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2015年2月20日

2015.02.20

ふるさと納税から思うこと

ふるさと納税に人気があると聞いた。少し調べると、ある程度は分かっている
つもりではあったが、これを使ってもっと地域の活性化に使えるはずだ、との
想いが強くなった。
ふるさと納税はもともと、地方の自治体の施策に賛同した人が、その自治体に
寄付と言う形で、納税するものである。その分だけ、今住んでいる自治体から
免税もされる。
最近、このふるさと納税が初めの趣旨とは違う形で、結構盛んになっている。
その要因は、ふるさと納税を納めた人にその納税自治体からその地域の特産品などを
もらえることにあるようである。納税額の5割から8割相当の特産品がもらえる。
いわば、特産品のネット通販の行政版になっている。
納税する人は、その自治体の政策や施策に賛同するという政治参加の行動意識よりも、
全くの消費者行動となっている。
それが、昨年度は130億円にもなるのであれば、問題も発生してくる。
大きいのは、納税者の住んでいる自治体の税収入が、ふるさと納税された分だけ
減ると言うことである。もともと、これは、東京一極集中で、疲弊している地方の
活性化のためが基本趣旨であったのが、趣旨とは異なり、自治体間の競争を
生み出しているのだ。
しかし、この傾向は強まることはあっても、減少することはないのであろう。
自治体も、更に豪華な景品や、サービスでこのふるさと納税を増やそうとしている。
確かに、北海道の東川町などは自治体の税収の倍になるふるさと納税額が
寄付されている。これで、町は、いままで出来なかった育児向けの強化や
街のインフラ造りに使っている。
ただ、当初の趣旨に沿って、街の活性化にこれを活用している自治体もある。
埼玉県の宮代町では、そのホームページに町の施策を分かり易く、丁寧に
載せる事により、製作や施策への賛同を得て、幾つかの事業をふるさと納税で
対応している。納税者は、その景品欲しさではなく、町としての行動に共感
しているのである。今、少しづつながら活況化しつつあるクラウドファンディング
の行政版である。私も行政関係の事業を実施したりしているが、最近は特に、
「予算が市長の指示で通らなかったので、何も出来ない」など、言い訳の
話が多い。でも、幾つかの行政で実施しているふるさと納税の活用とその
ための仕掛け作りを真剣にやれば、できるはずである。その証左はこの
ふるさと納税の成功事例に見られる。もう少し、この手法考えるべき時期でも
あり、意識の変革が必要とされる。

1.ふるさと納税の光と影
内閣改造後の安倍内閣では、「地方創生」を1つの目玉政策に掲げている。その中で、
「ふるさと納税」(「ふるさと寄附金制度」)も注目が高まっている。
菅義偉官房長官がふるさと納税の控除額の上限を引き上げる方針を示している。

ふるさと納税とは、出身地などの自治体に寄附をすると居住地で税金が軽減
される仕組みである。ふるさと納税という名ではあるが、税制上は寄附である。
また、寄附先は出身地にこだわらず、どの自治体でもよい。
例えば、ふるさと納税制度を使い、ある自治体に1万円の寄附をしたとする。
寄附した人は、確定申告を行って、寄付額から2000円を控除した残り8000円だけ、
所得税と住民税が減額される。より細かく言えば、この人が20%の所得税率に
直面している人なら、8000円×20%=1600円だけ所得税が減額される。
さらに、居住地の自治体に払う住民税も、8000円×80%=6400円減額される
(ここでの80%は、所得税で減額された際の20%を100%から差し引いた率である)。
要するに、ふるさと納税制度を使って1万円の寄附をすると、税負担が8000円
軽くなる。とはいえ、ひとまず2000円は懐からお金が出ていくことになる。
他方、寄附を受けた自治体は、寄附者に謝礼品として5000円分の地元の特産品を贈った
り、その送料や謝礼品を贈るなどの事務作業のために雇った事務パートへのバイト代で
1000円を払ったりしたとする。すると、寄附を受けた自治体は、残りの4000円を収入と
して得ることができる。
ふるさと納税をした人は、2000円の負担で、5000円の価値のある謝礼品をもらえる、と
いうことなら「お買い得」ということで、気に入る特産品がもらえるならふるさと納税
をしてもよいと思う人が増えているという。
ふるさと納税をした人も「お買い得」、寄附を受けた自治体も収入増、地元の特産品
生産者も地元の雇用者も所得増、といいことずくめのように見える。
しかし、1万円のふるさと納税で、国は所得税収が1600円減り、居住地の自治体は住民
税が6400円減る。結局はゼロサムゲームで、得する側があれば損する側がある。
この構造を踏まえれば、ふるさと納税をした人が「お買い得」と思う特産品を謝礼で
出せば、ふるさと納税による寄附が増えると期待する自治体が出てきて不思議
ではない。
事実、そうした自治体はどんどん増えており、謝礼品もどんどん豪華になっている。

