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2014年3月1日

2014.03.01

ビジネスモデル化しつつある3Dプリンターとものづくり

デジファブ関係者や3Dプリンター研究会などの参加から、3Dプリンター深化
の可能性を感じる昨今である。まだ、製造精度などの点で、十分な製品対応とは、
ならない点もある様であるが、医療などミクロン単位の必要性のない部位には、
更に、その用途が広まりつつある。

1.3Dプリンター概況
これまで普及してきたパーソナル3Dプリンタは、ソフトクリームを作るように
積み上げながら造形をするFDM(熱溶解積層法)という技術。これはプロトタイプ
製作には良い方法だが、「最終製品を作る」という点においては、スマホケース
やちょっとした生活雑貨、アクセサリーなどが限界であった。
しかし、SLS(粉末焼結積層造形)は、粉末素材にレーザーを当てて焼き固めて
いく方法でであり、より細かく耐久性のある最終製品にチャレンジできる技術。
この方式の3Dプリンタが、10万円代、もしくはそれを切るような低価格で発売
されるようになれば、ものづくりの世界はまた大きく変わって行く。
最近、クレディ・スイスが2016年の3Dプリンタ市場を大幅修正した。
2016年の市場予測を、1,75億ドル(約175億円)から8億ドル(約800億円)で、
約3.5倍もの大幅増加となる。3Dプリンタまわりは製品の低価格化、適用
分野の拡大、関連サービスの拡大など、その勢いは予測をはるかに超えている。
ものづくりは情報創造、ネットワーク産業になって行く。

2.3Dプリンター活用に向けて
1)自身でデータを作る
3D CADソフトや3G CADソフトといっても、無料で利用できるソフトから、数百万円
する業務用ソフトまでさまざまなソフトがあるが、パーソナル3Dプリンタで造形
するために3Dモデリングを行なうことが目的なら、高価なソフトを使う必要はない。
パーソナル3Dプリンタでは、それほど大きな物体を造形することはできないし、
複雑な機構を設計する必要もない。無料の3D CADソフトとして、最近は、オート
デスクの「123D Design」、Trimbleの「SketchUp Make」、RSコンポーネンツの
「DesignSpark Mechanical」といった、無料で利用できる3D CADソフトが充実
してきた。また、Webアプリとして動作する3D CADソフト「Tinkercad」は、
インストール作業も不要でチュートリアルも充実している。

2)共有サイトの活用
3Dデータを手に入れるもう1つの方法が、3Dデータ共有サイトを利用する方法だ。
3Dデータ共有サイトは、ユーザーが作成した3Dデータをアップロードすることで、
そのデータをダウンロードできるという仕組みを提供する。
3Dデータ共有サイトのメリットは、3D CADソフトや3D CGソフトを使いこなす
スキルがなくても、3Dデータを入手できることだ。また、3Dデータ共有サイト
からダウンロードした3Dデータを3D CADソフトや3D CGソフトに読み込ませて
自分好みにカスタマイズするということも可能となる。

代表的な3Dデータ共有サイトとして、
①「Thingiverse」は、3Dプリンタ「Replicator」シリーズで有名なMakerBotが
運営している3Dデータ共有サイトである。Thingiverseは、3Dデータ共有サイト
としては老舗のサイトであり、公開されている3Dデータは質、量ともに優れている。
「CGTrader」は、高品質な3Dデータのマーケットプレイスであり、ユーザーが
作成した3Dデータを販売することも可能だ。
②日本でも3Dデータ共有サイトがいくつかオープンしている。
「mono-logue」は、国内3Dプリンタメーカであるオープンキューブが運営している
3Dデータ共有サイトである。まだ3Dデータの数はそれほど多くないが、サイトが
日本語表記なので分かりやすい。
「DELMO」は、アドウェイズ・ラボットが運営している3Dデータ共有サイトで、
フィギュアの3Dデータに特化していることが特徴だ。実際には、フィギュア以外の
3Dデータも公開されているが、3Dデータだけでなく、その3Dデータを利用して3D
プリンタで造形した物体の写真も公開されているので、実際のイメージが掴みやすい。

