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2013年10月26日

2013.10.26

寄付を善意の発露よりビジネスと考えるべし

NPO、活動団体の支援をしているとその運営手法の稚拙さと活動資金の
不足が目立つ。私含め、一般ビジネスを経験してきた者にとって、その活動は、
かなり歯がゆいはずであるが、最近まで日本では、市民事業、活動などは、
行政がやるべきとの間違った想い込み?があったように思う。
例外的な団体もあるが、多くの活動団体はメンバーの会費で賄われており、
結局は、事業規模も、活動内容も趣味的な活動に終わって来た。
しかし、活動資金面では、イギリスの慈善事業団体が発表する「寄付や
ボランティアの意識調査ランキング世界寄付指数」で、日本が
2010年・119位、2011年・105位、そして去年85位と
着実にランクアップしていることもあり、3年前の震災を契機として、
寄付文化が浸透し、活動資金も獲得しやすい状況に成っており、NPO
含めた活動も多岐にわたり活性化している。
また、「寄付白書2010」によると、2009年の日本の年間寄付総額は
約1兆円で、米国の23兆円とは20倍以上の開きがあり、工夫次第では
何倍にも伸びる可能性がある。ただ、ノウハウは自分で考えて、独自性を
出さないと世の中に埋没してしまうことになる。
「社会課題の解決のため」と言っても、寄付は自動的に集まるものではない。
NPOが取り組む活動や目指そうとする方向性に共感した市民が、
「応援したいな」という気持ちを「寄付」という形で示し、「共感」を
ベースに提供される資金であり、その「共感」を呼び起こすためにNPO
からの働きかけ(能動的な姿勢)が鍵になる。
特に、最近の社会環境では、「IT」「楽しさ」「参加意識」が重要要素
であることを考えるべきでもある。

1.寄付のための基本姿勢
以下の点を中心に寄付活動を進める必要がある。
①共感を得る
まず、世の中に数多(あまた)ある問題の中で、その問題に共感をしてもらわなくては
ならない。そのためには、困っている人たちの困り具合を可視化し、その要因を
明確に示し、他ならぬ自分たちにはその解決策があることをアピールしなくて
はいけない。寄付マーケティングという言葉があるくらい、寄付にはビジネス同様に、
いやビジネス以上に戦略性が必要である。
②広報を活用する
予算の限られた寄付マーケティングにも、企業とは異なる強みがある。それが
広報力だ。簡単に言うと、新聞やテレビ等のマスメディアや、SNS等のソーシャル
メディアに、その社会性ゆえに取り上げてもらいやすい。予算を広告費に
かけるのではなく広告費はゼロに近くさせ、本業に予算をかけるという意味
においても、本質的な方法である。
③社会課題を広報化する
広報をする時には、自分たちの団体を広報するという観点ではなく、その「社会
的課題(イシュー)を広報する」という対応が必要である。
その社会的課題(イシュー)自体に関しては、メディアで取り上げても問題はない
し、むしろイシューを可視化するのがメディアの仕事なので、積極的に取り組み
やすい。
④社会課題を分かりやすく伝える
複雑な社会的課題をそのまま説明していると、忙しいメディアの人々は「よく
分からない」で終わってしまう。それを理解しやすい様に社会的課題からエッセンス
を絞り出し、社会課題化する手続きにより、広報力が高まる。
⑤寄付者への配慮
寄付者の「支援したい気持ち」に応えるおカネを集めるわけであり、寄付者に
「安心してもらう」ことが大事となる。
・寄付をどう活かして、どういう活動を支えてほしいと思っているかを示すこと。
・寄付の入金の仕方やその後の処理などについて説明がなされていること。
・どんなタイプの寄付であろうと、最終的にその集計金額が財務諸表で報告
されていること。
・寄付者にもたらされるメリット(税制メリットなど)を示しておくこと。
・領収書の発行(認定の場合は必須、記載内容も指定あり)など金銭の受領に
 関する書類を整えたり、事業報告等などへの記載の希望
(個人情報の取り扱いを含む)
 を確認すること。

