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2014年2月15日

2014.02.15

人創りの実践

今週は、人創りに関係することが多かった。
その中で、以前にも紹介した「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞特別賞を
受賞した企業を訪問し、社長他何人かのメンバーからお話を伺った。

1.「日本でいちばん大切にしたい会社」とは、
坂本光司氏が約6500社の中小企業を訪問し、その中から、20社ほどが
紹介されている。
数年前に、同名の大賞制度も出来た。
時たま、その内容を読み返す。本当は、現地に訪問し、実際に自身での体感が
必要であるが、紹介された20社は、訪問できていない。
中小企業経営者との話でも、多く出るのは、人材確保の話。
でも、本書にあるような徹底的な「人が基本の経営」をしているのは、まだまだ、
少ないのでは?しかし、その難しさも並大抵ではないと思う。

1)基本コンセプト
企業経営の基本として、以下の5人を上げている。
①社員とその家族
②社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族
③現在顧客と未来顧客
④地域住民、とりわけ障害者や高齢者
⑤株主・出資者・関係機関
この5人に対して、使命と責任を果たすことを本当の企業経営
とされている。使命と責任とは「幸福の追求」「幸福の実現」
とのことです。そして、この①~⑤の順序がその優先順位であり、
とりわけ「社員とその家族」の幸福追求・実現が最も幸福を
追求すべきと説かれている。
多くの企業では、実情として、この逆が見られる様だが。

2)事例の紹介
紹介されている企業は大変個性的で、持続的に増収増益も実現されている。
紹介されている企業のユニークな部分をご紹介すると、

①(株)樹研工業には社員を管理するルール、規則がほとんどない。
出勤簿もタイムレコーダーも出張報告書もない。社内会議のための
面倒な資料づくりや手続きも存在しない。
こんなコメントが、
「つまらない、後ろ向きな仕事はできるだけ省き、次の仕事に
 取りかかる。これが生産性を上げる基本です。社員はみんな
 仕事をしに出社してくるのです。病気で休んだとしても、
 常に頭のなかは自分の仕事でいっぱいでしょう。
 そんな社員にとって、出社したという証明である出勤簿や
 タイムレコーダーに、どれだけの価値があるのですか?」
更に、採用は先着順とのこと。
「創業当時、小さな会社なのでなかなか従業員が集まらなかった時に
わざわざ入社したいと来てくれたありがたさを、いまだに忘れることが
できないから。」

②未来工業(株)はここ数年、年間休日は140日~143日。
にもかかわらず、この20年間売上高経常利益率が5%以上を
持続している高収益企業である。休みは多くて業績も良い。
夢のような話の会社。

「8:30始業、16:45終業で昼休みは1時間あり、残業も
ほとんどない。「残業禁止」の会社だからです。
それでも、残業する人がいたため、最近は「残業は罰金」という
考え方で運営しているとのこと。それでさすがに残業する人は
いなくなり、そこまで徹底的に社員の健康を重んじている
会社です。」
「始業時間がもう少し遅いと、朝の家事がラクになります。
という女性従業員からの要望で、始業8:00を8:30に
変え、全然売上が落ちなかったので「生産性が落ちなければ
いいですよ」ということで定着したとのこと。
「私たちの頼みが聞いてもらえる」ということで、全社員
が張り切ったため、生産性はむしろ上がったという。

③(株)沖縄教育出版の朝礼は、一般的な業務報告的な10分程度の
朝礼とまったく違う。毎日している朝礼は平均して1時間前後、
これまでの最長は3時間だそうですが、「長すぎるから切り上げましょう」
という社員は誰もいない。
ある日のプログラムは、
・お喜びの声の紹介
・感謝したい社員の紹介
・わっしょい体操、ハッピー体操
・私の小学校時代のいちばんの思い出
・最近うれしかったこと
・私のお得意様自慢
・新入社員コーナー
などで、全社員のコミュニケーションがみごとに図られている。
「あの人はこんな性格だったのか」
「私と同じような子供のころの思い出があるんだ」
「こういうことに感動できる人なんだ」
という情報・感情・目的を共有する場でもある。

3)共通する特長と気に入っている企業
従業員満足が顧客感動につながり、持続的な発展を実現している。
これらの企業で共通して見られる点は、
・継続的な増収増益を重ねている
・採用に多数の応募があり、離職率が低い
・社員、お客様に感動的な体験がある
といった点が挙げられる。他に、社会貢献活動にも積極的な企業も
多い。「見える喜びを人々に」という社員の使命感がある。

経営で一番大切なのは「継続」させることであり、業績や成長は継続するための
手段である。とにかく、経営者は利益を出すことが仕事である。
社員の仕事に対して、きちんと報酬を獲得できない経営は、必ずつぶれる。

以下は、これらの中でも、私が勝手に思っている素晴らしい会社
①杉山フルーツ
大規模スーパーの撤退で寂れた商店街に、光り輝く果物店、杉山フルーツがある。
お客様にとことんおいしい果物を、という姿勢もさることながら、杉山フルーツ
が心を打つのは、その商売に対する姿勢である。
少ない予算で「引き出物をお願いしたいのですが」と頼まれれば、店員総出で
お客様が感涙に咽ぶような商品を提供するその気持ち。