3)3Dスキャナの活用
3Dスキャナにもいろいろなタイプがあるが、一般のユーザーが気軽に使えるクラスの
3Dスキャナは、精度も低く、手作業での修正が必要となる。
例えば、全身を一度にスキャンできる3Dスキャナ「bodyScan 3D」がある。
周囲の4本の支柱にプロジェクタとカメラが搭載されている。3Dプリンタで造形
するには、データ修正作業が必須。修正には熟練したスタッフでも30分以上はかかる。

2.3Dプリンター関連の新しいビジネスモデル
3Dプリンターの進化に伴い、そのビジネス化に関連して、様々な動きがある。

1)クラウドファンディングで新プリンターの提供
3次元造形機の研究・開発支援など行うボンサイラボと工作機械メーカーのSラボは、
クラウドファンディングサイト「kibidango(きびだんご)」で、BS01の購入受付
を開始した。BS01の販売価格は7万9800円から。クラウドファンディングの目標額
である200万円に達した場合、支援者に対して1月末から出荷を開始する。
個人向け小型3Dプリンタ「BS01」 BS01はオープンソースの熱溶解積層法の国産
3Dプリンタである。造形材料はPLAおよびABSであり、PLAのみのモデルと、PLA
およびABS対応のモデルの2つがある。この製品は従来の個人向け3Dプリンタよりも
小型・軽量で、10万円以下の低価格に抑えたことが特徴だ。
BS01の大きなポイントは教育分野をメインターゲットに設定しており、子どもでも
持ち運べることや、教育関係者が購入しやすい価格設定を目指したという。
本体サイズは縦、横ともに250mm、高さ270mmで重量は約5kg。
サポートについてはユーザーコミュニティーを用意し、最新の技術情報やトレンド
を共有していく。
また、クラウドファンディング「Kickstartet」で家庭用3Dプリンター「Form 1」が
購入者を募集中。「Form 1」は、小さな硬貨ほどの大きさのものもすごく精巧に
3Dプリントしてくれる。価格は、2,299ドル(約181,000円)で「Form 1」本体を
1台提供するとのこと。2億円近い資金が集まることが予想される。

2)3Dプリンターの教育分野への展開
3Dプリンタを作っているMakerbotが、全米の学校に3Dプリンタを寄付するための
クラウドファンディングキャンペーンをやっている。そのキャンペーンのタイトル
はMakerbotAcademy、まず最初の出資者、CEOのBre Pettisが個人として、会社
のあるニューヨークブルックリンのすべての公立学校にMakerbotを寄贈する、
としている。
“MakerBot Academyはでっかいプロジェクトだ。合衆国には約10万の学校があり、
そこの児童生徒全員に未来に備えてもらいたいのだ”、とPettisは書いている。
寄付はDonorsChoose.orgのこのページで受け付けている。
日本でも、教育分野への重点化を更に、強めてもらいたいもの。

3)衣料製作への活用
糸からニットの衣類を作りだすことができるオープンソースハードウェア
「OpenKnit」。
3Dプリンタで作られた部品やアルミの押出パーツ、モーター、センサー、多数の編み
針などによって構成されている。普通サイズののセーターなら約1時間程度で編めて
しまうとのこと。オープンソースということもあり、部品や組み立てマニュアルは
すぐにダウンロードでき、かかる費用は約550ユーロ(77,000円)程度。
また、編機と連携されるKniticというオープンソースソフトウェアを使って自分で衣服
をデザインしていける。OpenKnitは、データ共有サイト「do KNit yourself」も作って
いて、無料でダウンロードすることが可能になっている。
この事例からも分かるが、今後高性能な衣類の3Dプリンタが登場してくると、自分の
好きなデザインの衣料をダウンロードし、自宅もしくは、近くにある衣類の3D
プリンタや編み機で作れる。つまり、衣類におけるデータ共有のオープンプラット
フォームを作り、それを盛り上げていけたところは、現在のファッションマーケット
に大きな影響を及ぼしていく可能性がある。

