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2014年12月19日

2014.12.19

旅、介護、高齢者

高齢者と呼ばれる65歳以上の人間が、四人に一人となった、そして、それが
更に増えつつある日本では、高齢者の介護と言うのは、大きな問題の
はずであるが、国の財政状況の悪化もあり、不十分な点が多い。いわゆる
元気な高齢者でも、社会に自身のスキルを活かしたり、ボランティアとしての
かかわりを深めるなどと言った社会的なつながりを積極的に実践している人も
それほど、多いとは思えない。単に日常の生活に埋没し、日々相も変わらない
生活を送っているだけのようだ。ましてや、誰かからの生活支援を必要とする方は、
それ以上に、普段の生活だけで、目一杯なのではないだろうか。
これは、自分も避けられない現実でもあり、既にそこに達しているのだ。
このような思いもあり、少し前から以下の様な経営理念と想いを実現しようとしている
ある法人の頑張りを支援している。「高齢者+介護+旅」これが、キーワードである。

その経営理念
「”旅でつながる” ”いくつになっても、自分らしい旅が続けられる”」
その想い
「旅は、人をつなげ、心をつなげる。 私たちは、いくつになっても出かけられる
社会を作るために活動しています。私がこの事業をを始めたのは、介護やリハビリ
テーションの仕事に20年以上携わってきた中で、多くの高齢者の方が、まだまだ
可能性があるのに、多くの方が出かけることをあきらめてしまっておられると
思ったからです。旅には、人を元気にする力があります。出かける前は、気持ちが
わくわくして落ち着かないでしょう。そして、行ってからの驚きと感動、帰って
からの気持ちの高揚などなど。皆さまが、行く前よりもお元気になってお帰り
になります。
普段と違った場所に行くことで、気持ちが開放されたり、癒されたり、自然は人
を元気にしてくれます。 旅は、リハビリ。私たちは、いくつになっても
出かけられる社会を作るために活動しています。」

1.高齢者の介護の現実(内閣府資料より)
高齢者の要介護者等数は急速に増加しており、特に75歳以上で割合が高い
介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された人(以下「要介護者等」とい
う。)は、平成21(2009)年度末で484.6万人となっており、13(2001)年度末から186
.3万人増加している。そのうち、65歳以上の人の数についてみると、21(2009)年度末
で469.6万人となっており、13(2001)年度末から181.9万人増加しており、第1号被保
険者の16.2%を占めている。
また、65~74歳と75歳以上の被保険者について、それぞれ要支援、要介護の認定を受け
た人の割合をみると、65~74歳で要支援の認定を受けた人は1.2%、要介護の認定を受
けた人が3.0%であるのに対して、75歳以上では要支援の認定を受けた人は7.5%、要介
護の認定を受けた人は21.9%となっており、75歳以上になると要介護の認定を受ける人
の割合が大きく上昇する。

介護が必要になった場合の費用負担に関する意識について、内閣府の調査で60歳以上の
人に「子どもに介護などの世話を受けたり、老人ホームに入居したり、在宅でホームヘ
ルプサービスを受けたりする場合の費用をどのようにまかなうか」を尋ねてみると、「
特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことができると思う」が34.6%、「貯蓄だ
けでは足りないが、自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうことになると思う
」が8.9%、「資産の売却(担保を含む)等でまかなうことになると思う」が10.7%、
「子どもからの経済的な援助を受けることになると思う」が16.0%、「その場合に必要
なだけの貯蓄は用意していると思う」が13.5%となっている。

要介護者等からみた主な介護者の続柄をみると、6割以上が同居している人が主な介護
者となっている。その主な内訳をみると、配偶者が25.7%、子が20.9%、子の配偶者が
15.2%となっている。また、性別にみると、男性が30.6%、女性が69.4%と女性が多く
なっている。
要介護者等と同居している主な介護者の年齢についてみると、男性では64.9%、女性で
は61.0%が60歳以上であり、また、いわゆる「老老介護」のケースも相当数存在してい
ることがわかる。

「日常生活を送る上で介護が必要になった場合に、どこで介護を受けたいか」について
みると、男女とも「自宅で介護してほしい」人が最も多いが、男性は50.7%、女性は
35.1%と、男性のほうが自宅での介護を希望する割合が高くなっている。
自宅以外では、「介護老人福祉施設に入所したい」(男性17.0%、女性19.5%)、
「病院などの医療機関に入院したい」(男性13.6%、女性19.6%)、「介護老人
保健施設を利用したい」(男性9.9%、女性12.7%)が多いが、いずれも男性に
比べて女性のほうが割合が高くなっている。

