« 2015年8月28日 | トップページ | 2015年9月11日 »

2015年9月4日

2015.09.04

「未来のつくり方」から思う(次の社会のキーフレーズ)その三

6)企業のあり方
前項の社会基盤への影響は、その存在の1つである企業のあり方も
変えつつあると言う。
2010年ぐらいからベネフィトコーポレーションと言う考えが明確
になってきた。従来の企業と大きく違うのは、株主の利益最大を目的とした
組織、法人ではなく、ステイクホルダー、企業活動にかかわる全ての関係者、
顧客、社員、取引先、地域、行政、への貢献の拡大である。
これからはベネフィトコーポレーションの基本スタンスで、従来の企業と
ノンプロフィトコーポレーション(NPC)の良さを持った組織が重要となる。
逆な面で言えば、日本の従来からNPO法人といわれる組織もこのベネフィット
コーポレーションに近づく必要がある。
ベネフィットコーポレーションとなるためには、会社は明白な社会的/環境的
使命と、株主だけではなく社員やコミュニティー、そして環境の利害を考慮する
ための法的拘束力のある受託者としての責任を有する必要がある。会社はまた、
持続可能性および労働者の好待遇についての〈B Lab〉の誓約を採用するために、
定款の改正をする必要がある。
この組織が何を認証するかというと、「当該企業が、社会問題や環境問題の解決に
貢献するという存在である」ということ。この認証を受けられれば、CSRというが、
企業の存在意義そのものが肯定される。すごい法制度である。
日本ではアウトドア用品メーカーのパタゴニアが有名。
この考えを理解するには、ヴェブレンのいう「習慣の重要性」と「製作者本能」
の概念に注目する必要がある。
人間は、生来より外部環境に働きかけて必要なものを作り生存して来た。
その「つくる」と言う本能が製作者本能と言っている。
その技術の知識や智慧が製作者の集まった共同体に蓄積されてきた。しかし、
産業革命により自らの製作をせずとも商品の購入と言う行為で生存する事が出来る。
これにより消費社会と言うものが現出して来た。すなわち、思考習慣(制度)
は環境の変化と技術による変化によって変化していく。
また、創るという行為を環境や技術の変化から見てみると、3Dプリンター
として、広く社会基盤に浸透しつつある事を認識しておくべきである。
今はビジネス的な実利面が中心に、この進化が進んでいるように見えるが、
より深く社会に直結した社会基盤として進むと思われる。
企業が{つくる」と言う従来からの考え方も大きく変わってくる。
将来の姿はどうなるのか
3Dプリンターに関する講演の記事の抜粋から、少し考えてみる。
「3Dプリンターによってアイデアの“触れる化”が実現 田中氏は、企業による
大量生産⇒個人による適量生産、消費の楽しさ⇒創ることの楽しさの発見、
特定企業による排他的なプロジェクト⇒異なるバックグラウンドを持った全員
参加型のプロジェクトといった、社会や心の変化を若者が集う大学で
感じられるという。
3Dプリンターで何ができるのだろうか。その方向性として2つの説を紹介している。
1つ目は、製造業に新しい産業革命が起こるという説(メイカームーブメント)。
大規模な生産設備や作業人員は不要になり、1人で製造業に参加できるようになる。
2つ目は新しい情報文化が始まるという説(FabLab:ファブラボ)。情報の中にモノの
データが流通するネットワーク端末のひとつとして捉えることで社会構造が変化する。
例えばFabLabは、世界60カ国250箇所でネットワーク化された地域の市民実験工房と
して利用されている。そこでは、3Dプリンター以外にも大小のミリングマシンや
レーザーカッター、デジタル刺繍ミシン、3Dスキャナーなど、さまざまなデジタル
工作機械が設置され、小学生から大学の研究者まで多様な人々が出会い、新たに
生まれたニーズの可能性を形にしている」という。
ファブラボについての紹介がある。
https://www.youtube.com/watch?v=YTwt7ji3EgY

7)今また分散化と旧きよき共同社会へ向けて
分散化された社会への回帰
ネットワーク化の進化発展が分散化を推し進める。
これにより、文化や社会構造までが新しい普遍的な組織編制の可能性を高める。
分解、再構成が既存の組織や社会の仕組みに適用される事により、更に進歩主義的
(プログレッシブ)な社会改革がソーシャル化以後、個体の大群化されたより
複雑なつながりを持ってそれぞれの持つ機能や組織を活かすために創れていく。
そのためには、組織原理に精通し、技術的な思考の高い人々がその推進を
担っていく必要がある。

