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2013年11月9日

2013.11.09

夢をカタチに!新しいモノ作り

メーカにいたので、モノづくりには、大いに興味がある。
しかし、少し前までは、製品仕様の確定、基本設計、そして、詳細設計と
いくつものプロセスが必要であった。このプロセスをキチンとすることが、
大量生産型の製造業では、必須でもあった。まだ、多くの製造業がこの手順と
プロセスを実行しているものの、新しい流れが出来つつある。
工場を持たなくても、大きな投資をしなくても、だれもがメーカーになって、
たった一人で製品をつくり、売っていける。それは、CAMやICカッターといった
コンピューター制御で動く機械や同様の機能を持つ3次元プリンターやレーザー
カッターといった小さな機械に、自分のデスクトップパソコンからデータを
送って、ものをつくることが、可能となる。金型なしで、部品のひとつ
ひとつを3次元プリンターでつくってこの世にたった1台しかない
自動車をつくることも可能となる。ファブラボやファブカフェとして街角に
地域のだれもが使えるオープンな工房を創ることが、ますます活発になって来る。

1.新しいモノづくりの動き
幾つかのメーカでこの新しい動き(言わば、個人製造)を取り入れ始めている。
1)シンセサイザーの交換パーツは「3Dプリンターでご自由にどうぞ」
スウェーデンのメーカーTeenageEngineeringは、自社の人気シンセサイザー「OP-1」
の交換パーツを、ユーザーが自ら3Dプリントして手に入れられるようにした。
3Dプリンターを保有するユーザーが、データファイルをダウンロードして、自分で
部品を製造できるようになる。メーカーが通常なら販売する製品のデータファイル
を公開した、最先端の試みとして注目を集めている。
2)米フォード・モーターが社内のエンジニア全員にデスクトップ3Dプリンター
を配布することを決定。
配布されるプリンターはMakerBotのReplicator2という機種。全エンジニアが
3Dプリンターを手軽に利用できる環境を用意することにより、いつもPC上で
設計しているパーツを実際に手に取れる形で確認できるようにし、さらにデザイン
のクオリティを上げるのが目的とのこと。
この目的では、精度や表面のきれいさは必要ない。形が見えればよいのである。
それは設計者の構想設計を助け、大いに創造力を発揮でできる。
3)ノキアが携帯電話用ケースをデザインするためのCADデータや、技術仕様に
関する情報を提供し始めた。将来的には、更に大胆にモジュラー型でカスタマイズ
可能な携帯電話を構想しているとのこと。
4)ひとり家電メーカーの誕生
「真・善・美」の精神で世の中を変えるモノ作りを目指すBsize(ビーサイズ)株式会社
・事業概要
「家電メーカー」として、企画を立てて家電製品をデザイン・設計開発・評価検
証をし、ブランディングから販売に及ぶまでを代表一人で行っている。
・第一弾製品となったSTROKE(ストローク)
モノ本来の色を忠実に再現し、目に優しく自然光に近い光を取り入れたLEDデスク
ライト。鉄とアルミから成る細いパイプ1本を曲げただけのシンプルなデザインと
リサイクル性が高く省エネルギーで長寿命な設計にこだわった。
・ビジネスの現状と展望
「デザインとテクノロジーと社会貢献」をミッションに掲げている。ギリシャ
哲学「真・善・美」=「学問と道徳と芸術の追求」からヒントを得たものであり、
デザイン(芸術)とテクノロジー(学問)と社会貢献(道徳)の全てがそろった
モノづくりをしていくことが、何百年たっても「いい商品だね」と言ってもらえる
普遍的な価値をユーザーに提供し、世の中を良くしていくことにつながると
考えている。
創業時から最近まで、組み立てから発送まで一人で行っていたが、注文が伸び始め、
製造台数を増やすため、今は近くの工場に組み立てを外注している。

2.3Dプリンターについて
3Dプリンターが特に注目され始めたのは、ストラタシスが128万円の低価格小型機
を発売したことが主なきっかけ。それまでは、3Dプリンターの価格は1000万円
から数千万円の高額製品が主流だったからであり、これでも、新規に金型を起こす
より安く済む場合があり、3Dプリンターの需要は増えていった。
更に、100万円台の3Dプリンターの登場は、一気にベンチャークラスの企業に
当該プリンターの普及を促している。金型を起こさずに、様々な形状の試作品
や試作部品を作れるメリットは大きく、特にベンチャー・中小企業にとって開発
投資金額と開発期間の大幅な削減・短縮につながっている。

