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2014年6月28日

2014.06.28

中小企業でも、これからは「誰にどうやって買ってもらうか」を考える

ここ2年ほど前から「オムニチャネルの活用」等のキーフレーズが良く
見かける。ソーシャルメディアの深化、スマホの拡大が大きな要因となっている
のは確かだが、コレを徹底活用している企業は、ほんの僅かであろう。
本格的な経営戦略の見直し、営業戦略の再構築、関連システムの統合化と
組織の見直しなど、旧来の全面見直しが伴うからである。

インターネットやモバイル端末の普及により、消費者はいつでも、どこから
でも買い物することが可能になった。そうした時代背景における新たな小売
のあり方としてオムニチャネルの考え方が注目されているといえる。
しかも、社会、ユーザの消費行動と要求は待ったなしである。特に、40代
までの女性の購買行動を見ると数年前とその違いは明らかでもある。

では、資金力、技術力の不足する中小企業では、無理なのであろうか?
対応は可能である。中小企業の小回りのよさと営業、製造などのシンプルな
組織を「人を活用する」コトにより、オムニチャネルの特性に合わせた活動を
可能とするはずである。

1.オムニチャネルとは
忙しい方は、以下の動画が分かり易い。
https://www.youtube.com/watch?v=K20Fmq1BIKQ
オムニチャネルとは、実店舗やオンラインストアをはじめとするあらゆる販売
チャネルや流通チャネルを統合すること。および、そうした統合販売チャネルの
構築によってどのような販売チャネルからも同じように商品を購入できる環境
を実現することである。

もう少し、具体的に言うと、
実店舗、オンラインモールなどの通販サイト、自社サイト、テレビ通販、カタログ
通販、ダイレクトメール、ソーシャルメディアなど、あらゆる顧客接点から
同質の利便性で商品を注文・購入できるという点、および、ウェブ上で注文して
店舗で受け取ったり店舗で在庫がなかった商品を即座にオンラインでの問い合わせ
で補ったりできるよう販路を融合する点、といった要素が含まれる。
まだまだ、混同がある様であるが、マルチチャネルとオムニチャネルは異なるもの。
オムニとはラテン語を語源とする「すべて」を意味する言葉で、オムニチャネル
とは顧客との接点になっている全てのチャネルを融合させることだが、顧客接点
チャネルに関しては、マルチチャネルやクロスチャネルといったキーワードも
使われる。
これらと何が異なるのか。
マルチチャネルは、店舗とECサイトなど複数のチャネルで顧客と接することを指して
いる。ただ、サービスの内容はチャネル毎に異なっており、チャネルが融合している
とは言えない。これに対し、オムニチャネルはサービス内容だけでなく裏側の
オペレーションやデータ管理までチャネルをまたがって融合しており、顧客により
良いサービスが提供できる点が異なる。

オムニチャネルが注目されるようになったのは、全米小売業協会のレポートで
取り上げられ、米百貨店メーシーズのCEOがオムニチャネル化宣言をした
2011年からである。この背景にはECの拡大やスマホの利用が進んだことがあげられる。
2011年のアメリカにおけるEC化率(商取引に占めるECの利用率)は5%に達し、実店舗
の売上に影響が出始めていた。さらにスマホの普及と共に、店頭で現物を確認した上
で価格の安いECサイトで購入する「ショールーミング」の利用が広がり、
インターネットの影響が小売企業にとって見逃せないものとなっていた。
この消費行動は日本でも、最近の若い女性のスマホ活用含め、顕著である。

例えば、ウォルマートは、食料品や日用品などある程度決まったものを定期的に購入
する顧客が多くなっていた。そこで、ショッピングを便利にするため、事前に買い物
リストを作成するスマホやタブレットのアプリを提供している。アプリは購入履歴
や音声認識を使った検索機能を使い、簡単に商品をリストアップできるように
なっている。

2.オムニチャネルサービスに向けて
顧客の立場でサービスを考えることが重要である。
オムニチャネルを考えていく上で重要なことは、チャネルから企業の立場で考える
のではなく、顧客の立場で求められるサービスを考えること。

例えば、ウォルマートの事例だと、面倒な日々のショッピングを便利にするために、
「事前に手伝えること」、「店舗内で手伝えること」を考え、それを最適なチャネル
でサービス提供している。更に、店舗、Webサイト、スマートフォン、タブレット、
ソーシャルメディア、コールセンターなど多数の顧客チャネルを持っているが、
それぞれ特性が異なるので、価格や在庫のチェックは、パソコン、タブレット、
スマホでサービスし、店舗内や街中では、スマホの利用を重点化している。
また、それぞれのチャネルでどんなコンテンツやサービスが利用されているか
を分析し、チャネル全体の最適化を実現しているとのこと。

しかし、まだまだ、多くは、供給側の論理が支配している。オムニチャネルとは、
顧客の論理に従って、最高の顧客体験を与えるような、いつでも、どこでも、
顧客が好きなときに、注文ができて、好きなときに好きなところで好きなもの
を受け取ることができる「個客」主義が必要である。

更に、サービス向上を考える上で、消費行動の変化「ショールーミング」と
呼ばれる顧客行動も重要である。来店したお客様が、実店舗で商品を見て、販売員
に説明を聞き、商品知識を得た後で、ネットで注文する。これら新しい消費行動
では、顧客がひとつの顧客接点で消費行動を完結させず、顧客接点をその利点
によって使い分けていることがわかる。
まだ、多くの企業が実施しているマルチチャネルは、ネットで購買されやすい商品、
実店舗向きの商品、スマホ世代向きの商品など、商品別にデバイスを使い分けたり、
それに世代を掛け合わせるなどで対応しているだけである。

