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2013年8月17日

2013.08.17

ものづくりの進化、ファブラボ

中小企業製造業に訪問していると長く培った職人技に驚くことが多いが、
社会はものづくりの点でも、大きく変化しつつある。
社会にある智慧やお金、技を広く集め、その多様性を活かして、新しいモデルを
創って行く動きも急激に進んでいる。
チョット前に、書いたクラウドソーシング、クラウドファンディング等がそれである。
しかし、反面、その動きを知らない人、分かっているが受け入れない人が多いことも
事実である。
数年前からファブラボと言うキーワードがメディアに登場するようになった。
3Dプリンターが注目を浴び、新しい世界を創り出すと言われているが、これらの
実現手段の汎用化、低廉化が更に進むと情報の世界でインターネットが注目を浴びた
10数年前と同様の新しい世界が現出するかもしれない。
製造業でも、多種少量化の要求が進み、従来からのビジネスモデルも
変えざるを得ない状況が徐々に進むと思われる。

1.ファブラボとは何か?
デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備えた、実験的な市民工房のネット
ワークである。
ファブラボは、個人による自由なものづくりの可能性を広げるための実験工房である。
3Dプリンタやカッティングマシンなどの工作機械を備え、人々にデジタル・
ファブリケーション技術の利用機会を提供することで、「つくる人」と「使う人」
の極端な分断の解消を目指すとしている。
20世紀は大量生産大量消費の時代であったが、21世紀を迎えた今、パーソナル・
ファブリケーションの時代へと向かっている。子どもから専門家までが “Do It
With Others” の精神で連携しながら、自由にものづくりをする活動が始まって
いる。ファブラボは、次世代のものづくりのインフラのようなもの。
インターネットの普及によって、誰もが自由に情報発信することができるように
なったように、ファブラボが各地に普及することで、誰もが自由にものづくりが
できるようになることが期待されている。
デジタル工作機械は急速に低価格化しており、いずれは一家に一台普及する時代が
やってくると考えられている。
「Fab」には「Fabrication(ものづくり)」と「Fabulous(素晴らしい)」という2つの
意味が込められているとのこと。ファブラボの基本的理念はFab Charter(ファブラボ
憲章)として共有されており、世界中でファブラボが急速に増える中、「ファブラボ
とは何か?」という議論は常に続けられている。その定義は徐々に変化しているが、
現時点での共通認識を要約すると以下のようなものになる。

2.ファブラボの要件
ファブラボのWebサイトには以下のような要件が記述されている。
①一般市民が利用可能であること(パブリックアクセス)
無料(もしくはお金以外の交換条件の下)で一般の人々に利用を公開する。
②ファブラボ憲章の理念に基づいて運営されていること
ファブラボ憲章をウェブサイトおよびラボに掲示し、目に触れる状態にする。
③共通の推奨機材を備えていること
機材を共通化することで、すべてのファブラボが知識やデザインを共有し、
国境を越えて協力し合えるようにする。
・ファブラボ推奨機材:http://wiki.fablab.is/wiki/Portal:Equiment
・ファブアカデミー推奨機材:http://www.fabacademy.org/diploma/
④グローバルなファブラボのネットワークに参加すること
年に一回開催される世界ファブラボ会議や、ファブアカデミー、他国の
ファブラボとの共同ワークショップなどの国際的なプロジェクトに参加し、
世界のファブラボのネットワークの一員として認知されることが求められる。
世界のファブラボの共通認識となる考え方は、世界ファブラボ会議や
オンラインなどで議論され、その情報はhttp://wiki.fablab.is/などに
まとめられている。

3.日本でのファブラボの活動
2011年、日本初のファブラボとして、FabLab Kamakura(神奈川県鎌倉市)
とFabLab Tsukuba(茨城県つくば市)がオープンし、本格的なものづくり活動が
始まった。その後FabLab Shibuya(東京都渋谷区)がオープンし、札幌、金沢、
東京など日本の各都市でもファブラボ設立に向けての検討が進められている。
現在、3ヶ所でファブラボが活動しているようであるが、クラウドファンディング
のReadyForで資金を集めているFabLabKamakuraについて少し記述する。

①FabLabKamakuraプロジェクトについて
一昔前の日本では、日用品から家に至るまで、「モノ」を自らつくる文化があり、
「つくる」ことは、「結」(ゆい)と呼ばれていた。
FabLabKamakuraは、デジタルの3次元プリンタやレーザーカッターなどのカッティング
マシンからアナログの織り機まで様々な「道具」をもっと身近に使える環境を整え、
誰もが自然に「つくる」世界を目指しているとのこと。

②ReadyForでの趣旨
今回のプロジェクトでは既存の「つくる」ための道具をもっと誰もが使えるようにする
「FabToolsプロジェクト」の第2弾、第3弾といったシリーズ展開を進めていくための研
究活動費、並びに、もっと多くの人が「つくる」未来のためのトレーニングプログラム
を実施していくための、費用を集めることを考えている。
FabLabKamakuraは現在、私費を投じて運営しており、継続的な運営が困難な状況
にあり、日本でも生まれかけているこの21世紀ものづくりの萌芽を支援して頂きたい
と思っている。
誰もが「ものつくる日本人」になるための社会をつくるプロジェクトです。

③今後の進め方
昨年、「つくりかた」を考える上で転機となる発見があった。それは、アナログの
卓上「織り機」の構造を解読していた時、「織る」という行為に辿り着くまで、
いくつもの複雑なプロセスがあることに気づいたことです。どうにか、要素だけ
を抽出し「織る」行為そのものの敷居を下げ、より多くの人が「織る」ことに
親しめるシステムから提案できないかと模索し、あみ出したのが作り手自ら
「織り機」をレーザーカッターでプリントアウトするという「FabTools」
(ファブツールズ)というやり方。
一枚のシートに道具の要素を集約させ、自分の好きな素材で「織り機」をレーザー
カッターで出力することが出来る。
道具をプリントアウトすると、必然的に「つくる」という行為が発生し、さらにデ
ータは拡大・縮小、機能の付け足しなど自在に行なうことが可能となる。
普段使用することを考えないような素材も、織る素材として扱うことができる。

個人ベースでモノ作りをすることにより、金を出せば、望む製品が入手できる
時代から、作るための道具、機械作りから始められる、と言う発想の転換は
意識の変革も醸成し、従来の製造業の役割も変えざるをえない状況となろう。
最近は、従来のプラスティック素材をベースとした3Dプリンターから金属
素材も可能とする3Dプリンターへの進化も言われつつある。
資金、ネットワークなどまだまだ、不十分な状況の様であるが、ファブラボ、
是非、次代のインフラとして拡大してもらいたいものである。

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