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2013年11月2日

2013.11.02

企業の空気は育てるものか、育つものか?

商店街から製造業、流通業と中小の様々な企業を訪問していると、結構、
会社の規模とは関係なく、その会社の持つ空気、独特の雰囲気がある。
何と無く元気のない会社、緊張感のある会社、など会社も人に似ている。
会社も人も空気がある。
更に、経営の改革や組織の変革など、よりシビアな支援をする場合は、
長年の慣習、社員の対応、トップの想い、など「企業文化(企業の持つ空気)」
として一括りにされる壁に阻まれることも少なくない。
社会が強く結びつき、各企業の評価も、広く、または勝手にされるような時代である。
マーケティングでも、協働、共創が市場と顧客を結ぶ重要な要因となりつつある。
従来のような何と無く育つ空気、企業文化を待つのではなく、企業として持つ
空気やその特性を深く理解し、更に向上させることが必須の要件ともなりつつある。
最近は、これを「戦略的に」として、積極的な育成を進める企業が多くなってい
る様であり、私の周辺の中小企業でも、特に、トップが替わり若返りを図っている
企業では、苦労をしながらも、時代に応じた新しい空気創りに頑張っている。

1.会社の空気創りは社長からか?
企業文化の好事例として良く紹介されるのが、ザッポスなどに代表されるアメリカの
事例が多いが、日本でも、それらに匹敵する企業は結構ある。以前に紹介した
「日本でいちばん大切にしたい会社」が好事例ではないだろうか。他国の良さの
紹介もよいが、社会文化の中でその育つ要因が変わる事もあり、国内企業の
検証も大事なはずである。

長野の中央タクシーの事例から
①事例紹介
「中央タクシーじゃないと乗らない」というお客さまがいるというほど、根強い
ファンを持つ会社である。30分、1時間待ってでも乗りたい客が多数いる。
?何故それほどまでに人気があるのか?
中央タクシーのドライバーは皆、親切すぎるほど親切。高齢者にはさっと手
を貸し、さりげなく買い物袋を運び、雨の日には傘も差す。そして、車内
の会話を通して客の家族のことを気にかけ、300メートルという超近距離でも
喜んで運行する。乗務員ひとりひとりがお客のことを考えて行う心遣いが
圧倒的な人気の秘訣。
②同社の考え方
宇都宮会長の言葉より、
同社の理念の一つが「お客様が先、利益が後」。ヤマト運輸の
故小倉昌男氏が掲げた「サービスが先、利益が後」をアレンジして掲げている。
「小さく損して 大きく得するという考え方」
「タクシー業界は運輸業ではなくサービス業である」
業界の垢のついた経験者は採用せず、即戦力にはならないが未経験の乗務員を
雇用して時間をかけて教育していく方針をとる。
タクシーの一番奥にある本質は仕事をすることでお客様の人生に触れる。
仕事を通してお客様の人生を守るというのが、私どもの仕事だと思っている。
当社の仕事は、お客様をただA地点からB地点にお乗せするだけでなく、
地域を楽しくするお手伝い。
③その実現に向けて
経営理念を実現するため従業員教育に力を入れている。
【中央タクシー 憲章】
「我々は、長野県民・新潟県民の生活にとって必要不可欠であり、さらに交通
弱者・高齢者にとってなくてはならない存在となる。
私たちが接することによって「生きる」勇気が湧き、「幸せ」を感じ、「親切」
の素晴らしさを知ってくださる多くの方々がいらっしゃる。
私たちはお客様にとって、いつまでもこのうえなく、なくてはならない人と
してあり続け、この人がいてくれて本当に助かりますと、思わず涙と共に
喜んでいただける。
我が社はそんな人々によってのみ構成されている会社です。」

創業当初は従業員も言うことを聞いてくれなかったが、何度も何度も繰り返して
徐々に理念を浸透させていったという。
お客様に褒められるのが最強の社員教育である。
乗務員はお客からほめられて更に高いサービスを目指すようになる。
社内は雰囲気がよく従業員も皆仲良し、中央タクシーに、接客マニュアルは
存在しない。実は、その質の高いサービスを支えているのは驚くほど仲の
良い社員たちの人間関係だ。
社内の良い人間関係こそが、良いサービスを生み出す。

