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2013年9月14日

2013.09.14

中小企業へのクラウド活用

Saasというキーワードで広がったクラウドサービスも、
6年ほど経ち、企業のインフラとして、活用度はアップしている。
最近は、社会インフラとして、農業での活用や介護での関係ネットワーク
作りに効果を上げ始めている。
ただ、昨年まで毎年数回のセミナーやフォーラムをしてきたが、中小企業の
IT化としては、まだまだの動きであった。
・まだ、クラウドやSaasの名前すら知らない経営者
・クラウドのメリット理解しても、旧来のIT活用で十分と思っている経営者
・データが自分のコントロールできないところにある不安
・使いこなしているデータやITソリューションから離れることの不安 等など 
よく、実施に向けての3つの壁がある、と言われるが、
意識の壁、知識の壁、行動の壁
いずれの壁も乗り越えられるには、まだまだのようであった。
しかし、少しづつ潮目は変わってきた様に思える。

1.中堅中小企業におけるクラウド活用
年平均成長率16%増と言われる中堅中小企業へのクラウド浸透?
ハードウェアなど初期投資を抑えつつ、大企業と遜色ないインフラやサービスを
利用できるというクラウドのメリットは、中小企業にとっては大きな魅力である。
コストや時間が限られている、IT専門スタッフを抱えることができない、
といったこれまでの制限を取り払ってくれる可能性があるからだ。
世界の中堅中小企業向けクラウド市場は2012年、前年の約3倍で成長し、450億ドルに
達したと仮想化技術のParallelsは報告している。なお同社は日本市場について、
2011年の16億ドルから年平均16%増で成長し、2015年には25億ドルに達すると
予想している。パブリッククラウドにおける中堅中小企業の重要性を示すもの
としては、コンサルティングのMcKinseyが2015年にパブリッククラウド市場の
65%を中堅中小企業が占めると予想、中堅中小企業はパブリッククラウドの大きな
加速要因になるとまとめている。

利用が進んでいるのは、IaaS、CRMなどの業務アプリケーション(SaaS)、ウェブ
サイトやECサイト、コラボレーションやコミュニケーションなど。
SaaSはSalesforce.comなどの専業ベンダーや既存ベンダー各社からさまざまな
ソリューションが提供されている対顧客向けのフロントオフィスに加え、会計
や人事などバックオフィス分野もラインアップが増えている。
McKenseyは中堅中小企業がクラウドを利用するメリットとして、コスト効果も
指摘する。SaaS(CRM)の場合、5年間のコストはオンプレミスと比較して23%節約
できるという。IaaSの場合はさらに大きく、CPUとストレージの毎月のコスト節約は
50%を上回ると試算している。
アプリケーションのSaaS、インフラのIaaS、プラットフォームのPaaSを活用して
高機能で信頼性のあるインフラやサービスを必要なときに必要な分だけ購入し、
規模の成長に合わせて拡張できる。もちろん、インストールや設定、アップデート
やパッチなど管理の手間も削減できる。
中堅中小企業市場はまさにクラウドが本領発揮する領域のはずである。

2.企業でのIT化現状
国内のIT関連産業を取り巻く環境は、決して順境とはいえない。景気全体が依然
完全に復調している段階ではないとともに、ここ数年、企業のIT投資意欲に回復が
見られない。
アイ・ティ・アールの調査によれば、2011と2012年度とも、IT投資は低成長を脱した
といえるような状況ではない。IT予算の増減実績をみると、2011年度は、「増額した」
と回答した企業の割合は24.8%だったが、「減額した」は20.5%だ。2012年度は、「増
額した」が25.5%、「減額した」は22.2%だった。「減額した」企業が若干ながら増え
た一方、「20%以上の増額」と答えた企業は4.9%から7.2%となるなど、全体としては
改善が見られるが高成長には程遠い。
更に、IT産業への向かい風は、それだけではない。ある企業では「ITはコモディティ化
が進んでおり、例えば、従来はIT部門に依存していたような事柄を事業部門でも扱う、
といったことも以前よりは容易になる。事業部門でも、システムのインフラは
クラウドに任せればいいのではとの意見も出てきた」と話す。
企業の情報システムが完全にクラウドに取って代わられるなどの動きは無いものの、
クラウド事業者が必要な部分はオンプレミスを残せばいい、と考えている。
また、パブリッククラウドを部分的に利用しながら、既存のオンプレミスシステム
と接続するというニーズも増大している。すべてのシステムがクラウドに置き
換えられることはないと見られているものの、クラウド化が進行する範囲は
日々拡大している。