これまで、謝礼品は寄附額の3~5割という暗黙の了解があるとされるが、最近では8割
返しの謝礼品もあったという。寄附を受ける自治体は、ふるさと納税がなければ寄附は
ゼロなので、少しでも手元に残れば収入増となるから、ついつい謝礼品に力が入る。特
に、人口の少ない過疎部の自治体は、ふるさと納税に熱心で、合計して億円単位の寄附
を集めたところも続出している。
確かに、謝礼品として地元の特産品を贈れば、地場産業の振興にもなるし、地元のPRに
もなる。ふるさと納税に関わる事務などで地元の雇用を促進することにもなる。

しかし、ふるさと納税をする人が住む自治体は、住民税収が大きく減るので、危感を
募らせている。特に、大都市の自治体は、ふるさと納税をする住民は多いが、ふるさと
納税をしてくれる人は少ないので、今後ふるさと納税が拡大するともっと税収が減る
との懸念が出ている。居住地の自治体からは行政サービスを通じて便益を得ている
のに、ふるさと納税によって居住地の自治体への税負担を免れている、というのでは
応益負担の原則に反するという批判もある。

2、ふるさと納税をする
都道府県・市区町村に対する寄附金のうち、2,000円を超える部分について、一定限
度額まで、原則として所得税と合わせて全額が控除される。
なお、所得税・住民税から寄附金控除の適用を受けるためには、確定申告を行う必要
がある。
年末調整や確定申告の際に、所得控除と税額控除を出来るだけ沢山申告することに
より、過払いの税金が返ってくるが、ふるさと納税は確定申告でしか申告できない。
年末調整は特定の控除だけ簡単に済ませる為の手続きです。
ふるさと納税を行うと、後日、その自治体から寄附金証明書が送られてきますので、
確定申告の際にそれを添付する。

寄付金45000円は、2000円を差し引いた上で「所得税の所得控除」に計上され、
所得控除はその10%だけ税金が安くなるので、
(45000円ー2000円)×10%=4300円
が還付される。
確定申告して1ヶ月後くらいに、税務署から自分の口座に直接振り込まれます。
寄付金45000円は、2000円を差し引いた金額の90%が「住民税の税額控除」に計上
され、税額控除はその金額分丸々税金が安くなるので、
(45000円ー2000円)×90%=38700円
が還付される。
正確には、還付金額の分だけ翌年の毎月の住民税が減額される。
つまり翌年1年かけて徐々にお金が返ってくるというイメージ。

結局、所得税と住民税のキャッシュバック分は
4300円+38700円=43000円
となり、寄附金として45000円払ったにも関わらず43000円キャッシュバックされ、
実質負担金は2000円で済む事になる。
「寄附金の総額-2000円」
が所得税の還付および住民税の減額という形でキャッシュバックされる。
または自治体のHPの入力フォームで必要事項を送信すると振込用紙が送られてくるので
郵便局等で振込を行う必要がある。
最近は、どの自治体にいくら寄付すると何が貰えるかというランキングを特集したサイ

があり、そちらを参考にするとよいのでは。

ふるさとちょいすhttp://www.furusato-tax.jp/
わが街ふるさと納税 http://www.citydo.com/furusato/
ふたくす(ふるさと納税応援サイト) http://f-tax.jp/

最近の人気自治体は
・長崎県平戸市(海産物)
・北海道浦幌町(ジンギスカン)
・千葉県市川市(Tポイント)

