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2015年2月13日

2015.02.13

3Dプリンターの更なる広がり

発展途上中とは言え、3Dプリンターの活用はあらゆる分野に広がってきた。
紙への印刷と言う2次元世界からディジタルデータを三次元の形あるものにする
という世界がかなりのスピードで、我々の生活を変え、新しい社会環境
を作り出している。手作りの持つ味わい深さを感じるのは、素晴らしいこと
ではあるが、自分の考えているイメージが形を持って、目の前に現われることも
素晴らしいことである。
製造業での本格的な活用や3Dプリンターの価格などまだまだ進化、改善して
行く要因は多いものの、この新しいソリューションに期待が高まる。

樹脂材料を中心に導入が進む3Dプリンターであるが、一方で金属への3D
プリンターの適用は今後どのような見通しになるのか、以下の指摘にもあるように、
まだ不定な点が多い。
・3Dプリンターの導入が欧米を中心に急速に進んでいる。我が国においても、
樹脂材料を中心とした3Dプリンタの導入が進んできているが、金属3Dプリンター
については、その導入の数も少ないため、現状を十分に把握できていない。
3Dプリンタの現状をキチンと把握し、国のプロジェクト(TRAFAM)の開発状況
をフォローして、航空宇宙産業、自動車産業などの製造業への適用の可能性など
について討議する必要がある。
・3Dプリンターは、デザイン力・品質向上、開発期間短縮など試作内製化ツール
として注目されているが、適確な3Dプリンター選びをするための市場動向や
導入効果を事例をキチンと把握しておくことが必要。
・金属系3Dプリンター(金属粉末レーザ積層造形装置)では、さまざまな企業
ニーズに応えるため種々の粉末材料を用いた造形技術の研究開発が必要である。
金属系3Dプリンティングの特徴・造形事例などの把握と鋼系・チタン系・
アルミニウム系粉末などを用いた造形技術の研究を進める必要がある。
・デジタルデータより直接生産を行うDDM(ダイレクト・デジタル・マニュファク
チャリング)の動向を製造業では、キチンとフォローしておく必要がある。

1.3Dプリンターの効果
最近の調査では、導入企業3分の1が製品リリースまで25%以上の改善が見られるなど
その効果は、徐々にではあるが、産業界に認められつつある。
特に、製造業の現場では、10数年以上前から3Dプリンターを活用してきたケース
も少なくない。それまで外注していたプロトタイプの製作を内製化することで、
開発全体のスピード化とコスト削減を実現することが出来る様になって来た。
例えば、3Dプリンターを採用している企業1000社を対象とした調査結果
レポートによると、回答者の3分の1近くが、製品リリースまでの時間について、
先ほども述べたように25%以上の改善が見られた」と回答している。
製造業の現場において、開発期間を短縮し、大幅なコスト削減を実現するために
3Dプリンターは欠かせない存在となりつつある。

最近では、機能向上や使用できる素材の多様化、低価格化など、さらなる進化が
見られ、その結果、3Dプリンタは単なる試作機ではなく、様々なビジネス上の
メリットを生むマシンであることが認識され始めている。
ゼブラ株式会社では、3Dプリンター活用事例として、3Dプリンターで造形
したプロトタイプで、グリップの感触も再現するというような「人間の五感」
に通じる「書き味」を再現し、共有できる強みを作り出している。
ゼブラは、ボールペンの製品開発の過程で3Dプリンターを活用している。
ペングリップは、ボールペンの書き味を左右する重要な要素であり、細密な造形
が求められるが、 「書き味」という人間の五感に通じるものを複数の関係者で
共有でき、形状・素材感を再現できる3Dプリンターの強みを活かしている。

「アイデアをすぐ形にして」「実物を見ながら議論ができる」という点も、3D
プリンターのメリットである。例えば、カーナビ市場をリードするパイオニアは、
世界初となる拡張現実(AR)を採り入れた「ヘッドアップディスプレイ」を
製品化した際も、3Dプリンターを活用した。
「造形したモデルを見ながら、設計の妥当性を確認できるので、意思決定が早まり、
結果として製品開発のスピードも上がります」とのこと。
また、樹脂製の射出成型金型作成では、3Dプリンターが、開発関係者や顧客との
間のコミュニケーションを円滑化する道具として使われるようになってきた。
さらに、3Dプリンターで樹脂製の射出成型金型を作成する企業や、3Dプリンター
から直接、最終製品を作る「ダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング
(DDM)」を導入する企業も現れている。

