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2014.09.25

産業用3Dプリンター近況

産業用3Dプリンターへの本格的な取り組みがようやく
始まったようである。既に、一般用については、数回ほど
記事を書いているが、一般分野でも、国外での様々な動きに
して、かなりの遅れが目立っていた。産業用については、
更に、その遅れを感じている。一般分野では、3Dデータ
としてのネットとの整合性の良さから、何時でも、何処でも、
誰でも、の感覚で大きなマーケットプレイスも拡大している。
ディジタルファブとしての裾野の広さは、我々の生活や社会
環境も変える可能性も持っている。
また、産業用は、日本のモノづくりとしての根幹に関わる
問題のはずなのに、先進的な中小企業の独自の取り組みに任せる
のみで、国としての総合的な基盤創りとしての戦略がない様
でもあったが、ようやく具体的な動きが出てきた様である。

1.国の産業向け3Dプリンター事業の目的
(三次元造形技術を核としたものづくり革命プログラムより)
切削加工、溶解・鋳造等に次ぐ第3の加工法とされる三次元積層造形
技術の進歩は、軽量でこれまでにない機能や複雑構造を有する等の
高機能製品の開発を加速するだけでなく、商品企画、設計、製造プロセス
のデジタル化の進展等が伴うことにより、地域、中小企業、個人の知恵
や感性を活かした新たな付加価値を持つ製品の創製、商品企画から設計・
生産までの時間を大幅短縮、地理的、空間的制約からの開放など、もの
づくりに“革命”を起こす潜在力を秘めているとされ、欧米では製造業
の再生の柱として三次元積層造形技術の開発が活発化している。

我が国においても新たな成長戦略である「日本再興戦略 -JAPAN is BACK-」
において国家プロジェクトとして推進すると位置づけるとともに、
「科学技術イノベーション総合戦略~新次元日本創造への挑戦~」
(6月7日 閣議決定)においても、三次元積層造形装置等の高度な生産技術
を地域のものづくり産業に適用することを明記されている。

我が国ものづくり産業がグローバル市場において持続的かつ発展的な競争力
を維持するために、地域の中小企業等の持つ技術や資源を活用し、少量
多品種で高付加価値の製品・部品の製造に適した三次元積層造形技術や
金属等の粉体材料の多様化・高機能複合化等の技術開発及びその周辺技術
の開発を行い、次世代のものづくり産業を支える三次元積層造形システムを
核とした我が国の新たなものづくり産業の創出を目指す。

2.金属用3Dプリンターの絶大な効果、コスト削減と性能向上
3Dプリンターは、さまざまな業界に多くのメリットをもたらすが、
とりわけコスト削減と性能向上という二つのメリットが大きい。この側面
からメリットが期待されるのはGEやエアバスといった航空宇宙産業や
フォードなどの巨大な自動車産業だ。
従来の製造方法から3Dプリント製造に切り替えることで莫大なコスト削減
効果をもたらすと期待されている。
例えば、GEは、ジェットエンジンの燃料ノズルを3Dプリンターで作ること
で莫大なコストを削減することを可能にしている。
そのコスト削減効果は、製造に関する直接的なコスト、すなわち金型代や
材料コスト、エネルギー料といったものにはじまり、間接的なコスト、
すなわち軽量化によってもたらされる燃費向上と燃料代の削減といった
ものまで及ぶ。

3.金属用3Dプリンター技術開発とは
(三次元造形技術を核としたものづくり革命プログラムより)
三次元積層造形技術開発について、世界最高水準の次世代型産業用三次元
積層造形装置の開発を行い、航空宇宙分野、医療機器分野、産業輸送機器
分野等において、これまでできなかった製品、形状が複雑でいくつかの
加工技術を組み合わせないと製造できなかった製品ないし自由で複雑形状等
の高付加価値製品等の製造を実現する。金属粉の焼結・溶融に適した高速
レーザー装置等の開発から、造形雰囲気の制御、金属粉の積層技術の高速化等
の日本のものづくり産業の強みを有する部分での開発を行い、積層造形
速度が、現在の10倍、製品精度が、現在の5倍となる高速・高性能別
三次元積層造形装置を開発し、さらに、開発が終了する2020年に当該装置
を実用化する。また、金属だけでなく鋳造鋳型用の砂やセラミックス等に
ついて、積層造形装置に使用できる部材としての開発や、材料の複合化・
高機能化、後加工技術、未使用材料の回収等の周辺技術開発についても
実施する。さらに、三次元積層造形に係る材料等の基盤技術の研究開発
も合わせて行うことにより、次世代のものづくり産業を支える三次元積層
造形システムの高度化を図る。

4.今後の可能性について
3Dプリンター普及のネックとなっているのは「スピード」と「価格」。
現行の産業用3Dプリンターのシェアは外国製が中心で、1台1億円の機種も
珍しくない。こんなに高価なのにもかかわらず、従来の工法と比較したとき、
単に性能を高めればいいわけではない。
一つの重要な視点として、「日本の職人の技術と3Dプリンターをどう
フィットさせるか」がある。「3Dプリンターで高精度の砂型をつくった
としても、例えばどのような角度から、どんな速度で溶かした金属を
注入すればよいのかを熟知していなければ、質の高い製品をつくること
はできない。日本の鋳造技術は世界でもトップクラス。工程のなかに、
熟練した鋳造職人のノウハウと3Dプリンターをうまく取り込めば、
日本の強みを最大限に活かしたものづくりができる。中小企業も含め、
製造現場に新しい発想をもたらす近年は「型」にとどまらず、金属粉を
溶かして固め、直接「製品」を造形する技術も急激な進化を遂げている。
「この方法なら切削では困難だったメッシュ加工や中空加工なども
思いのままとなる。研究を段階的に進め、いずれは複数の種類の金属
を組み合わせる複合組成の技術も確立し、こうした繊細さが求められる
加工は、まさに日本の得意分野であり、欧米をリードする技術に成長
する可能性も十分にある。
3Dプリンターは、より自由な発想を後押しする。せっかく素晴
らしいアイデアをもっていても、形にする技術がないために消えていった。
そんな例は無数にある。これまでの枠組みにとらわれない、新しいもの
づくりが広がって行く。

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