いずれにしろ、これらの数字は、増加するのみであり、下がることはないであろう。
しかも、行政の支援は、あくまでも、介護行為そのものへの対応が基本であり、
個人個人の思いや望みに対してそれを叶えると言うことはほとんどない。
個人のささやかな望みを旅行と言う形で、実現できれば、残りの人生に何か
新しいページを作れるのではないか、との想いは強くなるのである。

2.旅と介護と高齢者
人生晩年の旅にはそれなりの思いがこめられている。両親の墓参りをして、故郷の
懐かしい風景を目に焼きつけておきたい。若いころに夫婦で行った楽しい思い出の
場所へ、もう一度訪れてみたい。テレビで見た景色を実際、その場所に行って、自身の
目で見てみたい。本人が強く望んでいるのは、家と言う日常そのものから少し離れた
非日常性への体験なのである。
しかもそれは、若い人々が望むような大袈裟なものではない。
しかし、介護されるものとするものには、周囲への意識の壁と自身の行動の壁が
ある。介護旅行に参加された方のお話でも、周囲への気遣いが強く感じられ、そこに
行動と意識の高い壁を作り出してしまう。「他の人へ迷惑を掛けるのでは?」
「1人で行動すると奇異にみられるのでは?」「途中で、私の都合で、旅行そのものが
ダメになるのでは?」様々な思いが去来するとのこと。
更に、このような思いには、介護をしてくれる人への遠慮や配慮と言うものが
滲み出て来る。

介護旅行の最大のポイントは、参加者全員による協働作業であると言う点では
ないだろうか。それは、参加した個人が個人の行動で、それを味わうと言う
通常の旅と大きく違う。
個人活動ではなく、団体活動としての全員の喜びが持たされることにある。
行きたい!という思いをもっているご本人がいて、その思いを支える家族、
普段の生活にかかわる介護や医療従事者、旅行先の宿泊、運輸、観光施設
の1人ひとり、現場の旅行支援メンバーなど、関わるすべての人たちが、
それぞれの役割のなかで最善を尽くし、1つの非日常性の、冒険のような
体験をを実現させることにある。
冒頭の経営者の思いにもある「、、、、行ってからの驚きと感動、帰って
からの気持ちの高揚などなど。皆さまが、行く前よりもお元気になってお帰り
になります。」と言う事実を高齢者一人1人に与えることが出来る。
しかし、多くの旅行業者は、そのような高齢者の思いを理解することなく、
いまだニッチなビジネス部分との先入観から、介護旅行と言うサービスへの
対応は、まだまだ十分といえない。多くは、社会課題の解決としての意識の高い
経営者、実行者に委ねられている事が多い。

3.事業推進への思い
いまだ社会課題の解決の1つとしてこの介護旅行事業を取らえる事が多いようだが、
社会課題を仕事にしようとしたとき、最大のテーマとなるのは「どうやって事業
を持続していくか」である。注目すべきは、日々顧客と直に触れ合うなかで体感
した潜在的なニーズが事業の起点であり、継続への要素であるという視点
の持ち方である。旅行事業は、薄利多売で、いまだ顧客層の少ないこのサービス
事業成立は、極めて難しい。しかし、潜在的な顧客層は増加の一途にある。
マクロで社会問題をどうこうするというよりは、目の前にいるこのおばあちゃん、
おじいちゃんの希望を叶える事が、いま自分たちのやるべきことだと思い、そこに
我々が必要とされている、と言う事業の原点をキチンと守りながら、事業としての
基本をも守っていく。そこに、多くの経営者、実践者は悩んできた。

それでも、一般企業の売上至上主義から学ぶべきことは多い。理念だけでは、
事業の継続は難しく、それを必要としている顧客には、最終的に、迷惑を掛ける
だけになる。顧客が望むサービスを望み通りに実現するのに、その対価を
キチンと頂くのは、当然のことである。
サービス業における価格と言うものは、何が正価格なのかわからない。
あるサービスに本人が納得すれば、数万円払うかもしれないし、満足しなかった
人は、百円ですら払わないかもしれない。
こちらの対価には、顧客が認めてくれた指標と言う面もある。
介護旅行では、その仕事は旅の同行だけではない。顧客によって千差万別の体調や
事情の聴き取り調査からはじまり、バリアフリーの宿や交通機関、トイレ、
飲食施設の調査・手配など、通常の旅行企画の何倍も準備に手間がかかる。
現場で機転を利かせることも必要となる。ある意味、究極のサービス事業でもある。
このような個々でのサービスの実施が、一般ビジネスではの同業他社との差別化
となり、社会課題の解決に結びつけられ、その具体的な行動と成果がこの事業
をして、社会的な意義を持っていることにもなる。
しかし、顧客となる介護を必要とする高齢者やサービスを提供する側の人にも、
これらへの思慮不足と誤解がある。この誤解の解きほぐしと意識の変革にあわして、
事業推進に対して、経営者、実践者も事業継続としての発想の強化が望まれる
ところでもある。

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