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2014年5月31日

2014.05.31

顧客の行動を理解し、新しいビジネスを紡ぎ出すセンス

インターネットの世界は、益々深化し、旧来のマス的な顧客把握では、
不十分となっている。顧客対応では、リアルな行動をベースに、個人の
行動にある潜在的なニーズを把握し、顧客体験をより個人ベースで、
より高度にして行く必要がある。
単なる顧客行動分析やGoogleAnalytics活用では、把握できない個客の
想いや要望を、総合的に見るための「カスタマージャーニーマップ」的な
センスが必要とされる。コレにより、中小企業でも、多様化するチャネル
を総合的にまとめていくことのメリットに加えて、今までにない新しい
サービスの実現の可能性も出てくるのではないだろうか。

1.カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップとは、サービス設計の際に顧客の行動文脈を
旅(ジャーニー)のプロセスに見立てて可視化し、把握する手法やそのために
描いた図を指す。サービス全体の機能やタッチポイント(顧客接点)を示し、
その上を顧客がサービスを利用したり商品を購入したりする行動を描いた図は、
まさに「顧客の旅行地図」といえる。
カスタマージャーニーマップは、サービスのアイデア発想や設計のためのヒント
を発見し、よりよいカスタマーサービスを実現するために使われる。
よりよいカスタマーサービスを実現するという目的でジャーニーマップを
利用するには、サービスのフェーズやタッチポイントにおける顧客の
行動はもちろん、顧客の思考や感情まで把握する必要がある。
カスタマージャーニーマップの本質は「おもてなしにおける心遣い」の
可視化と共有化の戦略において、旧来型のおもてなしを提供していた経験
豊富な顧客担当者同様に、顧客がどんな状況のときに何を欲し、何を喜び
とするかを理解することにある。
顧客行動を包括的に見たうえでの理解することが、従来は存在しなかった
革新的な顧客体験を生み出すようなサービスを設計できるようになる。

2.カスタマージャーニーマップの考え方
その基本は、顧客とのつながりを5W1Hとして、把握することである。
即ち、
・Who(誰が、が基本となる)
・When(顧客の状況、サービスへの接触タイミングなど)
・Where(サービスへの接触場所、自宅、会社、交通機関など)
・What(コト、モノ、サービス等の接触内容)
・Why(接触時の顧客の考え、感情など)
・How(チャネル、タッチポイント、接触の手段)

特に、Whenは、顧客の行動プロセスを時間軸として捉え、接触の状況、
具体的なシーンを考えて行く。コレには、マーケティングのAISASを
考えるのが適当かもしれない。
AISASが想定する購買行動プロセスは5つである。
「Attention」(注意が喚起され)、「Interest」(興味が生まれ)、「Search」
(検索し)、「Action」(購買し)、「Share」(情報を共有する)
AISASにおける「Search」は、製品やサービスに関心をもった顧客が
「購入前に、Googleなどの検索サービスで情報を調べてみる」というプロセスを示す。
また、最後の「Share」は、ブログやSNS、クチコミサイトなどで、製品やサービスの
感想などの情報を投稿(情報共有)するプロセスを示す。
また、広告宣伝の視点でAISASを考えると「AttentionとInterestにてメディア
ミックスで宣伝広告を行い、検索サイトに誘導するクロスメディア広告モデル」と
捉えることもできる。

簡単なカスタマージャーニーマップ作成の流れを示す。
①顧客がいま、どんな流れでサービスを利用しているかを把握するため、フィールド
リサーチをする。
②フィールドリサーチの結果、サービス利用目的や行動傾向のパターンに応じて、
顧客をセグメント化~モデル化(ペルソナ)する。
③ペルソナごとに、行動の流れに沿って、顧客が接したタッチポイント、そこでの
インタラクション、考えたこと、感じたことなどの要素とその関係性を明確に
しながら、視覚的にマッピングを行う。コレには、多様なメンバーの参加が有効
でもある。また、マッピングを行う際は、フィールドリサーチで撮影した写真など
をそのまま貼り付けてもよい。
④現状のサービス体験のどこに新たなヒントが隠されているかを、マップを
見ながら検討する。
改善のためのヒントを探るためには、なぜ現状のサービス体験がそのように
なっているかを、サービスに関わるステークホルダー間の関係性なども別途考察
しながら、まったく別のサービスの形はないか、を考える。