2.寄付のための手法
社会課題を世の中に訴えていくには、様々な手法がある。
1)プレスリリース
基本的にはA4・1枚のプレスリリースを、当該省庁の記者クラブ室に投げ込む。この
プレスリリースの作り方にもコツがあるが、簡単に言うと「何か新しいこと始めます」
でないといけない。
2)イベント開催
その社会課題について話し合うシンポジウム(やイベント)を開催し、そこに
メディアの人々に来ていただき記事化してもらう方法も伝統的にとられている。
3)ホームページの活用
ホームページが信頼置けそうか、そしてそこから簡単にクレジットカード寄付等
ができるかどうか、等の基本を守ること。多くのNPOは寄付者のユーザー
エクスペリエンスを無視しており、非常に寄付がしづらいことが多い。
これでは、せっかく共感した人を寄付者にすることは難しい。
4)寄付者から強力な支援者へ変えていく
寄付モデルにおいては、寄付者の方々は「顧客」である。顧客に1回お金を出してい
ただくだけで放置していたら、二度とお金は出してもらえない。継続的にキープインタ
ッチする仕組みをつくり、彼らが継続的に寄付し、そして時には口コミの発信源となり
、他の寄付者を連れてきてくれるようなサイクルを作っていかねばならない。
5)Webサービス、ソーシャルメディアの活用
①マッチングサイトで寄付金を集める
寄付を集めているNPOと寄付者をつなぐwebサービスもある。
例えば、「寄付サイト GiveOne」。
②チャレンジで寄付金を集める
例えば、イギリス発のユニークなシステムで、justGiving がある。
団体が寄付を集めるのではなく、その団体の支援者が「自らのチャレンジを通して」
その団体への寄付を集める仕掛けである。 
最近は、ソーシャルファンディングとして、ReadyFor、Faavoなど有力な
システムがある。
③自ホームページで寄付できる仕組みをつくる
ウェブサイトで「寄付をするコーナー」のNPO法人を見かけるが、それを
クレジットカード対応する。そのためのツールとして、PayPalがお薦めである。
PayPalの手数料はたった決済額の3%というところが魅力でもある。
また、facebookから寄付を募る事例も増えている。

3.寄付される側で考えるべきこと
ドナー・ピラミッドといわれる、支援者をピラミッドの階層ごとに管理する手法
がある。
このピラミッドの底辺(場合によってはピラミッド外)はNPOに関心の無い層で、
一番上が高額の寄付を継続的に行ってくれる層だが、その中間に金銭的な
支援をしてはいないけれども、勉強会やセミナーなどの各種イベントに参加
したり、ボランティアやプロボノとして団体に関わってくれる層が存在する。
この中間層をキチンとフォローすることが重要である。
1)団体との関係に期待を抱かせる
初めてボランティアと接する際に、グループもしくは個別に適切なオリエンテーション
を行い、団体との関わりに期待を抱かせる。団体側が何を期待しているかを理解しても
らうと同時に、団体が提供できるサポート内容を伝える。さらに、ボランティアとして
提供してもらう時間は貴重で、団体のミッション達成に不可欠であることを伝える。
2)価値あるボランティア体験を提供する
ボランティアと定期的にコミュニケーションを図り、適切にサポートする。ボランティ
アに対して、団体との個人的な経験や繋がりを与えれば与えるだけ、団体に時間やお金
を投じるようになる。
3)金銭的な支援をお願いする
ボランティアとして関わってもらっていることに感謝するとともに、躊躇すること
なく、金銭的な支援をお願いする。同時に、寄付をいただいたことに対して定期的
に感謝する。寄付をお願いするタイミングと方法については、常に磨きを
かけなければならない。
4)潜在的な寄付者を見極める
特にボランティアと寄付を両方行う人に対しては注意を払う。過去何年も寄付をしたこ
とがなく、ボランティアだけ参加したことがある人が、突然100万ドルもの寄付をした
という事例もある。既存のボランティア・リストを団体内で精査して、潜在的な大口寄
付者を見つけ出さなければならない。
5)継続的なつながりのためのノベルティ活用
寄付者の裾野を広げていくためには、NPOは社会課題を解決するという成果を
きちんと出し、かつそのことを社会にきちんと社会に伝えていくことが出発点
であり、支援をしてくれた人たちに対して、きちんとお礼と報告を行うというのが
最低限NPOが行わなければならない。単なるノベルティ(特典)の提供には戦略的な
価値はなく、あくまでノベルティ(特典)は支援者の行動を促すために、背中を押す
役割を果たすものであり、それ自体が団体に価値をもたらし、寄付者を獲得・維持
できるようなものではないことを認識する必要がある。

4.ファンドレイザーへの誘い
日本ファンドレイジング協会刊行の「寄付白書2013」でも、寄付のきっかけは
周囲の勧誘や偶発的な寄付先の認知があげられている。また、ボランティアも寄付も
する人の方が、寄付の単価が高い傾向があることも指摘されており、フィランソロピー
の両輪であるボランティアと寄付の相関関係を戦略的に考える必要がある。
いずれにしろ、日頃から良好な関係を保っていることが大前提であり、さらに
タイミングや雰囲気など、いかに気持ち良くお金を出す気にさせることができる
かが重要となる。ファンドレイザーもしくはそのような役割をしたい人は、是非、
考えるべきことかもしれない。
例えば、業務やプロジェクトを任せ、そしてそれを引き受けてもらえるくらい、団体
になくてはならない存在となっていることを双方が実感できている状態であり、
ボランティアからすると、その団体や団体の活動が、完全に“自分ごと”に
なっている、の環境作りが重要となる。

また、寄付マーケティングとも言われる様に、ファンドレイザーは、マーケティング
センスのあるソーシャルビジネスでの営業マンと考えるほうが、個人的には、
納得感がある。
・寄付者は顧客であり、支援のサービスを受けるのは、顧客の顧客
・マーケティングの基本である市場のSTP(セグメント化、ターゲッティング化、
 ポジショニング化)を考える。
・顧客との共感、協働化作り
・様々なネットワーク作り
等など
今後も、この考えを活用して、寄付ビジネスを活性化して行きたい。

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