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2015年1月30日

2015.01.30

サービスとおもてなし

昨今、オリンピックの招致での話題として、「おもてなし」が喧伝されている。
また、サービスについても、言われて久しいが、これとおもてなしが同意義で
使われることもあり、ビジネスを行っていくには、これらをキチンと理解し、
顧客対応を行う必要がある。

1.サービスの特性を振り返る
まず、サービスの基本は、「ある主体が他の主体にとって有用な、人、もの、情報
およびシステムの機能を提供すること。しかも、
サービスの持つ通常の製品と異なる特性として、形がない(無形性:intangibili
ty)、生産と消費が同時に発生する(同時性あるいは不可分性:simultaneity・insepara
tability)、品質を標準化することが難しい(異質性:heterogeneity)、保存ができない
(消滅性:perishability)といった特性がある。このため、顧客ごとにその要望は、
異なり、品質を標準化することは難しい。
そこで、従来のマーケティング・ミックスの4Pである製品(product)、価格(price)、
プロモーション(promotion)、流通(place)に加えて、サービス・マーケティング
ミックスとして参加者(participants)、物的な環境(physical evidence)、サービス
の組み立てのプロセス(process of service assembly)の3つのPを加えた7P
でサービスマーケティングを考えることが必要といわれている。
サービス対応における顧客満足はそれを受ける参加者やそのTPO(プロセスや物的な
環境要件)に大きく左右される。
このため、サービス業では、レストランの予約係や接客係、ソムリエのような、企業
と顧客の間の接客要員をマーケティング上の重要な要素と考えている。
顧客満足向上には、従来の企業と顧客間のマーケティングだけでなく、インターナル・
マーケティングによって顧客の接点である従業員の満足度を向上させることが
重要となる。
しかし、最近は4Cと言われる顧客視点でのアプローチがより重要となっている。
カスタマーバリュー、コスト、コンビニエンス、コミュニケーションの4つであるが、
個人的には、サービスマーケティングには、この4Cと3Pの組み合わせがサービスの
高度化には、有効と思っている。
①カスタマーバリュー
カスタマーバリューとは、顧客の立場で本当にそれらが顧客にとって魅力あるものか、
検証・振り返ることであり、意外と、想いが一方的であったりすることに気づくもの。
そこに大きな差別化をつけることが可能となる。
②コスト
顧客にとって費用・コストが重要となる。その価格設定または割引条件などは
魅力的か、顧客の立場で振り返る必要がある。
まだ、多くの企業では、積み上げ方式による価格設定が基本でもある。
③コンビニエンス
顧客の立場から見れば、要望するものを直ぐに入手出来る利便性が重要となる。
立地条件もインターネットの出現で、必ずしも便利な場所にあるという必要性は
低くなっており、利便性の高さは、一層の深化を見せている。
④コミュニケーション
まだまだ一方通行的な内容が多く見られるサービスビジネスの多い状況であり、
更なる顧客の立場からみたコミュニケーションが必要となる。しかし、意思伝達的な
プロモーションは、各社のホームページの例から見ても充分とは言えない。
 
2.サービス要素の相互関係
サービスを有効にマネジメントするには、企業、従業員、顧客の3者の関係を
十分に認識し、各要素間の関係を総合的に制御していくことが重要となる。

1)従業員満足とインターナル・マーケティング
「ハッピーな従業員は顧客満足を高める」ことの再認識が必要となる。
サービスの基本要素である人材の重要性からすれば従業員が意欲を持って働ける職場
づくりが必要である。 
このためには、以下の職場環境を整える。
①仕事のしやすい職務の構造や仕事の流れ
②設備・道具が十分である
③やる気を引き出す組織の風土
④適切な報酬や評価する制度
さらに、インターナル・マーケティングをキチンと考える。
特に重要なのは従業員のエンパワーメントの推進である。
それは、単に権限を再配分するのではなく、従業員を信頼しきる、ことが重要。
「従業員一人一人を企業家のように」

2)顧客ロイヤリティと顧客満足(これには、企業、従業員が夫々に関係する)
顧客満足は、顧客(利用者)のサービスに対する主観的な評価の結果、「飢えや
渇きをいやす」という客観的な生理的充足感とは異なる。
顧客満足の内容も変質しつつある。
①「買い物が楽しかった」というような主観的充足感自体も消費の目的になる
②充足感は、次への期待を生み、リピーターを生み出す原動力になる
その基本ポイントは、顧客ロイヤリティの向上にある。

顧客ロイヤリティを高める前提となるのは、
①顧客満足
②スイッチング・コスト(顧客、利用者がサービス提供者を変更するときに必要な
コスト。これには、金銭的、肉体的、精神的負担も入る。
③人間関係の絆
しかも、三つの要因の影響力の大きさは、問題となるサービスの性格によって
変わってくる。

3)サービスの品質
サービスの各要素をキチンと把握していくにも、その品質を理解し、把握していく
必要がある。そのマーケティングにおいてその「品質」の持つ意味を理解して
おくこと。
サービス品質には、 
・探索品質:消費者が製品(サービス)を購入する前に評価できる品質
・経験品質:       〃       して後に経験する品質
・信頼品質:購入後も時間が経過しないと評価が難しい品質
などがある。
特に、マーケティングという視点から見た場合には、主観的品質が重要となる。
顧客の消費行動に大きな影響を与えるのは、顧客が自ら認知し判断した評価で
あり、サービスの提供過程も評価されるからである。

サービス品質と満足感の関係はどのようになるのであろうか。
サービス品質は、合理的な認知、知覚。長期的な評価であり、主観的ではあるが、
評価した本人としてはいわば「きっちり」評価している。
一方、満足感は、感情的・感覚的反応であり、合理性はない。通常は、品質への
評価が満足の前提になる。サービス品質への評価が低いのに満足ということは
あまりない。
 