顧客の体験を理解し、それをヒントにこれまでなかったようなより価値の高い顧客体験
について思いを巡らせる、その手助けをしてくれる手法の1つがカスタマージャーニー
マップであり、「カスタマージャーニーマップをどう作ればよいか」をいくら考えて
も、答えは見えてこない。しかし、「顧客の体験をとにかく理解しよう」と強く思い、
知っていること、教えてもらったこと、調べてわかったことを整理しようと紙の上で
作業をすれば、その結果がカスタマージャーニーマップになると思ったほうが、
良い結果がでる可能性はある。

3.何故、カスタマージャーニーマップなのか
インターネットやモバイルが普及したことで、近くにいない人の状況でも把握できる
ようになった。即ち、より遠く、より多くの人に、同時におもてなしを届けられる
可能性が生まれてきた。旧来のおもてなしとは違う形での新しいおもてなしを提供
できるようになったことで、新たなビジネスモデルの構築とチャンスが活発化
している。
顧客体験が重視される背景
①インターネットやモバイルの普及で従来にはない新しい方法でおもてなしが可能
になった。
②それを競争優位性として新しいビジネスを生み出そうとする動きがでてきた。
③「顧客体験」を戦略として採用することが重要になった。
企業が「これまでにはなかった方法で顧客の状況に応じた適切なサービスを提供するこ
とで、市場における競争優位性を獲得する」ために採用する戦略が重要となる。

描かれたカスタマージャーニーマップをもとに、顧客体験の向上というゴールに
つなげるにはどうすればよいのか。カスタマージャーニーマップは、顧客体験
そのものをキチンと理解し、その本質を明確にするのに有効である。

顧客体験の理解には、「What」と「Why」を明確にする必要がある。
多くの場合、「顧客体験とは何か?」という問い自体が、その理解を難しくしている。
「何か?」と問えば、それは「現状肯定として」の発想となりがちであり、そうでは
なく「何のために顧客体験を重視するのか?」と自身に、問うことが必要
となる。「What?」(それは何か?)ではなく「Why?」(なぜそれなのか?)と
問うことが重要となる。それは「これまでにはなかった方法」で顧客の状況に
応じた適切なサービスを提供することで、市場における競争優位性を獲得すること
になる。

Airbnb: https://www.airbnb.jp/
Airbnbは、世界中の人どうしが、誰かの部屋を借りたり、逆に自分の部屋を貸し
出したりできるルームレンタルのプラットフォームサービスを提供している企業。
創業は2008年、現在は、192か国、3万4000都市の賃貸可能な物件が登録されている。
部屋を貸し出す「ホスト」という人たちが登録している物件には、個人の住宅
だけでなく、城やツリーハウス、イグルー、個人所有の島なども含まれる。
ホテルとは比較できないほど個性豊かな部屋のなかから宿泊先を選べる。

Airbnbのサービスがもたらしたのは、従来になかった新しい旅の体験といえる。
従来であれば、現地に既知の友人や知り合いがいない限り、旅行の宿泊はホテルなどの
宿泊施設に限られていた。しかし、Airbnbを利用することで、誰でも現地の一般家
庭に泊まることができる。単に宿泊料金が安く済むだけではなく、部屋の提供者と
知り合い、ともに過ごすことができるという、旅行の体験を大きく変えるきっかけも
得られる。部屋の提供者にとっても、利用してもらうことでいろいろな国からやって
きた旅行者たちと知り合い、その人々を通じて異国の文化に触れることができる。
顧客体験を戦略として採用することで、従来になかった顧客体験を生み出す新たな
ビジネスを展開し、それによって市場における競争優位性を獲得してい
る例として、Airbnbのやり方は、広く適用が可能である。