そのため、「個客」の消費行動を連想してみるコトが重要となる。
オムニチャネル戦略を立てるためには、まず、顧客の消費行動パターンを想起し
てみる必要があり、「個客」としたのは、その行動パターンが実に多様化している
からである。
想定する顧客が、どんなプロフィールを持っているのか、どんな家族構成なのか、
それぞれの特定の顧客が平日はどんな行動をするのか、週末はどんな行動をする
のかを考えて見ることである。それぞれの場所、それぞれのタイミングでどのような
情報を取得しようとするのか。どんなリコメンドがどのタイミングであると反応
してくれるのか。これまで貯めたデータを基に架空のユーザーを設定し、ユーザー
のPCやスマホ、ネットや実店舗との接点を想定しながら考えて行く。
最近は、「カスタマージャーニー」という手法で、コレを具体的に仮説化し、
様々なタッチポイントでの施策を考えていくことが多くなっているようである。

例えば、ネット利用が盛んな20代女性の場合、普段は、ネット通販を使うこと
が多いものの、今日の買い物はいささか値がはるセレクトショップのジャケット
を買いたい場合がある。ネットでは、購買できず、商品の取り置きをリクエスト
して、試着を予約する。その間に、ジャケットのカタログをソーシャルメディア
を通じて友人と共有、友人からも「いいね」が届く。週末に、お店に足を運び
試着し、店員さんとよく相談の上、購買を決定する。
この購買パターンは、「個」によって様々であり、このようなペルソナも幾つもある。
重要なことは、顧客接点の役割を従来どおりの枠からユーザー目線でもう一段広げて、
考えることである。

3.オムニチャネルの具体化
多くの中小企業では、まだまだ、マルチチャネルの活用が主である。しかし、
顧客接点の役割を拡大して考えてみると、リアル店舗を持っていることが強みに
なる時代がやってくる。つまり、会社規模に関係なく1社がネット店舗、
実店舗、配送の全部を持つような状況であれば、その存在価値を増していく
ではないか。
また、店舗を持つ企業と配送業者などとの協業など、産業間の連携が有効となる。
そして、この行動の起点は、経営トップの意識とIT化に全面投資することなく、
人とのつながりを基盤とした情報のネットワーク化である。

オムニチャネル化のためのIT投資は以下の様なものがある。
ただし、コレを全て実施するのではなく、コレに人持つ「つながり」力
を加味すれば、中小企業でも可能なはずである。
・実店舗とECの顧客情報の一元化
・実店舗とECの在庫情報の一元化
・実店舗の販売員にモバイル端末を配布(在庫情報、競合分析、
 商品レビューの閲覧)
・店舗やネットに関わらず他店舗からの配送の実施など流通システムの刷新
・配送担当者にモバイル端末を配布(配送情報、在庫情報、注文機能)
・販売チャネルと倉庫の最適化
・店舗スタッフの教育

オムニチャネル時代は、店舗ごとに売上を競うのではなく、全社での顧客の
数x顧客の平均売上になるはずであり、顧客一人にどれだけ買ってもらえるか
が、Life Time Value=顧客の生涯価値を最大化するという発想で考える
必要がある。
以下の様な工夫もやり方次第で低投資、高効果も生めるはずである。
①店舗からネットへ誘導
色違いやサイズ違いなど店頭に在庫がない場合、スマホでQRコードを読み込ん
でもらいネットストアに誘導する。店舗にいながらネットで買い物してもらう。
店舗の在庫数を増やすことなく売り上げを増やす仕掛けを考える。
②ネットから店舗へ誘導
Facebookで商品に興味をもってもらい、ECサイトに誘導する。注文された商品
を店舗で受け取れる仕組みを作る。ついで買いも誘発できる。

オムニチャネルを成功させるためには、以下の点の実施が必要である。
①実行計画の策定
何をいつまでにやるか、どこまでをオムニチャネル対応とするのかを検討する。
自社はどのポジションか、強み/弱みは何か、競合動向はどうなっているか、
顧客のニーズや購買行動にはどのような特性があるか、など、自社を取り
巻く環境の分析を行い、実施計画を作る。

②社内の体制づくり
多くの場合、店舗部門とネット運営部門、カスタマーサポート部門、IT部門など
、チャネルごとに部署が分かれていることが一般的だが、「すべてのチャネル
を連携させて顧客にアプローチする」というコンセプトを実現するには、従来の
縦割りの組織運営と各部門の意識改革を進める必要がある。

オムニチャネルに取り組み成果を出している企業は、全社としての売上・メリット
を最優先に考えるマーケティング部門を設立し、マーケティング担当役員が責任者
となり強力なリーダーシップを発揮することで、IT部門含めた関係部門と密に
連携しながらビジネスモデルの改革を進めている。

③データ連携強化とシステム再構築
オムニチャネルでもっとも重要なことは、各チャネルの情報、特に店舗とネットの情報
を統合すること。
商品情報、在庫情報、顧客情報、接客履歴、ECサイトでの商品閲覧履歴、過去の購入履
歴、ポイント履歴など、すべての情報を統合し、店舗担当もネット運営者も参照できる
ようにすることで、店舗とネット間の相互連携がスムーズにすること。
また、顧客のECサイトでの行動履歴と、店舗での購入履歴をまとめて管理することによ
り、チャネルを連携させたマーケティング戦略を立案、分析することが出来る。

いずれにしろ、消費者一人ひとりの価値観を具現化する顧客重視の姿勢が消費者の感動
を呼び、売り手へのロイヤリティ向上につながって行くのであり、消費者の感動経験
を通じ満足を与えるカスタマー・エクスペリエンス重視が基本と考えて欲しいもの。

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