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2014年1月4日

2014.01.04

日本を探す。何人かの作者から。

和辻哲郎の「古寺巡礼」や亀井勝一郎の「大和古寺風物誌」に触れたのは、
何時の頃かも思い出せないほどであるが、司馬遼太郎の「街道をゆく」、
白洲正子の「近江山河抄」などの日本人の原風景、更に、今の滋賀周辺の
文化土壌の深さを知る。また、昨年には、新たに五木寛之の「百寺巡礼」
全10巻を読み終えた。激変する社会であるが、我々を育ててくれた基盤的
風土と世界を少しでも、理解できれば、と思う昨今である。

①和辻哲郎の古寺巡礼(改訂版)
法華寺十一面観音や、薬師寺吉祥天女、百済観音、法隆寺金堂壁画など、仏教
美術の至宝を紹介し、作者自身の真の想いを語っている。しかし残念ながら、
この改訂版は、作者自身が大幅な削除を行った後の「改訂版」である。
オリジナルの初版には、もっと生な感動と、純粋で熱い情熱があふれている
(復刻版あるが、まだ、完読していない)。
「見よ、見よ、そこには“観音”が立っている。この瞬間の印象を語ることは、
僕には不可能である。全身を走る身震い。心臓の異様な動悸」,,,,,。

本書は、名文ではないし、伽藍塔頭や仏像に関する感想も、特別に鋭いと
いうものではない。しかし、そこに漲る感受性ある文章は、これはたしかに
説得力があるし、なんといっても自分の感情を偽っていない。作者が
“じしむさい”奈良の古寺仏像を前に、リアルタイムで何かを語る。
正確にいえば、「そのように語っているような文章」を書いた。このような
様式と方法を思いついたということが、画期的だった
また、作者は、奈良は1500年の古都ではないと書いたのだ。むしろ奈良は、
何度にもわたる焼亡をへて再建され、再興されたのだと書いた。それでいて
古都の趣きを失わなかったのである。
仏像を通しての日本文化の検証、国土の自然からの発露。変わらない日本を
感じてみたいもの。「風土」と合わして、再読して行きたい。

②白洲正子
「巡礼の旅 西国三十三ヶ所」、「西国巡礼」、「かくれ里」、「近江山河抄」
「十一面観音巡礼」など
滋賀、特に、湖西、湖北の描写があり、現在のこの地域との変化が体感?出来、
他の同様の著作とは、一味違う。
「湖北は李朝白磁のようで、寂しいけれども暗くはなく、しっとりしていても
湿っぽくない。長浜をすぎると高月という駅になり、そこから東へ入れば
まもなく渡岸寺で、ほとんど観光客が訪れない境内の堂宇に貞観期の十一面
観音がある。
しかし、最近では、渡岸寺十一面観音像は、かなりの有名人になっている。
「かくれ里」には詳細をふれていないが、「十一面観音巡礼」では、
渡岸寺の観音像を美しい言葉で語りつつも、この観音のもつ悪の浄化の
作用に触れている。聖林寺の十一面から、羽賀寺、薬師寺、智識寺、月輪寺
と辿って、最後の渡岸寺におよぶというものである。
「湖北の十一面観音は白山の神が化身したものに他ならず」という一節
は、結構、人の想いを惹きつけるのでは。
最近。白洲のかくれ里に触発され、同じ行程を直に歩いて、「近江の
かくれ里」という本を出された人もいる。滋賀に住む人間としては、
白洲正子のこれらの著作、一度は読んでもらいたいものである。

③司馬遼太郎の「街道をゆく」
作者47歳の時に「週刊朝日」で連載開始、1996年(平成8年)2月に作者急逝によ
り、43冊目の『濃尾参州記』で絶筆(未完)となったとのこと。
10数年前、読書好きのグループで、色々とこの本をベースに話をした記憶が
蘇る。
街道をゆくは、日本国内ばかりでなくアイルランド・オランダ・アメリカ・
モンゴル・中国・韓国・台湾などの各地を訪ねた旅行記であり、その地の歴史・
地理・人物に焦点をあてることで、司馬独自の歴史や文化に対する視点を読者に
投げかけている。また、表題に現れているとおり、街道・みちに視点を傾ける
ことで、交通という視点から、日本そして世界の歴史を展望するのが、この
紀行集の特徴であるが、個人的な興味は、関西地域に限った。
7.大和・壺坂みちほか
8.熊野・古座街道、種子島みちほか
9.信州佐久平みちほか
10.羽州街道・佐渡のみち
11.肥前の諸街道
12.十津川街道
13.壱岐・対馬の道
14.南伊予・西土佐の道
16.叡山の諸道
17.島原半島、天草の諸道
18.越前の諸道
21.神戸・横浜散歩、芸備の道
24.近江散歩、奈良散歩
26.嵯峨散歩、仙台・石巻
27.因幡・伯耆のみち、檮原街道
29.秋田県散歩、飛騨紀行
34.大徳寺散歩、中津・宇佐の道

④五木寛之の「百寺巡礼」
百の名刹を訪ねる巡礼の旅日本列島の北から南まで百の寺を訪ねる旅。
古寺、名刹のある場所には、不思議なエネルギーがある。それを体で感じ、
新しい命を悠久の歴史に思う。第一巻は古の都、奈良から。小雪の舞う
室生寺、聖徳太子の強く深い想いが込められた法隆寺、優しさをいまに
伝える中宮寺の半跏思惟像、「苔の海」が輝く秋篠寺など。
他に、
現世での幸せを祈る観音信仰――――――長谷寺
時をスイングする2つの塔――――――――薬師寺
鑑真の精神が未来へ受け継がれていく――唐招堤寺
半跏思惟像に自己を許されるひととき―――中宮寺
日本で最初の宗教戦争の舞台――――――飛鳥寺
浄土への思いがつのる不思議な寺――――當麻寺
日本が日本となるための大仏――――――東大寺
滋賀は、第4巻にあり、百済時、石塔寺、西明寺など湖東から延暦寺
などを訪問。
さすが、京都は、第3巻と第9巻の2冊である。
文中には、寺の風景、仏像などの参考図版が挟まれており、参考となる。

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