2.デジタルマニュファクチャリングについて
製造業における「多品種・小ロット・短納期」という今日的な課題にも、3D
プリンターが活躍する領域はますます広がる。これらの様々な課題を解決するために
モノづくりのスピード向上とグローバル展開をITを活用して実現する「デジタル
マニュファクチャリング」は、次へのステップとして、極めて重要なことである。

デジタルマニュファクチャリングとは「モノづくりのあいまいさ,すなわち
暗黙知を形式知化し,更にデジタル値に変換して、ITを最大限に活用するモノ
づくり変革」である。開発や生産に費やす時間(リードタイム:LT)の短縮、
コスト削減,品質向上を妨げる無駄やロスを最小にして,モノづくりのスピード向上、
グローバル展開を実現することが目的である。
デジタルマニュファクチャリングは,モノづくりにおいて単にITを活用すること
ではない。モノづくりの現象や挙動、製造工程、人の動作などを最小の単位まで
分解して形式知に置き換えること、更にデジタル値化し、ITシステムに組み込む
ことが特徴となる。
デジタルマニュファクチャリングを実現するためのアプローチとして、デジタル値
の再現性や信頼性の高さ、加工や再利用の容易さ、時間や距離を短縮できる、など
の利点を考慮したデジタルマニュファクチャリングには、以下の5つの形態がある。
①技術・技能の数値化
この形態はデジタルマニュファクチャリングを進めるうえでの基本となる。
開発や生産における技術や技能、運用ルールなど、あいまいなノウハウを形式化し、
プロセス条件や現象をデジタル化するアプローチである。
②データの情報への変換とその活用
データは単なる数値の集合体であり、意思決定や判断に活用できる情報に変換する
ことが重要となる。例えば、製造現場における生産の進捗や品質のデータをリアル
タイムで抽出し、品質や生産性を改善するための指標など、有意性のある情報に
加工してそれを活用することが必要である。
③仮想設計・製造
製品の性能・構造、生産プロセス・装置の現象や製造ラインでのモノの流れを
コンピュータ上でシミュレーションし、むだな試作や開発の後戻りを最小化する
アプローチである。
④データの一貫・一括活用
製品の情報やデータを,開発や生産の上流から下流まで一貫して活用し、更に複数
の部門で同時期に一括して活用するアプローチである。例えば、製品の設計情報を
試作、製造、量産立上げまで活用したり、営業が得た情報を調達、製造、販売まで
活用するなどが挙げられる。
⑤グローバル遠隔管理
インターネットやイントラネットなどのネットワークを活用し、時間や距離を
超えて、遠隔地から生産状況や品質の監視と制御、生産装置の診断や保守を行う
アプローチである。

これら5つの形態をもとに様々な製品、事業、開発、生産の状況に適合した
デジタルマニュファクチャリングの姿を描くことができる。
モノづくりの活動は、商品企画から製品の設計、ライン設計、立上げと続く開発の流れ
と受注から調達、製造、物流、販売までの生産の流れの二つに分けてとらえることが
できる。
開発での課題は、製品の高度化に伴う試作回数の増加や開発の後戻りの発生である。
一方、生産での課題は、生産拠点が分散して一か所では現場管理できない、従来の
見込み生産では市場の変化に対応できないことなどである。両者で共通した課題は、
人手を介した直列的な情報の受け渡しでLTが長くなることが挙げられる。
これらの課題を解決するためのツール開発やシステム構築がデジタルマニュファク
チャリングの具体的な取組みとなる。

