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2015年9月11日

2015.09.11

3Dプリンターが世界を変える

3Dプリンタは、樹脂等を用い、断面形状を積層していくことで立体物を造形する
機器で、それを含む3Dプリンティングは下記特長を備えていると言われている。 
 ①無限に複雑なものが作れる
 ②無限のバラエティ
 ③組み立てがいらない
 ④リードタイムが0
 ⑤デザインの幅が無限
 ⑥技能がなくても製造できる
 ⑦コンパクトでポータブルな製造設備
 ⑧ゴミになる副産物が少ない
 ⑨素材を無限に混ぜられる
 ⑩物理的な複製が正確
そして、それらを実現化していく1つとして、製造業で進化拡大しているのが、
デジタルマニュファクチャリングである。
デジタルマニュファクチャリングとは「モノづくりのあいまいさ,すなわち
暗黙知を形式知化し,更にデジタル値に変換して、ITを最大限に活用するモノ
づくり変革」である。開発や生産に費やす時間(リードタイム:LT)の短縮、
コスト削減,品質向上を妨げる無駄やロスを最小にして,モノづくりのスピード向上、
グローバル展開を実現することが目的である。
デジタルマニュファクチャリングは,モノづくりにおいて単にITを活用すること
ではない。モノづくりの現象や挙動、製造工程、人の動作などを最小の単位まで
分解して形式知に置き換えること、更にデジタル値化し、ITシステムに組み込む
ことが特徴となる。
デジタルマニュファクチャリングを実現するためのアプローチとして、デジタル値
の再現性や信頼性の高さ、加工や再利用の容易さ、時間や距離を短縮できる、など
の利点を考慮したデジタルマニュファクチャリングには、以下の5つの形態がある。
①技術・技能の数値化
この形態はデジタルマニュファクチャリングを進めるうえでの基本となる。
開発や生産における技術や技能、運用ルールなど、あいまいなノウハウを形式化し、
プロセス条件や現象をデジタル化するアプローチである。
②データの情報への変換とその活用
データは単なる数値の集合体であり、意思決定や判断に活用できる情報に変換する
ことが重要となる。例えば、製造現場における生産の進捗や品質のデータをリアル
タイムで抽出し、品質や生産性を改善するための指標など、有意性のある情報に
加工してそれを活用することが必要である。
③仮想設計・製造
製品の性能・構造、生産プロセス・装置の現象や製造ラインでのモノの流れを
コンピュータ上でシミュレーションし、むだな試作や開発の後戻りを最小化する
アプローチである。
④データの一貫・一括活用
製品の情報やデータを,開発や生産の上流から下流まで一貫して活用し、更に複数
の部門で同時期に一括して活用するアプローチである。例えば、製品の設計情報を
試作、製造、量産立上げまで活用したり、営業が得た情報を調達、製造、販売まで
活用するなどが挙げられる。
⑤グローバル遠隔管理
インターネットやイントラネットなどのネットワークを活用し、時間や距離を
超えて、遠隔地から生産状況や品質の監視と制御、生産装置の診断や保守を行う
アプローチである。
これら5つの形態をもとに様々な製品、事業、開発、生産の状況に適合した
デジタルマニュファクチャリングの姿を描くことができる。
モノづくりの活動は、商品企画から製品の設計、ライン設計、立上げと続く開発の流れ
と受注から調達、製造、物流、販売までの生産の流れの二つに分けてとらえることが
できる。
開発での課題は、製品の高度化に伴う試作回数の増加や開発の後戻りの発生である。
一方、生産での課題は、生産拠点が分散して一か所では現場管理できない、従来の
見込み生産では市場の変化に対応できないことなどである。両者で共通した課題は、
人手を介した直列的な情報の受け渡しでLTが長くなることが挙げられる。
これらの課題を解決するためのツール開発やシステム構築がデジタルマニュファク
チャリングの具体的な取組みとなる。
この取り組みが上記の10項目の特長を実現していく。