周辺でも、多くの商店街がシャター通り化しているが、頑張っている個店は、
夫々の工夫をしている。その代表格のような気がする。多くの個店主がこの
いくらかでも、意識化し、実行すれば、活気ある商店街が出来るのだが?
既に、大型店等周辺環境の変化に責任を転嫁する時期は過ぎた。

②樹研工業
樹研工業は、100万分の1グラムの超極小プラスチック歯車の世界一のメーカー
として有名だが、この会社を「日本でいちばん大切にしたい会社」として
取り上げたのは、社員を大切にする経営が、ブレずに一貫して行われている
会社だからとのこと。
特に感動的なエピソードは、3年半入院し、出社できなかった社員に、その間、
給料、ボーナスを払い続けた話です。

自社の強みを徹底追及し、それを実現していく努力は半端なものではないと
思う。中小企業には、一点集中で、自社を育て、世界一流の企業も多い。
しかし、これに人をキチンと織り込む姿勢は中々に、難しい。

③未来工業
住宅で使われるコンセントの差込口や電線の管など電気設備資材の総合メーカー「未来
工業」。大手企業との競争も激しいこの業界にあって営業利益率は常に2桁、1965年の
創業以来一度も赤字を出したことがないという注目企業だ。
「常に考える」。会社のあちこちに掲げられているこの言葉こそ未来工業の躍進
の原点である。
小さな企業が大手と戦い、価格競争にも勝ち残っていくためには、「差別化」を武器に
付加価値で勝負するしかない。未来工業は創業以来「他社と同じものは作らない」
という方針のもと、どこにもないユニークな製品づくりで競争力を高めている。
大事なのは社員全員が「考える」こと。
価格競争時代に人間力、ローテクで勝負する、その独創の経営が活きる。

同じような製造業の支援をしているが、「付加価値をつける」と言う方針があっても、
中々に、難しいのが実情でもある。しかも、最先端ではないローテクの分野である。
社員の意識が並大抵でないのを感じる。

④徳武産業
平成7年に高齢者の転倒しにくいシューズ「あゆみ」の開発をスタートし、以来、片足
・左右サイズ違い販売やパーツオーダーシステムなど、お客様ニーズを最大限追求した
サービスを通じて、ケアシューズ部門で日本一のシェアを獲得している。
全社員が作成し商品に添える「真心のはがき」やアンケートの活用により、心のこも
った双方向コミュニケーションを展開しており、お客様からは1年間に約2万通の
サンキューレターが寄せられている。
また、経営計画を全社員で作成することで、「社会への貢献」「社員の幸福の追求」
という経営理念をきめ細かく浸透させ、社員と社長の間に強い信頼関係が構築されてお
り、情操教育や地域社会等への貢献など、一人一人が経営者のマインドを持ち、主体性
を持って行動できる社員が育っている。

世の中、顧客志向と言われているものの、徹底的に実現できるのは、中々に難しい。
それをモノづくりから社員育成まで、徹底していることの素晴らしさ。
20社以外にも、同様の会社が多々あると言う。日本の底力を感じる。

2.訪問企業から思うこと
訪問先は、ダンボール製造から始まり、約70年、現在は、様々な素材を提供する
会社として、確実な展開を進めている。
まず、経営理念が、正に、「日本でいちばん大切にしたい会社」の理念である。
・常に相手の立場に立って行動し、関わるすべての人を大切にします。
・新しい価値を創造に挑戦し、お客様から優先的に選択されるサプライヤーを
目指します。
・社会ルールを守り、地域社会と自然環境を大切にし、豊かな未来社会に貢献します。

社長からの言葉としても、
・「人を大切に」を基本として、事業を進めている。
・その人とは、「社員に限らず、会社に関わる全ての人」であること。
・挨拶を始めとした基本動作、コミュニケーションの徹底を図る。
しかし、これらを何回となく辛抱強くやることが大切、との事。
中々、これが出来ないのが、現実のようで、多くの社長の悩みでもある。
また、現場では、
・徹底した顧客ニーズに合わした対応と先進情報の提供
・オリジナルな技術の開発推進
・相互の信頼を基本とした人脈作り
等が僅かな訪問時間であったが、印象に残った。
また、「地域のつながり」をテーマとした小冊子を長年、年4回発行している。
この内容も、読んでいて、中々、楽しい。

実は、この企業では、今、各社が重点的に進めているソーシャルメディア等の
IT活用はあまり考えていない。基本は、「人と人とのリアルでのつながり」
である。これも、また、1つの考え方であることが実感できた。
自身のアプローチでは、「人とITの融合」の視点が基本であるが、多くの
中小企業では、まだまだ不十分である。徹底的な「人がありき」の形にする
ことも有効な進め方であること。
今回、大いに、参考となった。

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