用を抑え、
さらにはプラス作用を生み出す努力が継続されているかどうか、が
重要となる。

2)評価すること
以下がアセスメントの3点セットと言われる。
①組織プロフィール
②8つのカテゴリー
③評点ガイドライン
各セットの詳細は省くが100ほどの質問回答など中小企業の作業負担
としては、チョット厳しい。
ただし、この評価項目を自社内で消化して、簡易化すれば、有効な活用も
出来るのでは、と思う。

時代は、思いつきの無手勝流から、自社のキチンとした把握からの戦略的な
アプローチが必須とされる流れに大きく変わりつつある。
生き残る知恵としても、是非、活用してもらいたい。

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