最近の動きとしては、ファッションや食品など、これまでとは違った異業種が注目
されている。BtoIへの流れを感じたきっかけというのはファッション業界との
取り組みが大きい。自分たちで流行を作って、在庫見込を計算して9号や10号
など規定サイズで生産するわけだが、必ず見こみ違いの在庫不良が出るので、
それをセールで売りつくすことになるというのが昔からの課題。この当たり前と
されてきたサイクルを当たり前ではないのではないかと気付きはじめている人たち
がいて、それを解決するのはやっぱりBtoIという考え方ではないかと考えている。
つまり、規定のサイズを作り置きするのではなく、需要に応じて作れるシステムと
プロセスというのを完成すればいいじゃないかと考えている。型紙の代わりに
人体データがあれば、1本の糸から紡いでワンピースとかカットソーを作るぐらい
の技術力を持った企業もあるし、実現は可能である。
これからは、消費者という一括りにした対象ではなく、BtoI、個人(Indevidual)
としてより細分化したニーズや個性に応えてゆく必要があるし、それができる
ものづくりに移っていくと考えられている。
そういったシーンでは、3Dスキャナや3Dプリンターが使える。
3Dプリンターによりフルーツや野菜が本物そっくりの立体造形物として完成
するという情報番組がときどき放送されているが、この最新フォト技術を人体に
応用して本物そっくりのフィギアをつくる、それをポートレート写真のような
位置づけで展開しようという試みでスタートした「3D写真館」が注目をされている。
「新しい創造」=「新しいプロセスから」というのがチームのコンセプトで、
クリエィティブのプロセスにおいてユニークな提案をしている未来的発想の
クリエーター集団である。彼らはこれまでの平面的な写真という記録ではなく
立体としての記録、そのような考え方の新スタイルフォトを実現した。

更にこの10項目をより生活レベルまで3Dプリンティングを浸透させていく
キーワードが幾つかある。
①マルチマテリアル、デジタルマテリアル
物性のまったく異なるこの二つの樹脂が同時に造形できるのが、マルチマテリアル
であり、更には、二つの樹脂は同時に造形するだけでなく、混ぜて造形することも
出来る。それがデジタルマテリアルであり、2種類の樹脂の組み合わせにより、樹脂
の物性を段階的に調節する事が出来る。
デジタルマテリアルの考え方は、古くから特に日本の木造建築では、金属の金物を
使わず継ぎ手と仕口と呼ばれている接合部分だけを組み合わせて住宅をつくるという
手法がある。ばらしてほどいて組み立て直すことができるという意味でデジタル的な
性質を持った建築のつくり方となる。

②レプリケーター
レプリケーター (replicators)は、無から有を創り出すものでは決してない。 これは
究極の3Dプリンターのようなもので、材料となる分子の原料から必要物資を組み立て
る。日常的な利用目的は食べ物であり、食物用レプリケーターが実現されつつある。
このため、食材の貯蔵問題や残飯処理などを回避できることは、公衆衛生上極めて
意義深い。レプリケーターが「食材」として利用する原料(原末)は、場合によっては
排泄物も原材料として再利用することも可能である。
レプリケーターの原理は、転送装置とほぼ同じである。原型となる対象物はスキャンさ
れて、情報としてコンピューターに蓄積されている。原子・分子状態の原材料を利用す
るので、分子配列情報だけを保存すればよいのだが、それでもなお膨大なメモリーを必
要とするため、メモリーの節約するために分子情報は特殊なアルゴリズムで圧縮される
ので、出来上がりの細部は本物と僅かに異なる。
単純な分子はその場で合成されるが、食物に使う有機物(蛋白質など)は構造が複雑で
あるので、エネルギーとメモリー節約のため、高分子の”半完成品”を材料として保存
利用が考えられている。
食べ物以外にもレプリケーターは大いに利用される。
この場合、制作費用は金属や樹脂類などの原材料とエネルギーにかかる費用だけであり
、もはや現代のような意味の下請けなどは不要であるし、またコストを押し上げる歩留
まりもほとんど存在しない。素材の分子構造にしても、理論的に考えて理想の新素材を
いくらでも試すことが可能である。これらが本格的になれば、現在のような物作りの
経済というのは根底から変わってくる。

③循環係の構築ということでリペア、リユース、リサイクル
人間が独自に最小構成素、最小単位というものを設定し、それの分解と組み立てで
ものが作れるようになったらより効率的なリサイクル、リユース、
リコンフィギュレーションが可能になってくる。最小構成単位のモジュールを
組み合わせて形を作っていくという概念もその一つ。

まだ少し時間がかかると思うが、「ものづくり」という人の活動の基本が大きく
変わる力を持っているのが、3Dプリンターであろう。

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