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2015年3月27日

2015.03.27

時代の節目を思う

最近自身の60年あまりの時代振り返りをしている。原点回帰かもしれない。
読売新聞に「昭和時代」と言うのが、毎週土曜日に載っているが、
単行本としてもあるようだ。時代のポイント、節目をマクロ的に見るには、
かなり参考になる。先週の記事には山崎正和氏の「柔らかい個人主義の
誕生」の本のはなしが出ていたが、30年ほど前によく読んだ記憶が蘇った。
「企業のために働く事で個人にはどんな幸せがあるのだろう」。
今はこの疑問が当時よりもはるかに大きな比重となって各人に覆いかぶさって
いるように思える。もっとも、私自身は「自分の仕事を徹底的にしていけば、
自ずと自分も家族も幸せになる」と極めて単純な想いで日々を過ごしていたが
世界は夫々の節目を見せながら進んできたことも事実の様である。

最近出た本に「1979年」がある。
本書は、アメリカのジャーナリスト、クリスチャン・カリル氏の著作であり、
「1979年」をめぐる物語である。この年、遠く離れた場所で無関係に生じた
ようにみえる様々な出来事が、実は21世紀の現代に大きな影響を与えている
こと、現在の世界情勢や世界が抱える問題は1979年に端を発していることを
ジャーナリストならではの視点で生き生きと描き出している。
1979年を振り返ってみると、1月には米中の国交が樹立、2月にはホメイニー
が亡命先のフランスからイランに帰国、4月にイスラム共和国の樹立が宣言された。
現在の混迷として、イスラム教はその後の世界に大きな影響を及ぼしている。
5月には、イギリスでサッチャーが首相に就任、新自由主義的経済政策を推進した。
6月にはヨハネ・パウロ二世が祖国ポーランドを訪問。この訪問は東欧の人々に大きな
影響を与え、非暴力の抵抗運動はやがて共産主義体制の崩壊へつながるが、その
反動に揺れる昨今のウクライナ含めた中欧の動きがある。12月にはアフガニスタン
でソ連の軍事介入によるクーデターが勃発、アフガン紛争の始まりである。
中国ではこの年、鄧小平が経済改革に着手し、7月には経済特区が設置され、
今の中国躍進の起点となった。
つまり1979年は、社会主義の終焉、市場経済の台頭、宗教の政治化が始まった年
だった。またこの年にはエズラ・ヴォーゲルの「ジャパン・アズ・ナンバーワン
アメリカへの教訓」が刊行された。日本企業の目覚ましい成功の分析を通して、
アメリカの読者に教訓を与えたいと考えていた、と著者自身が言っている。
ただ、日本には誤ったシグナルを与えたような気もするが。

現時点からこの本のように過去のポイントを読み解くのも重要な事かもしれない。
そして、今手元にある10年程度の間をおきながら発刊された以下の3冊の本を
読むとその時代の背景も垣間見え、中々面白い。

1970年代の日本は、高度経済成長が一段落し、オイルショックにより高度成長は
終焉を迎え低成長時代に移行するが、渋谷パルコの開店があり、日本における若者
文化の歴史が大きく変化し、「新宿から渋谷、または渋谷区全体へ」と移り
変わっていく。個人的にも、渋谷で休みには良くウロウロとしていた時代でもある。
さらに、1980年代は市場に金があまり、バブルの時代となった。

1)「大国の興亡」から思う。
「大国の興亡」は1987年に刊行された歴史家ポール・ケネディの著作である。
本書の主題は、1500年から1980年代までの大国の政治的・経済的台頭、およびその
衰退の理由を探求することにある。1980年代、双子の赤字を抱え、西欧や日本との
経済摩擦に苦しみ、国際政治における支配的地位が揺らぎだしていたアメリカ合衆国
についても詳細に論じている。
大国の強さが他国との比較によってのみ的確に図ることができると論じて、ケネディは
大国の台頭が利用可能な資源および経済的耐久性に強く相関していること、そして軍
事的な過剰拡大とそれに付随する経済的衰退が、手持ちの資源以上に安全保障上の必要
性や野心を抱く大国が直面する一貫した脅威であるという命題を提示した。
この本のテーマは、国際関係(特に外交と軍事)について著者の理論に基づいて歴史的
な戦争と時代時代の覇権国家(あるいは大国)について分析を行うということ
にあった。
何かこれからの日本自身と日本と中国の関係を暗示するような点もある。