最近、国内中小企業は、差別化・差異化を可能にするために、企画、開発、製造、
販売などの各分野ごとに専門化・特化した中小企業が多くなっており、1社で
垂直統合型の事業展開するより水平分業型の事業構造化が顕著になっている。
3Dプリンターは、この分業化・専業化を更に推し進め、様々な部品や製品の
アイデアを持つ開発専業型のベンチャーや中小企業が生まれやすい土壌になっており、
少人数の企業を輩出しつつある。

ベンチャーや中小企業の特徴の一つに決定と行動の速さがある。思いついたら、
パソコンと専用ツールで3次元の設計データを作成し、3Dプリンターで自社内か
外注に出して、低コスト・短期間で試作品を作れる。
特長ある部品や製品企画のアイデアがあれば、ベンチャーや中小企業にとって
新規事業立ち上げ出来る可能性が高まり、3Dプリンターを積極的に活用すべきであり、
その活用は、更に広がる。
国内製造企業は、今後も発展を続ける3Dプリンターなどを使いこなして、商品力
などを向上させて差別化・差異化を維持強化していく努力がより一層求められる。

ドンドン性能アップし、低価格化する3Dプリンター
シンガポール・Pirate 3D社製の低価格3Dプリンター「Buccaneer(バッカニア)」
価格は、5万4,700円。出荷開始は2014年2月27日予定となっている。
製品は2013年5月に発表され、クラウドファンディング「KickStarter」にて
143万ドル(約1億4000万円)もの資金を獲得した注目の3Dプリンター。
初心者でも直感的に操作できる3DCADソフト「Smart Objects」も付属する。
3Dプリントサイズは15×10×12cm。プリント解像度は100ミクロン。
造形材料はPLA(1.75mm)。

3.ファブラボモデル
以前のブログでも投稿したが、このビジネスモデルを発展させることも
製造業拡大の1つの形態かもしれない。
即ち、顧客からの創って欲しいニーズを収集し、それをファブラボなどの外部
製作者か自社を使って製造する。
ファブラボには次の4種の神器がある。
①3Dプリンタ、②CNC装置、③レーザカッタ、④3Dスキャナ。
これら4種の神器を利用すれば、デジタルデータから、樹脂、ガラス、鉄、
ブロンズ、金、チタン、ケーキ飾りの砂糖菓子など、あらゆる素材から3次元の
構造物を作り出すことができる。

ファブラボモデルには、3つの特長がある。
①4種の神器などのデスクトップのデジタル工作機器を使って、物をデザインし、
試作すること(デジタルDIY“Do it yourself”)。
②それらのデザインをオンラインのコミュニティで普通に共有し、仲間と
協力すること。
③デザインファイルが標準化されたこと。おかげで誰でも自分のデザインを
製造業者に送り、欲しい数だけ作ってもらう。
このデザインの共有化、標準化の意義は大きい。これまで、優れた発明を
したとしても、そこから企業家への道のりは果てしなく長かった。
アイデアを製品にするには、途方もない金、人、設備が必要だった。
しかし、ファブラボのコンセプトは、発明者と企業家の距離を大幅に
縮めることにある。

4.新しいモノづくりへの展開
さらにこの活動を進めるには、社会のさまざまなサービスがサポートする
必要がある。
まずは、3次元の加工をするためのデータ作成のツールが一般化されること。
個人でつくるデータがそのまま工場に送られてもすぐに加工が可能なこと。
資金集めには、市場のお金を個人で集めるクラウドファンディングといった
仕組みがあること。
また、ネット上のサイトで情報交換をしたりアイデアを募ったり、感想
を聞いたりと、ものづくりを洗練させるための仲間を増やせること。
そして、できた製品を売っていくプラットフォームをつくるために、
SNSといったサービスも欠かせない。さらには、自分たちでつくった考え方
やそのディテールをオープンソースにしながらもライセンスで守る、
クリエーティブコモンのような特許に替わる仕組みがあること。
こうしたさまざまな環境が整って、新しいモノ作りが可能になって来る。

起業した誰もが儲けられるわけではないが、あるベンチャーでは1万個市場
の中で利益を上げている。1万個市場は大量生産するには小さすぎるため、
手つかずのままだったが、顧客が1万人いれば十分に儲かるビジネスが作れる。
今後新たな市場が膨らむことで製造者も消費者も恩恵を受けることになる。

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