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2015年9月25日

2015.09.25

「2040年の新世界」より思う。3Dプリンタが拓く世界その二

広がり続ける市場、ミクロ/マクロ用3Dプリンタも登場して、更に本格的な
拡大が始まる。
3Dプリンタの隆盛は2005年ごろからであり、オープンソース3Dプリンタである
「RepRap」などの広がりによって始まった。従来は10万米ドル単位でしか手に
入れることができなかったが、2009年にはMakerBot社(2013年にStratasysが買収)
が個人向け3Dプリンタの販売を開始。低価格で簡単に試作品やモノづくりができる
として注目を浴びることとなった。「今や、3Dプリンタの世界売り上げは大きく
飛躍している」。また、近年では素材の多様化が進み、ミクロ・マクロ単位で
出力できる3Dプリンタの登場、バイオメトリクス分野への研究も進むなど、
業種を問わず活用できる素地が整いつつある。

例えば、ウィーン工科大学開発のナノ単位で出力できる3Dプリンタの出力、
バイオメトリクスの分野でも研究が進んでいる。
最近は、低価格でもかなりの性能を持つ3Dプリンタも多く現れている。
3Dプリンタの発展はようやく第1段階を終え、第2段階に入ろうとしている。
それは「3Dプリンタで“素材自体”を作る」という段階という。
「基礎素材を組み合わせて、新しい材料を3Dプリンタ自身が作るという段階が既に
始まっている。パソコンなどで設計できるかではなく、生物学の分野と同じよう
に素材構成を自由に組み替え、自然と同じものが作れるようになる。
さらには「動くモノや電気機器も全て3Dプリンタで作れるようになる」と言われ、
既に電気回路を含むスピーカーの製作可能となっている。また、Stratasysが
推進している、最終製品を直接3Dプリンタで製造する「DDM(Direct Digital
Manufacturing)」の広がりは先進的な製造会社でも実際に一部製品で始めている。

インターネットの拡大も、通信コストが下がった時に爆発的な革命が起きた様に、
3Dプリンタは複雑なものを作るコストが劇的に下がる仕組みであり、新しい
革命が起こる、と言っている。

この本でのポイントから色々な変化が感じられる。
・蒸気機関や電信に匹敵する革新的技術
・ほとんどなんでも作れるマシン(前回の10の特質を持つ)である
・ビジネスと雇用はこの機械によってどう変わるか?
大量生産の変化、雇用の変化
・3Dプリントの技術が高める経験経済の拡大
・生体インクでバイオプリンティングを行う
・食のデジタルフードプリンティングの実現性
・グリーンでクリーンなものづくりの出現
・学校教育での3Dプリンタの果たす役割
・武器製造、違法ドラッグの製造が可能となる

まずは、経験経済の拡大がある。
消費者は3Dプリンタで作ったすてきな商品に高い金を払いたがるものの、大半の消費
者は、自分でマシンを所有したり動かしたりしてそうした製品を作ろうとはしないだろ
う。そのため、経験経済では、採算性の高い成功を収める企業は、顧客に経験や変身を
もたらす製品や商品を売る企業となる。経験も、変身した感覚も、どうしても記憶
に残る。消費者はそういうものにふつうより高い金を払い、リピーターになる。
例えば、現在も拡大しているマーケットプレイスがある。ここでは、CADの知識が
ない人でも簡単にデータを作成することが出来るようになっている。
シェイプウェイズには1万以上のショップがあり、毎月約6万点の新しい3Dデータ
が投稿されている。マーケットプレイスとしては、基本的に二つのパターンに
分かれる。

一つはShapewaysのように多数の3DCADデザイナーたちを集めたサイトで、
様々なデザインやいろいろな種類の製品が並んでいる。もう一つは、特定分野
の商品に特化して販売しているサイトである。
特定分野に特化している場合、1人ないしは数人のデザイナーが職人レベルに
仕上げて商品を提供しているのが特長となる。
また、生活情報誌が個々の休日に合った料理のレシピを載せるように、メイカー
ボットのブログはプリントのデザインや情報を載せて、アメリカ国内の読者が
メモリアル・デーやクリスマス、独立記念日を祝ったり悼んだりできるよう
にしている。

さらに、3Dプリンタの利点はただ必要なものをプリントするだけでない。
製品を販売する際に、どのような形状が売れやすいかを調べるため様々な形の製品
をプリントして、顧客にどの形なら買ってみたいか訊いてみるなどといったことも
できるようになるし、一体型でプリントすることができる利点を活かして組立て
や輸送費用といったコストをカットすることも可能となる。
3Dプリンタ技術の進歩は人々の生活をより良いものにするだろう。

新たなる食のデジタルフードの拡大の時代でもある。
多くの人の考えとは裏腹に、加工食品は、現代人が健康に長生きし、余暇を楽しめる
大きな要因となっている。工業化された食品は、人間の幸福を大いに高めてきた。
これを活用していく必要がある。
デジタルグルメとして、既にそのコンセプトが出来ている。
「コルヌコピア」は、「デジタルショコラティエ」「デジタルファブリケーター」
「ロボティックシェフ」「ヴィルトゥオーソミキサー」という四つのプロトタイプ
からなるデザインコンセプトである。このプロトタイプはまだ実用になっていないが、
素材を物理的、化学的に変えて新しい化合物にするという新たなる調理方法を提供し、
将来的には作られたものを美しく、美味しい食感にまでする、と言う。

フードプリンタについては、実際に食品をプリントしようとすると、いくつもの課題
が挙げられるが、加工食品としての課題を解決する必要がある。そのためには、
食品データの信頼性の確保が重要となる。食事をプリントするために必要なデータは、
現状ではクッキーなどのような単純な物が多い。だが実際に不特定多数の一般家庭の
人が食べるものとなると、安全性は勿論だが、複雑な形状に加えて栄養も考えられた
ものでなくてはならない。家庭にフードプリンタが広まるまでの時間、食品デー
タを作ることの可能な人間の育成、様々な法的整備も必要となる。
しかし、これは新しい原材料の組み合わせを可能とし、フードプリンティングにより
栄養価が高く、安くて新鮮で美味しい新世代の加工食品をもたらす可能性を高める。

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