3.ふるさと納税の今後
そもそも、ふるさと納税は寄附税制の一環である。この原点に立ち返って、ふるさと
納税を位置付ければよい。ふるさと納税は自治体に寄附した時に適用されるが、
日本赤十字社や公益法人、学校法人、NPO法人などの非営利法人に寄附した時にも、
寄附税制によって所得税や住民税の負担が軽減される。
寄附することは、個人の自由である。ふるさと納税があろうがなかろうが、自治体への
寄附は昔から認められている(事実、ふるさと納税がある今日でも、ふるさと納税によ
る税負担軽減の恩恵の上限をはるかに超える額の寄附を自治体にする方もおられる)。
また、ふるさと納税があるために税収が減る自治体は、その住民が非営利法人に寄付を
すれば、寄附税制があるので税収が減るのだが、住民に対して、応益負担に反するから
非営利法人に寄附をするなと言えるだろうか。言えるはずはない。ならば、住民が他の
自治体に寄附をすることも、やめろとは言えない。
そう考えれば、寄附は個人の自由であることと、ふるさと納税は寄附税制の一環である
との原点とを踏まることが重要である。
この観点から言えば、謝礼品合戦は、寄附税制の趣旨に反しかねない。
地方税制を所管する総務省は、謝礼品の送付について「適切に良識を持って対応」
するよう求めている。
現時点では、各自治体の「良識」に委ねられている。
しかし、ふるさと納税を寄附税制として位置づけるなら、単に自治体の「良識」だけに
委ねるべきでない。なぜなら、税制優遇のある寄附は、自治体だけでなく非営利法人に
も認められているからである。税制としての整合性が問われる。
非営利法人に、なぜ税制上の恩典が認められるのか。営む事業で上げた利益をその構成
員に分配して私益をもたらす営利法人とは異なり、非営利法人は、構成員への利益の分
配を予定しておらず公益を追求することを想定している。非営利法人は、積極的に不特
定多数の者の利益の実現を目指す存在と位置づけられる。非営利法人が得た寄附金は、
こうした目的を果たす事業に使われる。そして、非営利法人が、もしこれに反するよう
ならば、非営利法人としての認定が取り消されたりする。取り消されれば、税制上の恩
典を失うことになる。
しかし、地方自治体が得た寄附金が、露骨に特定の者の利益を実現してしまうような形
で用いられたならば、どうだろうか。
ある個人からの営利法人への資金提供は、寄附とはみなされず、出資や利益供与などと
みなされ税制上の恩典はない。寄附税制としての整合性に鑑みれば、非営利法人が
得た寄附金が不特定多数の者の利益の実現を積極的に目指すべく用いられるならば、
地方自治体もそうであるべきだ。
つまり、ふるさと納税で得た寄附金を、地元経済活性化に用いるのはよいが、露骨に特
定の者の利益を実現してしまうような形で使われるようでは、その寄附金は、単に地方
自治体を右から左に通り抜けるだけで、特定の業者の利益を増やすだけのものに
成り下がる。
寄附をした人が、個人的に、特産品を生産する業者と私的な取引をする時には税制上の
恩典はないが、ふるさと納税制度を使えば税制上の恩典があるという違いから見ても、
税制として整合性に欠く。
そう考えれば、ふるさと納税で得た寄附金は、それを受けた自治体の行政(公益を
追求)のために用いるのが基本で、謝礼品は(非営利法人で許されている程度に)
特定の者の利益を増やすことがない範囲で認める、というけじめが必要だろう。
このように、ふるさと納税を契機に起きた地元経済活性化など、副次的な効果が出始め
ているわけだから、頭ごなしに豪華な謝礼品を禁止するというより、個人の自発的な
寄附を尊重しつつ、自治体と非営利法人にある寄附税制での整合性を担保する形で、
許される謝礼品の範囲を位置づけるのよいだろう。
とは、いうものの、先ずは、予算ありきで事業を考えると言う従来からの行政マン
思考をあらため、
「住民の要望するその事業を上手く実現するにはどうしたらよいのか」の
発想の転換がない限り、ことは動かない。

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