旧来のおもてなしでは、気配りによって顧客の状況を把握していたが、Airbnbの場合
は、それをインターネットやモバイルの活用によって実現し、より広範囲に提供
している。顧客の行動パターンと意識の動きについての知識、情報を活用する、
これを現在の顧客体験の戦略の文脈に当てはめると、なぜ「顧客の文脈を理解する」
ことや、そのためにサービスを利用する「顧客の旅」(カスタマージャーニー)の
文脈を把握することが重視されるのか理解できるはずである。

4.カスタマージャーニーマップ作成のポイント
特に、注意すべきは、新しい顧客の旅のアイデアが生まれる場づくりである。
顧客にとって理想的な新しい旅やサービス体験を生み出すためには、ブレーン
ストーミングなどの創造力を発揮するための技術が必要であるが、カスタマー
ジャーニーマップの作成を行なうワークショップに参加したメンバーが、その
創造的なプロセスに参加すること自体を楽しむことができ、それによってより
創造力や情熱が駆り立てられる状態を作るファシリテーションが欠かせない。

1)ステークホルダーの関係をマップ化する
まず最初のステップは、顧客やフロントスタッフ、バックヤードのスタッフなど、
サービスに関わる利害関係者をリストアップすること。関係者間のインタラクション
をマップ化して表現し、サービススタッフなど動きが、顧客の利益にどんな
影響を与え、顧客はそれに不満があるか、を説明できるようにする。

2)顧客モデル=ペルソナを作る
次のステップでは、顧客モデルとしてのペルソナを考える。顧客のプロファイルや
性格、ビジネス状況やそれに対する期待は何かをユーザーモデルとして作成しておく。
ペルソナ化は、ある特定の顧客プロフィールを具体的に創出することで、より
深いWebサービス化が可能として、活用されている。
更に、作成したペルソナがどんな結果を期待しているか、何を達成しようとして
いるかを明らかにする。

3)カスタマージャーニーマップ化
次ののステップは、2つ目のステップで明らかにした「結果」にペルソナがどのよう
なプロセスを経て辿り着くのかをカスタマージャーニーとして図示することで、
顧客の旅のプロセスを明らかにする。
顧客の旅の段階をリストアップした後に、それを時系列に並べた形に図的に表現する。

4)タッチポイントを考える
さらにこの顧客の旅の各段階で、顧客が実際にサービスに触れるタッチポイントとなる
スタッフや機器が何かを書き加えていく。顧客とサービスの接点を明らかにする段階。
多様化するチャネル含めて、まずは、コレをまとめると、全体が見えてくる。

5)最も重要な「真実の瞬間」
次に顧客がそれぞれのタッチポイントに接した際の重要度を評価し、最も重要な「真実
の瞬間」がどの時点かを判断する。
なお、「真実の瞬間」とは、「顧客が最良の選択だったと納得させるため」という
キーワードで、サービスマネジメントやサービスデザインの分野では使われるよう
になっている。

6)サービスデリバリーの責任者を明確にする
次のステップでは、各タッチポイントで顧客にサービスを提供する直接の担当者が誰か
を明記しておく。そうすることで、例えば顧客をイライラさせる待ち時間の要因が
、同じ人がサービスプロセスに何度も登場していてボトルネックになってしまっている
ことに気付けたりもする。

7)旅の途上の感情を描く
ここまでのステップで、顧客の旅の途上でのタッチポイントやそこでのインタ
ラクションあるいはサービスを実際に行なう担当者の関係性が図示されており、
その旅の途上で顧客の感情がどのように変化するか、ポジティブとネガティブの間
をどう動くかを評価することが重要となる。

8)全体設計図として落とし込む
カスタマージャーニーマップを作成しながらサービスデザインを行なったあとは、
実際にそこで考えられ決定されたことが、実際にサービスを提供する人びとの支援と
なるように、フロントスタッフ、バックエンドのスタッフ、サービスのインフラと
なるシステムの関係性を描いたサービスの全体設計図を描く。

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