4)3D出力サービスの拡大
パーソナル3Dプリンターの発売が相次ぐなか、3D出力サービスを事業化する動きが活発
になっている。利用者の作成した3Dデータを業務用3Dプリンターで出力するもので、
パーソナル機と比べて造形の精度や品質が格段に高い。ここでは、2社を紹介する。

①DMM.com
料金の安い海外の3D出力サービスを利用する人が多いのに対し、DMM.comは海外と同等
の料金を掲げて7月にサービスを開始した。受注数は予想の倍以上で、サービス開始か
ら2カ月で 1000モデルを突破した。国内に出力センターを設けており、配送も迅速であ
ることから、海外からの乗り換え組も少なくない。
約600万人の会員を擁するDMMの配送網を利用し、配送料が無料なのも魅力だ。素材は
各社がサポートしている石膏フルカラー、アクリル樹脂の他に、シルバーやチタンとい
った金属も選べる。3Dプリンターは3Dシステムズ社とEOS社の業務用モデルを計8台稼働
させている。2013年10月末には利用者が出品した3Dデータを造形物にして販売する
「クリエイターズマーケット」がスタートした。

②ソライズプロダクツ
運営会社のソライズプロダクツは、工業分野の試作技術支援や業務用3Dプリンターの販
売などを手がけるプロダクトエンジニアリングサービス会社。2010年2月に、オンライ
ン入稿による3D出力サービス「インターカルチャー」を立ち上げた。
同時に、3Dプリンターでどんなことができるのかを見せるギャラリー的な意味も込め
、3Dプリンター出力による自社開発製品のオンライン販売を開始した。インテリアや文
具、ガジェットなど多数のアイテムを販売している。
特徴は、対応する素材の多さが挙げられる。アクリルをはじめ、石膏フルカラー、ナ
イロン、ポリプロピレン、ゴ ムライクなど多数から選ぶことができる。特にウッドラ
イクは、木粉とナイロン粉末をミックスしたもので、木の風合いの造形物が作れる。自
動見積もり機能も便利だ。データをアップロードして素材と造形方向を選べば、見積金
額を表示してくれる。サイトは初心者にもわかりやすく丁寧に作られている。
なかでもフリーソフトを使っての「3Dモデリング入門」や造形物を仕上げる方法などの
記事を掲載する「語る」コーナーは必見だ。

3.モノづくりの今後
これまでの製造業は「何を作るか?」、そしてそれを「なぜ作るのか?」ということ
よりも「いかに作るか?」の方が大事であった。
しかし、今後はこの「いかに作るか?」というところにおいての答えは、ほとんどの
場合瞬時にオンライン上で可能となり、グローバルな形での対応となる。
製造業は、「何を作るか?」、そしてそれを「なぜ作るのか?」という視点で事業を
する必要がある。つまり、そのコンセプト、アイデア、そしてコンテキスト化が重要
となる。そのためには、多様な人が参加するコミュニティ、ソーシャルメディアの活用
が重要となる。
これは面白い!というアイデア看板を写真で撮ってFacebookでアップする。それに対し
て友人が気の利いたコメントを書くことで、ちょっとしたアイデアが生まれる。そんな
小さなアイデアのカケラは、どんどん生成され続けていく。
今後、あらゆるプラットフォームは、情報生成&コラボレーションプラットフォームと
なり、デジタルファブリケーションと連携をしていく。
大量生産を前提とする従来の製造業とは異なり、個人が欲しいものを、他の人の
アイデアを取り入れながら、外部リソースを使って欲しいだけ作ることができる
「ネットワーク型製造業」の出現であり、3Dプリンタ-はこうした動きのなかで
重要な役割を担うのでは。

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