« 2014年1月11日 | トップページ | 2014年1月25日 »

2014年1月18日

2014.01.18

ステンゲル50から学ぶ中小企業のブランド理念化

中小企業経営者の中には、まだ、会社のビジョンなど不要、製造業
であれば、最新の製造設備さえ整えれば、会社の業績は上がるなど、
と考えておられる方も少なくない。
また、ブランド理念に沿った経営など、大企業にしかできないことであり、
そこまで考える必要はない、と想っておられる方もいる。
しかし、ステンゲル50の報告をキチンと見ると、確かに検証したのは、
世界的にも、業績的にも、有名な企業が多いようであるが、中小企業でも
応用でき、考えていくべき点が多くある。

1.ステンゲル50から見えたもの
ステンゲル氏が10年間にわたる調査によって導き出したのが、"ブランド理念の
面で特に優れていると判断できた50種のブランド"である「ステンゲル50」。
そして数字の面でも好結果を得ているそれらのブランドは、高次のブランド理念
を持っている点で共通していると主張している。
「ある特定の企業の商品やサービスを選ぶ決め手になる要因は、なんだろう? 
それは、その企業のブランドイメージと評判、あなたとそのブランドのそれまでの
関係なのではないか。ブランドは、そのビジネスの内部にいる人たち全体の意思を
映し出す鏡だ。(略)要するに、ビジネスで目覚ましい成果をあげたければ、
ブランドを通じて魅力的な価値を生み出すことが不可欠なのだ。そこで、ブランド
理念が重要になってくるのである。(ステンゲル氏の著作より)

更に、ユーザーのロイヤルティ(忠誠心)と、財務成績の両面で高成長を遂げている
ブランドの「ステンゲル50」と呼ばれるこれらの企業やブランドから、ビジネス
を成長させる5つのルール(シナリオ)を見出した。

ブランド理念を中心にビジネスを急成長させる5つのルール
①「人々の生活をよりよいものにする」ブランド理念を発見する。
②ブランド理念を軸に、企業文化を構築する。
 リーダーは何をすべきか?理念を全面に出すことにより、明確な戦略を示せる。
 リーダーが高い目標を掲げ、それを徹底して追及することで、市場での競争力を
 確保できる。
③ブランド理念を社内外に発信し、社員と顧客の両方とそれを共有する。
④ブランド理念に沿って、理想に近い顧客体験を提供する。
⑤ブランド理念に照らして、ビジネスの進歩の度合いと社員の仕事ぶりを評価する。

これらのルールは、インターネットの拡大、ソーシャルメディアの深化により、
会社の規模に関わらず実施すべきことであり、実施しないと企業の存続も厳しい
時代になりつつあることの認識が必要である。
そして、頑張っている中小企業では、既に、同様の取り組みを実施したり、更に
進化させている事も事実である。

参考:「ステンゲル50」社のブランド理念
「ステンゲル50」のブランド理念を抜粋して紹介する。
・アクセンチュア:アイデアを生み出し、夢を実現する後押しをする
・ブラックベリー:いつでもどこでも、人々がつながり合い、重要なコンテンツにアク
セスできるようにする
・メルセデスベンツ:人生における成功の象徴になる
・ディスカバリー・コミュニケーションズ:世界と宇宙に対する人々の好奇心を満たす
・へネシー:人々が成功の喜びを満喫する手伝いをする
・エルメス:時代を超えた職人技を大切にし、最高の高級品を提供する
・HP(ヒューレット・パッカード):人間がイノベーションをお越し、進歩する
    能力を高める
・ジョニーウォーカー:進歩と成功への旅を祝福する
・ルイ・ヴィトン:人生という旅を上質で濃密な経験にする
・楽天市場:企業と消費者のパートナー関係をを花開かせる
・サムスン:無限の可能性がある世界をつくり、その世界で人々の想像力を刺激し、生
      活を豊かにする
・センソダイン:明るい笑顔という、人間の最も幸せな財産をはぐくむ
・セブンスジェネレーション:人間のニーズと地球のニーズを一つにする
・スターバックス:自己発見と創造を促すために、人と人とのつながりを生み出す
・ZARA:流行のファッションを誰でも楽しめるようにする
等など

2.ブランド理念の構築に向けて
ブランド理念については、以下の5つの「人々の生活をよりよいものにする」
ことにかかわっていることが重要である。
人間にとっての5つの大切な基本的価値とは、
①喜びを感じさせる
 人々が幸せや驚き、無限の可能性を体験する後押しをする。
②結びつくことを助ける
 人々が他の人たちや世界と有意義な形で結びつく能力を高める
③探究心を刺激する
 人々が新しい世界や新しい経験に乗り出すのを助ける
④誇りをかき立てる
 人々が自信や力、安心感、活力を高めることを可能にする。
⑤社会に影響を及ぼす
 現状を揺さぶり、新しいビジネスの枠組みを打ち出すなどして、社会全体に
 好ましい影響を与える。