2)「文明の衝突」から思う。
サミュエル・P・ハンチントンが1996年に出した。
ハンチントンは、トインビーを参照しながら文明を以下のように分けた。
① 西洋文明(アメリカ+西洋+オーストラリア)
② イスラム文明(中東+北アフリカ)
③ 中国文明
④ 日本文明
⑤ インド文明⑥ ラテンアメリカ文明(西洋文明と近い)
⑦ アフリカ文明
そして、冷戦後世界にとって脅威となるのは、人口を急激に増加させながら、過激なイ
スラーム原理主義を信奉するイスラーム文明と、経済成長著しい中国文明であり、アメ
リカはこの二つの文明に対抗するために、分裂傾向のアメリカとヨーロッパ関係を一層
強化し、日本文明などと結ぶ必要があると考えた。そして、今後の戦争は文明の
断層(フォルトライン)で起きるだろうとし、たとえ文明間の小競り合いであっても中
級国、大国が文明の観点から参戦することを余儀なくされ、最悪、第三次世界大戦のよ
うなこともあり得るとしている。
イスラム国を実例として、イスラム文明との小競り合いが更に大きくなるのか、中国と
日本の関係など興味深い課題提起がある。

3)「フラットな世界」から思う。
1990年代後半からのインターネットの進化を踏まえて、トーマス・フリードマン
が2005年に発刊している。そしてこの世界は更に深化している。

グローバリゼーションが広まり、世界がフラット化しつつある要素には、次の
10項目があると言っている。
①ベルリンの壁の崩壊とウィンドウズ
1990年のウィンドウズ3・0でアップル・IBM・ウィンドウ
ズ革命がおこった。「これで文字・音楽・数字データ・地図・写真・音声・映像が
すべてデジタル表示できるようになった。そのうち誰もがたいした費用をかけずに
デジタル・コンテンツを作り出すことになる。
②インターネットの普及と接続の自由
世界は本気でフラット化に向かった。
③ワークフロー・ソフトウェアと共同作業の実現
ここに「標準化」(スタンダード)という共有を求める価値観が生まれた。
④アップローディングとコミュニティ現出
アップローディングのしくみは、コミュニティを創りだし、「リナックス」
「ブログ」「ウィキペディア」「ポッドキャスティング」「ユーチューブ」
などが輩出した。
⑤アウトソーシングによる技術転移
フラット化された世界の技術はアウトソーシングの先に新たな技術と市場を
つくっていく。
⑥オフショアリングがおこった
⑦サプライチェーンが一変する
フラットな世界ではサプライチェーンが競争力と利益の根幹になっていくことを劇的に
示した企業が出てきた。
⑧インソーシングで世界が同期化する
⑨グーグルによるインフォーミング
グーグルが世界の知識を平等化した。
そこにはグーゴル(10の100乗)な数の人間がかかわれるようになった。
グーグルは、アップローディング、アウトソーシング、インソーシング、
サプライチェーン、オフショアリングのすべての個人化を可能にした。
これによって、「自分で自分に情報を教える」というインフォーミング
が可能になった。これにより、世界はますますフラット化する。
⑩情報のステロイドホルモン化
「デジタル」と「ワイヤレス」と「モバイル」と「ヴァーチャル」と
「パーソナル」が掛け算されると、強力な情報のステロイドホルモン化がおこる。

更に、これらの要素を最適な形で有効に活用するには、以下の3つの集束
が必要となる。
1)グローバルなプラットホームが形成され、共同作業が可能となる。
これらを上手くこなす仕組み、
フラットな世界への接続可能なインフラ、
プラットホームを活用できる教育体制、
プラットホームの利点欠点を活かせる統治体制、
を構築できた国が先進的な活動と富、権力を得ることが出来る。
2)水平化を推進する力
水平な共同作業や価値創出のプロセスに慣れている多様な人材が必要である。
3)新たなるメンバーの参加
中国やロシアなど政治、経済などの壁により、参加できなかった30億人
以上のメンバーの参加が可能となった。

面白いのは、これらが実行されることにより、世界レベルでの変革となるが、
その基本は、「共産党宣言」に指摘されてぃることである。
「昔ながらの古めかしい固定観念や意見を拠り所にしている一定不変の凍り
ついた関係は一掃され、新たに形作られる物もすべて固まる前に時代遅れになる。
固体は溶けて消滅し、神聖は汚され、人間はついに、人生や他者との関係の実相
を、理性的な五感で受け止めざるを得なくなる。、、、、、そうした産業を駆逐
した新しい産業の導入が、全ての文明国の死活を左右する。、、、、、、、
どの国もブルジョアの生産方式に合わさざるを得ない。一言で言うなら、
ブルジョアは、世界を自分の姿そのままに作り変える。」

特に、注意すべきは、教育と競争への考慮が必要と言っている。
①世間が「学ぶ方法を学ぶという能力」について、もっと注目しなければならない。
②ナビゲーションのスキルを教える方法について、もっと深く考える必要がある。
③フラット化する世界では、IQではなくて好奇心(CQ)と熱意(PQ)が
要求される。
④バリューチェーンとサプライチェーンにおける有能な合成役(シンセサイザー)が登
場すべきである。
⑤これらを総じて、離れた点と離れた面を結びつける能力を教える学校が必要である。

フリードマンの指摘は更に深化して社会、政治、経済まで大きく変わりつつある。
その深化する速度も年々加速化しているようにも思える。

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