3.3D対応の進化
「ファッションや食品など、これまでとは違った異業種が注目されている。この傾向は
今回アメリカや日本で開催されている展示会などではっきり出てきている。
BtoIへの流れを感じたきっかけというのはファッション業界との取り組みが大きい。
自分たちで流行を作って、在庫見込を計算して9号や10号など規定サイズで
生産するわけだが、必ず見こみ違いの在庫不良が出るので、それをセールで売り
つくすことになるというのが昔からの課題。この当たり前とされてきたサイクルを、
当たり前ではないのではないかと気付きはじめている人たちがいて、それを解決する
のはやっぱりBtoIという考え方ではないかと考えている。つまり、規定のサイズ
を作り置きするのではなく、需要に応じて作れるシステムとプロセスというのを
完成すればいいじゃないかと考えている。型紙の代わりに人体データがあれば、
1本の糸から紡いでワンピースとかカットソーを作るぐらいの技術力を持った企業も
ある中で、決して遠い話ではない。
これからは、消費者という一括りにした対象ではなく、BtoI、個人(Indevidual)
としてより細分化したニーズや個性に応えてゆく必要があるし、それができる
ものづくりに移っていくと考えられている。

そういったシーンでは、3Dスキャナや3Dプリンターが使える。
3Dプリンターによりフルーツや野菜が本物そっくりの立体造形物として完成
するという情報番組がときどき放送されているが、この最新フォト技術を人体に
応用して本物そっくりのフィギアをつくる、それをポートレート写真のような
位置づけで展開しようという試みでスタートした「3D写真館」が注目をされている。
「新しい創造」=「新しいプロセスから」というのがチームのコンセプトで、
クリエィティブのプロセスにおいてユニークな提案をしている未来的発想の
クリエーター集団である。彼らはこれまでの平面的な写真という記録ではなく
立体としての記録、そのような考え方の新スタイルフォトを実現した。
これは、3Dスキャナーの進化が大きい。
これはモデルを3Dスキャナーにより撮影し、まずポーズを決めてから15分程度
静止状態を保つ。その間に専門スタッフが、人体フォルムから洋服のシワに至る
まで細かくスキャニングする。仕上がりに関しては、モデルサイズが大きいほど
精密でリアルに再現できるという特長を持っている。
このように、3Dスキャナーと3Dプリンターの進化により、3Dの世界はパソコン
の画面の中だけのものではなく、実際に手に触れられる情報再現機能として
進化している。
そして、最近では「3Dペン」も登場してきた。ペン型のツールに小さな
パワーケーブルを接続、パソコンのUSBポートとつないで専用フィラメントを
入れて描くと、空間に絵を描いているような立体画像が完成する。ぺンツ―ルは
小さく軽く、快適で使いやすい。

「3Dプリントしたいけど、3Dモデリングは難しいと思っている人でも、
簡単に遊びながら3Dモデルをつくれる」というコンセプトで、より多くの人が
活用していく環境が出来つつある。
価格的にも、例えば、これまでda VinciシリーズでFFF(熱溶融積層)方式の3D
プリンターを出していたXYZ Printingでは、同社初のSLA(光造型)方式となる
「Nobel 1.0」が約17万6000円の価格で展示されたり、ついに349ドル(約4万1000円)
の価格のエントリー機の「da Vinci Jr.」や3Dスキャニングから出力までを1台
でこなせるオールインワン3Dプリンタ「da Vinci 1.0 AiO」(799ドル、
約9万4000円)など、高機能化、低価格化は益々、加速化している。
さらに、XYZ Printingは「3D Food Printer」への対応も進めている。プリント用
素材として、パン生地やさまざまな味を持つペーストが用意されており、これを
出力することでベースとなる“生地”が作成され、後はオーブンに入れて焼けば
クッキーやピザなどが完成する。

以上のように、3Dプリンターやスキャナーなど、ハードの進化は目覚しいが、
今後のポイントは各業界や分野におけるデータをキチンと整備していくことである。
3Dデータは、製造・建築・土木・宝飾・アクセサリーの分野においては、CAD/CAM
という呼び名であり、アニメーション・映像・立体視映像・画像・ゲーム製作・
地図情報・医療の分野においては、CGという呼び名で一般化しており、すでに
これらの産業分野で不可欠なものとなっている。同じ3Dデータを使いながら、
3DCADと3DCGの距離は遠いものとなっているが、あらゆる産業が従来の
構造から変革を迫られる中、3Dデータを共通項とすることで3Dデータ業界を
活性化していく必要がある。

京都周辺でも、幾つかの研究会がある。
京都産業21の3Dプリンター研究会は製造業向けでもあり、最新の
金属3Dプリンターの動向が分かる。
以下のものは個人ベース的な研究会であるようだが、このような会がもっと
増加して欲しいもである。
http://www.3dprinter-lab.jp/client/boshu/detail/12/14/

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