これらの動きから、思うのが、宇沢弘文氏の「社会的共通資本」の考え方である。
社会的共通資本は、一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、
ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある
社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置を
意味する。社会的共通資本は、一人一人の人間的尊厳を守り、魂の自立
を支え、市民の基本的権利を最大限に維持するために、不可欠な役割
を果たすものである。
しかも、社会的共通資本は、たとえ私有ないしは私的管理が認められて
いるような希少資源から構成されていたとしても、社会全体にとって
共通の財産として、社会的な基準にしたがって管理・運営される。
(政府が一元的に管理的を行うものではないと言っている。)
社会的共通資本はこのように、純粋な意味における私的な資本ない
しは希少資源と対置されるが、その具体的な構成は先験的あるいは
論理的基準にしたがって決められるものではなく、あくまでも、
それぞれの国ないし地域の自然的、歴史的、文化的、社会的、
経済的、技術的諸要因に依存して、政治的なプロセスを経て
決められるものである。
このため、彼の考えは農業、都市のあり方、教育、医療分野、
金融分野まで幅広いテーマを含んでいる。
社会的共通資本はいいかえれば、分権的市場経済制度が円滑に機
能し、実質的所得分配が安定的となるような制度的諸条件であると
いってもよい。それは、ソースティン・ヴェブレソが唱えた制度主義
の考え方を具体的な形に表現したものである。
したがって、社会的共通資本は決して国家の統治機構の一部として
官僚的に管理されたり、また利潤追求の対象として市場的な条件に
よって左右されてはならない。
社会的共通資本の各部門は、職業的専門家によって、専門的知見に
もとづき、職業的規範にしたがって管理・維持されなければならない、
と言っている。
社会的共通資本は自然環境、社会的インフラストラクチャー、制
度資本の三つの大きな範疇にわけて考えることができる。自然環境
は、大気、水、森林、河川、湖沼、海洋、沿岸湿地帯、土壌などで
ある。社会的インフラストラクチャーは、道路、交通機関、上下水
道、電力・ガスなど、ふつう社会資本と呼ばれているものである。
なお、社会資本というとき、その土木工学的側面が強調されすぎる
ので、ここではあえて、社会的インフラストラクチャーということ
にしたい。制度資本は、教育、医療、金融、司法、行政などの制度
をひろい意味での資本と考えようとするものである。

大共同社会
ジョン・デューイは、産業革命により出現した大社会の状況を反省し、それ以前の
共同社会を新たなる視点で構築する事を考えた。しかし、その基本はラジオなどの
メディアを基盤とする社会構築への試みであったが、ラジオを含め社会基盤
となるには充分な力を持っていなかった。だが、是を現在のインターネットが
基盤となった社会に適用すれば、その理念は生きてくる。
この点を広く検証したのが、トーマス・フリードマンの「フラット化する世界」
であろう。彼は、グローバリゼーションが広まり、世界がフラット化しつつある
要素には、10項目があると言っている。
更に、これらの要素を最適な形で有効に活用するには、以下の3つの集束
が必要となる。
1)グローバルなプラットホームが形成され、共同作業が可能となる。
これらを上手くこなす仕組み、
フラットな世界への接続可能なインフラ、
プラットホームを活用できる教育体制、
プラットホームの利点欠点を活かせる統治体制、
を構築できた国が先進的な活動と富、権力を得ることが
出来る。
2)水平化を推進する力
水平な共同作業や価値創出のプロセスに慣れている多様な人材が必要である。
3)新たなるメンバーの参加
中国やロシアなど政治、経済などの壁により、参加できなかった30億人
以上のメンバーの参加が可能となった。

面白いのは、これらが実行されることにより、世界レベルでの変革となるが、
その基本は、「共産党宣言」に指摘されてぃることである。
「昔ながらの古めかしい固定観念や意見を拠り所にしている一定不変の凍り
ついた関係は一掃され、新たに形作られる物もすべて固まる前に時代遅れになる。
固体は溶けて消滅し、神聖は汚され、人間はついに、人生や他者との関係の実相
を、理性的な五感で受け止めざるを得なくなる。、、、、、そうした産業を駆逐
した新しい産業の導入が、全ての文明国の死活を左右する。、、、、、、、
どの国もブルジョアの生産方式に合わさざるを得ない。一言で言うなら、
ブルジョアは、世界を自分の姿そのままに作り変える。」

フラット化要件での集束が推進されるには、
すべてが「指揮・統制」(コマンド&コントロール)から「接続・共同」
(コネクト&コラボレート)に切り替わることが重要となる。
このため、個人のアイディンティの整理なほど、個人の持つ力が
重要となる。
旧来のようなラインでの単調な仕事をこなしたり、トップダウンからの
指示を的確に実行するだけの旧来型のミドルクラスは、機械や低賃金の
労働者などに取って代わられ、以下の様な新しいミドルクラスが必要となる。
①共同作業のまとめ役
②様々な技術の合成役
③複雑なものを分かりやすくする説明役
など とのこと。

いずれにしろ、この本で言うムーアの法則に準じて発達、拡大する技術進歩と
それによる社会の変革はどこまで進むのであろうか、楽しい様で怖い意識も
湧き上がって来る。

« 2015年8月28日 | トップページ | 2015年9月11日 »

最近のトラックバック

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