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2015年2月27日

2015.02.27

プロジェクト未来資産への想い

変わり行く日本であるが、変わってもらいたくないものもある。人は自然との
調和の中で生きている。これは、都市生活と呼ばれる機能性と便利さを重視
した生活とは、ある面、対極にあるものでもある。
自然をそのままに活かし、人がその中で過ごせることが肝要ではないのだろうか。
人口減少によって多くの市町村が消滅の危機にあるという話がよく聞かれるよう
になった。多くの市町村が都会と同じ生活を目指し同様の市民サービスをしてきた。
コンクリートだらけの無機質な世界を造るのではなく、自然の資産、資源を活かした
自分たちの実力に合った行政としての収支を考える必要がある。
自然を壊し、高速道路や様々な施設を造る事が住民サービスだという遅れた意識と
行動がまだまだあるようだ。行政、企業、市民団体の3者連携による協働と言う名
の事業推進も多くの自治体で行われているようだが、意識が変わっていない以上、
形ばかりの謳い文句となっている自治体も少なくない。
人と自然は一体のものはずだが、人の尽きない欲望が優先し、それを壊す事に
専念してきた時代でもあった。

広島の土砂災害の不幸な出来事があった。
ある専門家の言葉が印象に残った。
昔は、その土地を、いくつかのステージに分別されていたとの事。
もともと、土地は、神との共有に成り立っている。
たとえば、
家の庭ー野良ー野辺ー里山ー奥山ー嶽(タケ)なっていた。
これが、山村での自然利用の基本となていた。
野良から里山は、傾斜地であるが、奥山、嶽は神に存するものとして、
人間としての利用は考えられなかった。考えてはいけない場所であった。
野良は、平坦な生産場所、野辺は、傾斜地ながら作物利用の出来る場所、
里山は、利用が可能な樹林地帯であり土砂や水害からの防御的活用、と
考えられていた。これらは、昔から言い伝えられ地域の住民の共有意識で
あったのだ。
それが、経済の原理が働き、その土地を、神との共有ではなく、単なる資産、
スペースと考える様になった。
この考え方は、今の我々には、当然の事と受け取られている。
日本全体がそうなのである。
私達の周辺も、その様な新規開発の場所にあるのだから、
当然、考えなくてはならないのだが、、、、、、?
自然との共生と調和のキチンと意識を持つべき時期が来ているのかもしれない。

その様な背景もあるのだろうと勝手に推測するが、日本ユネスコ協会連盟が新しい
プロジェクトを始動した。その名も「未来遺産運動」。

http://www.unesco.or.jp/mirai/
「100年後の子どもたちの為にできることって何だろう?」
その答えのひとつとして、ユネスコが新たに手がける「未来遺産運動」は、
地域文化や自然遺産を未来へ伝えていこうとする活動を「プロジェクト未来遺産」
として登録、それを推進する地域を支援できるような仕組みを作るもの。
プロジェクト未来遺産は公募で選び、応募条件は「原則として2年以上の活動実績
があること」「非営利団体であること」「地域の人々が主体となって運営して
いること」の3つだという。
さて、ユネスコというと、世界遺産をイメージする人も多いはず。世界遺産との
違いは、世界遺産がものを指定するのに対し、未来遺産運動ではそれを守る人々
を応援しようという点にあるということだ。
ちなみに、2009年から2011年 プロジェクト未来遺産の重点テーマは、
「危機にある遺産」と「生物多様性」。プロジェクト未来遺産に登録されると、
総額500万円の助成金が想定され、専門家の派遣などの支援が得られるという。
となれば地域が元気になり、日本全体ももっと元気になるというもの。
ぜひとも奮って応募してほしい。
この未来遺産運動は、ほかにも子どもたちがふるさとの伝統と文化の素晴らしさ
を学び、紹介する「私のまちのたからものコンテスト」、社会全体でこうした活動
を支えていくための「未来遺産募金」も行うという。
ありそうでなかった運動。明るい未来を作ろうという、人々の意欲を活性化する
いいカンフル剤となるだろう。

滋賀では、残念ながらまだ1件が登録されたのみである。比良山系の自然と古墳
や城郭跡のような文化資産の多く残る滋賀では、まだまだ充分とはいえない。
地域の人々が自分の住んでいる場所、生まれ育った地域を再認識する事で、行政に
頼らない新しい「結い」の世界を創って欲しいものである。
滋賀で選定されたのは、湖国の原風景権座(ごんざ)水郷を守り育てる活動
(日本の里百選)である。
団体名:権座・水郷を守り育てる会
場所:滋賀県近江八幡市
琵琶湖の内湖である西の湖・長命寺川辺周辺は、日本で唯一とされる「権座」と呼ばれ
る内湖にある湖中水田の風景などが、文化財保護法に基づく「重要文化的景観」に選定
された。またラムサール条約湿地として西の湖・長命寺川が琵琶湖の拡大として登録さ
れ、「日本の里百選」にも選ばれた。当会では水郷景観の保全活用を推進すると
ともに、純米吟醸酒「權座」の生産・販売、魚のゆりかご水田の設置、魚道設置、
親子陶芸教室や田植え・稲刈り体験、収穫感謝祭や権座・水郷コンサートの開催など、
持続可能な地域農業経営と景観保全活動を展開している。
私も2回ほど地域支援の関係で権座を訪ねたが、地域全体の活動として根付いている事
を感じた。しかし、限られた人数で、色々な催しをしたり、保全作業をすることは
かなり厳しいようである。昔は、内湖にも同様の水田があったそうであるが、埋め立て
などで旧来の姿は、失われて来ている。是非、このままの姿を継承していってもらいた
い。