3.サービスをマネジメントする 
1)サービス・マネジメントとは
サービス・マネジメントとは、「サービスを提供する組織のあり方とその活動の指針
を導く経営活動、サービスの生産過程についての経営と管理の仕組み作り」である。
具体的には、
①サービス活動全体(戦略、組織、現場)を貫く方向性を示すこと。
②それに応じたサービス活動の仕組みをつくること。
③サービスを提供する側とうける側との相互作用を通じてサービスの品質を向上さ
せること。
④以上の活動が全体としてよい循環を作るようコーディネイトすること。
 
2)サービス・マネジメントのシステム化
サービス・マネジメントを実際に行っていく上での基本的な仕組みについては、
以下の五つの要素によって構成される。
①マーケット・セグメンテーション
②サービス・コンセプト
③サービス・デリバリー・システム
 マーケティングをふまえた実際のサービス活動の仕組み
④組織の理念と文化
 
「システム」は以下の点を考慮する必要がある。
①サービスにおける戦略と実際の活動
  戦略と活動との相互作用が直接的であり、その場しのぎとならないようにする。
②「システム」としてサービスを考えることの重要性
  「人」に問題が矮小化されがちであるというサービスの特殊性から
  「循環」を作る。 

3)サービスの受け手への価値の提供
サービス・マネジメントを考える上で、そもそもサービスの受け手がサービスをどの
ように捉えるのか、を理解しておく必要がある。
①受け手が感じる「価値」がサービスの「価値」を決める
 サービスは「顧客価値」によって評価される。
 サービスの品質に対する評価は、期待と実績の差から判断される。
②顧客ロイヤリティの重要性
 リピーターが利益を生み出すことへの認識と「生涯価値」という発想が必要となる。
 
4.「おもてなし」について
「おもてなし」とは、まず相手のニーズを認識することからはじまる。相手が気づ
いていない潜在的なニーズ(思い、欲求)を推測し仮説のニーズを提供することにより
顕在化する。また、顕在化されているニーズ(欠乏を認識しているもの)は確実に把
握すること。それらの認識に基づいて、形式としての「こと」と「もの」を相手のニー

に絶妙に組み合わせて提供し、インタラクティブ(双方向)に相手の反応を確認しその
形式に修正・立証を加えていく。このように、「おもてなし」は潜在化ニーズと顕
在化ニーズ、認識知と形式知から成る複雑な構造を持っている。
このように、おもてなしは今まで述べたサービスの一部であるが、顧客との関係も含め
より深い対応が必要となる。従来言われてきたサービスの多くは、主従関係がある
一方的なものが多かった。
「おもてなし」で重要となるのは、人と人とのインタラクティブ性である。
通常のサービスとは先ずこの視点で分けるべきである。
このため、「人間性」というマインドが、「おもてなし」のベースにある。

「おもてなし」では、深いマインド醸成と方法論をともなっている。それは、
「不機嫌な職場」の解決にも寄与するマネジメントの方法論になることでもある。
組織は人と人との集合体であり、組織をよい方向に変え、社会に貢献するためには人そ
のものをとらえていくことが重要である。焦点となるのは、人が持つべき
「人間らしさ」であり、「おもてなし」は、人間そのものを真正面でとらえ、
人間らしさとはどういうことなのかを問い、その状況に合わせ独自対応をとる
ことが求められる。多くの企業では、仕事をマニュアル化し平準化を目指して
いるが、おもてなしの観点から考えると、サービスの質」向上を妨げる原因
になってしまうこともある。
おもてなしの精神を持つということは、人を快く受けいれる行為を実践する
ことであり、この行為が自分の存在意義を明らかにしながら生き続ける
ということになる。
まずは、「おもてなし」とは対面している相手に意識を向け、相手の状況や感情を
認知して、自分がすべきことを考える。その結果、相手が「思いやってくれたな」
と理解すること。そのベースにあるのは、平準化されたサービスではなく「人間性」
が基盤となる。人間性とは自分を肯定し相手も肯定し、自分を大切にすることである。
人間性は自らの存在を肯定できる安心感を持ち、ほかの人を思いやろうという気持ち
とエネルギーに影響し、お互い人として平等であるということを自覚しなければ
おもてなしのプロセスは成り立たない。そして、このプロセスが成り立つことで
はじめて、おもてなしが成立し「信頼」や絆」が生まれる。これらはお互いの平等
性から生まれる。「助けてあげる」、「手助けをさせていただく」といった両極端に
振れるアンバランスな構造ではなく、人として「助ける」という中庸なベース
が必要になる。
おもてなしが通常のサービスと大きく異なるのは、上述したように、その双方向的な
対応である。いわば、お互いに優劣・高下のない主客同一関係という相互性である。
おもてなしは、付加価値交換であり、ゲストの願望に対して満足や感動を与え、
個性化、人間力化といった人格の問題でもある。教育をしなければ人財の質を高める
ことができない。そのため、相手の願望や期待を予測してお互いが価値創造していく
ことが、各個人に求められる。マニュアルや訓練をすることによりアルバイトでも
サービス提供は実現可能であり、サービスにより付加価値の交換をし顧客満足を
提供するといった考え方が通常であるが、単なるサービスに留まることにもなる
可能性も高い。ここに、「おもてなしをする」と言った行動規範を明確にする
ことにより、サービスの向上を更に高められる。
以下の3つの要件を意識し、行動することが肝要かも知れない。
①安全・安心:身体的・心理的・経済的脅威に脅かされないこと
②自尊:顧客に恥をかかせないことが非常に重要である
③公平:顧客によって態度を大きく変えるべきではない

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