各企業、特に、サービス業としては、是非、学んで欲しいことが少なくない。

2.企業を育てるには?戦略的とは?
多くの中小企業でも、「日本でいちばん大切にしたい会社」ほどではないが、
企業の永続性と顧客との信頼確保に向けて、夫々のやり方で、社会的な位置付けを
明確にしている企業も多い。
多くの頑張っている企業でも、それは言える。
例えば、あるダンボール製造企業では、その経営理念として、
・常に相手の立場に立って行動し、関わるすべての人を大切にします。
・新しい価値を創造に挑戦し、お客様から優先的に選択されるサプライヤーを
 目指します。
・社会ルールを守り、地域社会と自然環境を大切にし豊かな未来社会に貢献します。
社長とのお話でも、
・「人を大切に」を基本として、事業を進めている。
・その人とは、「社員に限らず、会社に関わる全ての人」であること。
・挨拶を始めとした基本動作、コミュニケーションの徹底を図る。
そして、これらを何回となく辛抱強くやることが大切、との事。
組織活性化などで、結果として、メディアで多く喧伝される企業も、このプロセスは、
同じではないか、多くの頑張っている中小企業経営者との話からも強く思う。
この基本スタイルがきちんとされた上で、
・徹底した顧客ニーズに合わした対応と先進情報の提供
・オリジナルな技術の開発推進
・相互の信頼を基本とした人脈作り
等の具体的な組織活動が出来る。
また、私自身、少し考えを改める必要があるのでは、思う企業に出会うこともある。
組織活性化やその文化土壌作りの1つとして、ソーシャルメディア等のIT活用
をあまり考えていない企業があることである。
即ち、徹底的な「人ありき」を形にすることでは、ITのソリューションを活用
しなくても、可能であることである。

3.戦略的な企業文化育成に向けて
中小企業経営者との話でも、自社の企業文化育成と社員の育成に悩みを持っている
方々は多い。しかし、中央タクシー宇都宮会長のような明確な理念とその実践を
行っている経営者は多いとは言えない。
しかし、元気な企業では、以下の点への配慮がある。
・顧客や競合他社、社会変化など外部情報に敏感であること
・顧客を重んじること
・社会への貢献を考えること
・組織人よりも、各人の個性を尊重すること
・組織目標実現のための人と組織のつながりを明確にすること

1)まずは、ビジョンの確認
ビジョン策定には、幾つかの手法があるが、肝心な点は、社長の想いが十分でない
場合があることである。想いを皆が分かる言葉にすることを考えてもらう。
2)自社を少し深く考える
2章にもあった様に、多くの社員は、日常の慣れの中で、業務をこなしている。
個々の社員が現状を理解し、人の行動、組織(人のつながり)、そして、全社(組織
のつながり)を理解させることが肝要。ここで1)とのズレやつながりの弱さを
知ってもらう。
3)基本的な戦略を考える
ビジョンが明確になり、現状の不備な点を理解することで、個人、組織として
やるべきことが明確になる。それを実現するための戦略(組織体のとしての行動)
を考える。
4)戦略目標化と実現
人を変え、組織を変えるには、永い道のりと不断の努力が必要である。
1,2章でも述べている様に、経営トップの資質がいちばん問われる。
そして、皆が共有できる具体的な数字や行動を明示することである。

5)経営者として考えておくべきこと
経営者の基本は、人創りであり、つながり創りである。
このため、以下の様な、人にとっての大切な価値を意識しておく必要がある。
①喜びを感じさせる
 人々が幸せや驚き、無限の可能性を体験する後押しをする。
②結びつくことを助ける
 人々が他の人たちや世界と有意義な形で結びつく能力を高める
③興味を刺激する
 人々が新しい世界や新しい経験に乗り出すのを助ける
④誇りをかき立て、鼓舞する
 人々が自信や力、安心感、活力を高めることを可能にする。
⑤社会に影響を及ぼす
 現状を変え、新しいビジネスの枠組みを創るなどして、社会全体に
 新しい形を与える。

これらは、ポジティブ心理学の考えにあり、その基盤は「人への愛」
とのこと。コレを少し理解するのも、悩みの解決の1つかもしれない。

4.追記 
日本でいちばん大切にしたい会社より、
1)未来工業
住宅で使われるコンセントの差込口や電線の管など電気設備資材の総合メーカー「未来
工業」。大手企業との競争も激しいこの業界にあって営業利益率は常に2桁、1965年の
創業以来一度も赤字を出したことがないという注目企業だ。
「常に考える」。会社のあちこちに掲げられているこの言葉こそ未来工業の躍進
の原点である。
小さな企業が大手と戦い、価格競争にも勝ち残っていくためには、「差別化」を武器に
付加価値で勝負するしかない。未来工業は創業以来「他社と同じものは作らない」
という方針のもと、どこにもないユニークな製品づくりで競争力を高めている。
大事なのは社員全員が「考える」こと。
価格競争時代に人間力、ローテクで勝負する、その独創の経営が活きる。
2)徳武産業
平成7年に高齢者の転倒しにくいシューズ「あゆみ」の開発をスタートし、以来、片足
・左右サイズ違い販売やパーツオーダーシステムなど、お客様ニーズを最大限追求した
サービスを通じて、ケアシューズ部門で日本一のシェアを獲得している。
全社員が作成し商品に添える「真心のはがき」やアンケートの活用により、心のこも
った双方向コミュニケーションを展開しており、お客様からは1年間に約2万通の
サンキューレターが寄せられている。
また、経営計画を全社員で作成することで、「社会への貢献」「社員の幸福の追求」
という経営理念をきめ細かく浸透させ、社員と社長の間に強い信頼関係が構築されてお
り、情操教育や地域社会等への貢献など、一人一人が経営者のマインドを持ち、主体性
を持って行動できる社員が育っている。

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