これは、以前から、有効な考え方でもあるとして述べている「ポジティブ
心理学」のコアなコンセプトに相通じるものでもある。
結局は、人を基盤としたアプローチが必要だ、と言うことか。

ザッポスの例から見るブランド理念構築とは、
靴の通販ベンチャーとして急成長をとげ、Amazonに買収されたザッポスだが、
その成長の秘訣は期待をはるかに上回る顧客体験とそれを実現したザッポスの
ブランド理念だといわれている。
「ワオ!」と歓声を挙げたくなるサービスを通じて、人々に幸せを届ける
「ライバルがどんなに値下げしても、私たちを利用し続けてくれる忠実で熱狂的
なファンをつくるために、どのように顧客に接するべきか?」
その企業文化の核をなす「幸せを届けることにより、『ワオ!』を届ける」という
顧客サービスを追求した結果、ザッポスは強い顧客忠誠心(ロイヤリティ)を獲得
している。購入件数の75%がリピーターによるもので、新規顧客のほとんどは、
友人からの紹介によるもの、という脅威的な実績がある。
また、ザッポスの業務管理責任者の言葉も引用から、そのコア・バリューの浸透
が示される。
「私たちが提供するサービス、販売する商品、わが社と接することで顧客が味わう
経験全体を通じて、たとえ一瞬でも顧客に現実を忘れさせ、幸せな気持ちに
させられれば、成功だと思っている。私たちの努力の結果、その人の人生が一層、
豊かなものになるのですから」
実際に、ここまで理念が浸透している組織であれば、他競合他社との差がつくのも
当然かもしれない。

3.ステンゲル氏の言葉から見る企業のあり方
ステンゲル氏の対談録より、

「事業を成長させるためには創造性を発揮してイノベーションを起こす必要
がありますが、そのためには市場に対する洞察力が必要ですし、何より新しい
ものを生み出したいという情熱がなければなりません。「ステンゲル50」の
企業群は理念を軸にしたエネルギーにあふれており、「ここでなら働きたい」
と思わせるようなパワフルな会社ばかりです。これらの企業はライバル企業
と小さな違いを出すことよりも、より大きな理念を実現することや、人々の
生き方に影響を与えることを重視しています。
一方で、日本はとても技術や方法論にこだわる社会で、リーダーもプロセス
志向が強いところがあります。たとえば日本企業の強みのひとつであるシックス
シグマやTQC(統合的品質管理)、カイゼンといった活動は、むろんこれらは
すべて素晴らしいのですが、同時に、非常にプロセス志向が強い。
そこに日本企業が成長しなかった理由のひとつが求められるように思います。」

「楽天の三木谷さんに企業理念を社員にどうやって浸透させているのかと尋ねました。
彼は、とにかくコミュニケーションに尽きると答えました。確かにいつ、どこに
いても彼は、社員たちと粘り強く対話しています。理念について、ビジネスについて、
加盟店について、あるいは自社の存在意義や、彼らが世界にもたらすインパクト
などについてコミュニケーションをし続けています。それこそが、楽天が
「ステンゲル50」に選定された理由のひとつだと思います。」

「企業がマーケティングのできる人材を増やしていくためには、2つのことが
必要です。1つは、経営トップがマーケティング能力を構築することに対して
コミットすること。日本企業の多くには、マーケティングというキャリアに対する
コミットが見られません。トップがマーケティングに投資し、人材を配置し、
国際的なキャリアとして位置づけることが必要です。
もう1つは、それぞれの企業ごとに“マーケティング(の機能と役割)とは何か”を
決めること。マーケティングの仕事はここからここまで、それにはこういうスキルと
組織能力が必要という内容を決めないと、周囲が勝手に決めてしまうからです。
つまり、この2つとも、1回、あるいは単年のプロジェクトでやれば十分というもの
ではなく、継続的に何度でもトップがコミットし続けることが必要なのです。」

ステンゲル氏の説く企業文化を築く10の手法
①人々の行動の背中を押させるブランド理念を掘り起こし、それを実践する。
②自分がなにを大切にしているかを社内外にはっきり伝える。
③達成したい目標のために組織を設計する。
④チームを整備する。それも迅速に。
⑤あらゆるタイプのイノベーションを後押しする。
⑥高い基準を設定する。
⑦常にスタッフをトレーニングする。
⑧象徴的な活動をおこない、人々の興奮を生み出す。
⑨勝者のように考え、勝者のように行動する。
⑩どういう「遺産」を残したいかを意識して行動する。
数値やデータでは表せない「ソフト」な側面こそが本当に難しい。実際、企業
文化を正しい方向に改めることほど、手ごわい課題はない。
企業の安全文化構築と同じ精神や行動の必要性が訴えられているものと思われる。

上記の10の手法は、会社の規模とは、関係なく、経営者の意識と
認識、そして、行動実行で、実現できるものである。

« 2014年1月11日 | トップページ | 2014年1月25日 »

最近のトラックバック

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