3.クラウド化を進める
クラウド導入の最大の障害は、「人」かもしれない。変化を恐れて、抵抗する気持ち
が企業全体、IT部門内にある場合もある。従来のアプリケーションに固執したり、
プロセスの変更を拒む人がいるかもしれない。特に、中小企業では、多く見られる
様だ。
クラウド導入においては、規模が大きいほどビックバン的アプローチは難しい。
イニシアティブをもとに体系化されたプロジェクトで進めていくことになる。
IT部門が自身の効率化と変革を考えながら進めていくことが変化を促進し、時代に
あったエンジニアへの転身を支援する必要もある。クラウドへのシフトをチャンス
と捉えるかどうかは、その人(特に経営者)次第と言える。
ただ、全般的に、クラウドのスキルを持つIT人材を求める企業は増えており、IDC
ではクラウド関連の雇用は2015年まで年間26%増で成長すると予想している。
現在のところ需要と供給のミスマッチが起きている原因としてIDCは、トレーニング、
認定、実務経験の3つが不足していることを挙げた。認定については、Microsoft、
Salesforce.com、Amazon Web Services(AWS)などが制度を提供しており、これを
活用するのも1つである。

ITの役割がクラウドによりどう変わるのかを知っておくことは重要である。
コストセンターからプロフィットセンターへの変化を考える。
サーバ、ストレージ、ネットワークなどのインフラ担当者はもちろん、
アプリケーションやサービスの開発者もこれまでエンドユーザーと直接やり
取りすることは少なかった。
だがクラウドにより、面倒な設定作業などは大きく削減される。ITはこれまで
以上に事業側のニーズをくみ取るのに時間と労力を割くことができる。つまり、
事業戦略を支えるITという本来の業務に集中できるはずである。
ここで重要となるのは、
①コミュニケーションスキル、
②業務やビジネスに関する知識と理解、
③システム全体を見渡せる視点
エンジニアは、事業側とのやり取りを通じて実現したいことを理解するために
は、コミュニケーション能力が問われる。背景となる業務やビジネスに関連した
知識も話を進める上で欠かせない。
③は技術に関連しているが、組織が大きくなればなるほどIT部門内で専門化
と分業化が進んでいる。クラウド時代は改めて、全体を見渡せる視点が
不可欠となる。
クラウドではネットワーク、サーバ、OS、アプリケーションの各レイヤの
結びつきが強くなるため、幅広い知識があると役に立つ。サーバ管理に
精通している、アプリ開発だけやっていればいいという完全な分業型から、
各レイヤの基本的知識を共通とした分業がクラウド時代には適している。
このように、企業内でもそれぞれの分野に精通した人同士が協業する機会
が増えることから、改めて①のコミュニケーション能力、場合によっては
ネットワーク能力、チームやプロジェクト管理も大切になる。
事業を支えるITとして相互連携が軌道に乗った後は、ビジネスに変革を
もたらす提案型のITを目指す必要がある。

4.クラウド化推進の新しい動き
クラウドは中堅中小企業にとって規模やスタッフ不足が不利にならない解決策を
提供するが、課題は残る。クラウドは多くの場合でコンポーネントに過ぎず、
導入するだけではメリットを最大化できない。一口にクラウド型CRMやクラウド型
コラボレーションソフトと言っても、ベンダーが提供するサービスは内容も料金
体系も異なる。自社のニーズや目的にとって最適なサービス選びにはじまり、
ほかのシステムとの連携などの統合作業も必要だ。
そこで最近注目されているのがなんらかの形でベンダーとユーザーとの間に
仲介役として入る「クラウドサービスブローカー(CSB)」の活用である。
クラウドサービスに付加価値を付けて特定の機能を強化したり、複数のクラウド
サービスを組み合わせたり、データやプロセスを統合するなどの役割を担う。
海外では様々なクラウドベンダーから最適なソリューションをアグリゲーション
してプロビジョニングのための専用の管理画面を自社で用意するCSBもあれば、
「Google Apps」など特定サービスや、ディザスタリカバリなど特定分野に
特化したCSBもある。
1つの例として、米Appirioの取り組みが挙げられる。同社は2006年に設立され、
クラウドを機軸とするSIとして知られる。
Appirioは大手から中堅までの企業に対し、Salesforce.com、Google、Workday、
Amazon Web Services(AWS)などを用い、クラウドアプリケーションの実装、拡張、
プラットフォームの連携などを手掛けてきた。2012年には受注は前年同期比50%増
となり、100社以上の新規顧客を獲得したのだという。
そのような高成長を支えたのは何か。企業のクラウド化の実現にあたり、アプリケー
ションや分析ツールなどを統合したパッケージをはじめとする、さまざまなソリューシ
ョンを同社は用意している。その事業を形成する要素として注目されるのは「CloudSpo
kes」であろう。これは、世界中から開発者が参加し、技術を持ち寄って、実際のビジ
ネスに活用する場を提供する開発者コミュニティだ。2012年には、100カ国から7万2000
人以上のメンバーが参加し、600件近くの開発課題を完了したという。

クラウド時代における日本の企業として、こうしたコミュニティの活躍は大変
示唆に富んでいる。技術者たちの仮想的な集まりを生かし、知恵を借りることが
できれば、国内でのクラウド化がそれを追い風にすることもできるだろう。
IBMなどの大手IT企業は、自社の技術者をクラウドソーシングとして活用する
仕組み作りや意識改革を進めている。しかし、インターネットの拡大、深化した
現状では、オープンソフトのコミュニティでも分かるように、共感さえ得られれば、
あらゆる技術者の参加が容易でもある。これは、会社の規模に関係のない大きな
流れでもある。

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