自分なりに気になったそのほかの選定地域は、
① 英田(あいだ)上山棚田再生プロジェクト~未来へつなぐ棚田8300枚~
団体名:NPO法人英田上山棚田団
場所:岡山県美作市
岡山県美作市の上山には慶応年間から築かれた面積100ha、8,300枚の棚田がある。
過疎高齢化により荒廃していたこの棚田の再生を2007年から始めた。地元住民と都市
住民による草刈りと村に伝わる野焼きの復活により、2013年までに14haの
棚田を再生した。これからは棚田の再生を通して継承する地域に息づく文化や伝統
に加え、再生可能エネルギーによる電力の自給自足と地域医療の拡充により地域
の独立を目指している。独立国として限界集落から新しい社会を創造し、各地の
中山間地域や台湾やミャンマーなど海外の棚田地域との連携も深めている。
他の地域にある棚田でも、同様の活動があり、このプロジェクト未来資産でも
他にも数件の選定がある。私も近くの棚田に行くことがあるが、やはりここは、
日本の原風景である。
先代の人々が食糧確保のためにその不断の努力で開拓した資産は、我々が継続、
継承していくべきものである。
② 久保川イーハトーブ世界自然再生事業
団体名:久保川イーハトーブ自然再生協議会
場所:岩手県一関市
「日本の里100選」に選ばれ、日本の生物多様性の保全上、重要性の高い久保川流域
(=久保川イーハトーブ世界)の豊かな生物多様性と里地里山を後世に引きついで
いく。
③神楽坂をますます粋に~「粋益(いきまし)」プロジェクト
団体名:神楽坂まちづくりの会
場所:東京都新宿区
『粋』の伝統を生かした神楽坂のよりよいまちづくりのために、路地空間の保全とま
ちで行われる様々な活動を一体的に進めていく。地域の資産の基本は人であろう。
その意味で、このような伝統文化を活かし、活かせる地域文化を継承する事は
素晴らしい。
④いきもの不思議の国・中池見(なかいけみ)湿地
団体名:NPO法人 ウエットランド中池見
場所:福井県敦賀市
10万年前の泥炭層の上に環境史と文化史の情報を豊かに兼ね備えた中池見湿地
(25ha)の環境を保全し、自然再生を図る。
⑤ ニッポンバラタナゴを守る伝統的な溜池浄化法″ドビ流し″の継承
団体名:NPO法人ニッポンバラタナゴ高安研究会
場所:大阪府八尾市
希少淡水魚ニッポンバラタナゴを守る為に、その産卵床となる淡水二枚貝のドブガイが
自然繁殖できる水環境を再生するための伝統的な農業管理方法″ドビ流し″の継承と地
域の生物多様性を保全する。
⑥千年の時を刻む荘園村落遺跡「田染荘(たしぶのしょう)小崎」
団体名:荘園の里推進委員会
場所:大分県豊後高田市
生きた「荘園村落遺跡」として高い評価を得ている「田染荘」。これからも、このすば
らしい文化を豊かな自然とともに後世に引き継いでいく。
⑦水戸の歴史資産“偕楽園と弘道館”の魅力を子どもたちに伝える活動
団体名:偕楽園公園を愛する市民の会
場所:茨城県水戸市
水戸市民の誇りである偕楽園、弘道館は歴史と自然の宝庫です。このプロジェクトでは
8団体が協働で偕楽園、弘道館のさらなる活用と発展を考え、偕楽園公園の歴史と自然
を学び、風致と梅を守り後代に伝えると共に、新しい魅力を創出することを目的としな
がら活動している。全国から絶滅しつつある梅を集め、品種を日本一にする
「平成梅林整備事業」、「弘道館・親と子の論語塾」、『偕楽園なんでも百科』の発行

偕楽園・弘道館復興支援募金事業などを開催しながら、今後も次代を担う子どもたちに
偕楽園の魅力を伝える活動を進めていく。
⑧越前にコウノトリ呼び戻す田んぼファンクラブ
団体名:水辺と生き物を守る農家と市民の会
場所:福井県越前市
福井県越前市西部地域は、絶滅危惧種であるアベサンショウウオをはじめ、メダカや
ゲンゴロウ、ハッチョウトンボなどの多くの希少野生生物が生息する地域。
コウノトリが飼育されているしらやま地区で、環境を守りながら暮らしていくことの
大切さを学んでもらうことを目的とし、無農薬無化学肥料の農法に取り組みコメ作り
を行なう活動をしている。近年ではコメ作り以外に、地元伝承料理など里地里山の
恵みを味わう体験も積極的にプログラムに取り入れてながら、やがてコウノトリが
戻り、共に暮らせる豊かな里山を目指していく。
⑨ドブ川化した川を市民力を結集して蛍が乱舞する清流に再生・復活
団体名:特定非営利活動法人グラウンドワーク三島
場所:静岡県三島市
水の都・三島」の清流を代表する源兵衛川は、昭和30年代半ば頃、都市化・工業化
の進展や生活環境の変化に伴うゴミの投棄や生活雑排水の流入等により環境悪化
が進行した。そこで多くの市民が立ち上がり、源兵衛川の水辺再生活動に努力した
結果、ゲンジボタルやカワセミ、絶滅危惧種のミシマバイカモやホトケドジョウ
が生息する、地域固有の生態系をもつ水辺自然空間が再生・復活した。
現在、「源兵衛川エコレンジャー」の若者・市民の育成や、小学校での環境出前
講座の開校等、生物多様性を維持する次世代の体制づくりを進めている。

他にも、このプロジェクトには登録されていない様々な活動があるはずであり、
自身も足元の自然を更に活用していけるよう頑張りたい。

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