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2015年11月6日

2015.11.06

ドラッカー「ネクストソサエティ」から思う。

長期入院後、1500冊ほどの専門書、小説などを棄てた。
しかし、本棚の片隅にこの一冊が残っていた。これを買ったのは、12,3年前
であろうか。もともとドラッカーの本は観念的な記述が多く、個人的には
ポーターやコトラーのほうが馴染みやすかった、それらの本もすでにないが。
それもあり、一度目を通した程度でそのままだったのだろう。マークも目印も
何もなく綺麗なものだ。
だが、十数年経ち、日本がまだまだこの本の指摘レベルに達していない事を感じ、
あらためて読んでみた。

本書の冒頭に以下の記述がある。
日本では誰でもが経済の話をする。だが、日本にとって最大の問題は社会のほう
である。この40年あるいは50年に及ぶ経済の成功をもたらしたものは、
社会的な制度、政策、慣行だった。その典型が系列であり、終身雇用、輸出戦略、
官民協調だった。日本の社会的な制度、政策、慣行は、1990年ごろまで有効
に機能した。だが、もはや満足に機能しているものは1つもない。
再び新たな制度、政策、慣行が求められている。日本において求められているもの
は社会的な革新である。
その典型の1つが、いかにして雇用と所得を確保しつつ、同時に、転換期に不可欠の
労働力市場の流動性を確保するかという問題である。
さらには、製造業における雇用の安定に社会の基盤を置いてきた国として、富と
雇用の源泉としての製造業の地位の変化と言う世界的な流れに、いかに対処
するかと言う問題である。

今の製造業全体の劣化と言う事態が進む中、さらにその問題対応に過大なる
努力が求められるのではないだろうか。大きな流れを深く認識する事。即ち、
若年人口の減少と労働力人口の多様化であり、それにより製造業の変身と
企業とそのトップマネジメントの機能、構造、形態の変容が求められる。

これからやってくるネクスト・ソサエティにおいては、経済が社会を変える
のではなく、社会が経済を変えるからである。ドラッカーは急激に変化しつつある
のは、経済ではなく社会のほうであるという。そして、IT革命はその要因
の1つにすぎない。人口構造の変化、特に出生率の低下とそれにともなう若年人口
の減少が大きな要因という。若年人口の減少は、それまでの長い流れの逆転
であり、前例のないものだった。逆転は他にもある、富と雇用の生み手としての
製造業の地位の変化だった。
日本では、いまなお労働人口の4分の1が製造業で働いている。日本が競争力を
維持していくためには、2010年までにこれが8分の1ないし10分の1に
なっていなければならない。
世界2位の経済大国日本では、人口は2005年に1億2500万のピークに達する。
2051年には1億人を切る。そのかなり手前の2030年においてさえ、65歳超人
口が成人人口の半数を占めている。日本の出生率はドイツ並の1.3である。この老年
人口の増加は300年の趨勢の延長線上にある。これに対し、若年人口の減少こそまっ
たく新しい現象である。「今後50年間、日本は年間35万人の移民を必要とし、労働
人口の減少を防ぐためにはその倍を必要とする」。アメリカが優位にあるのは、若年人
口の数だけではない。移民に対する文化的な馴れがある。社会的、経済的に同化する方
法を身につけている。
日本にはいわゆる労働階級者の文化というものがない。日本は上方への社会移動の手段
としての教育にも敬意をはらってきた。しかし日本社会の安定は、雇用の安定、特に大
規模製造業における雇用の安定に依存するところが大きかった。いま、その雇用の安定
が急速に崩れつつある。日本は、製造業雇用が全就業者人口の4分の1という先進国で
は最高の水準にある。労働力市場といえるものも、労働の流動性もないに等しい。社会
心理的にも、日本は製造業の地位の変化を受け入れる心構えができていない。過剰雇用
の成熟産業に金を注ぎ込む政策は害をなすだけである。
いま驚くべきことがビジネスの世界で起こっている。第1に、働き手のうち唖然とする
ほど多くの者が、現に働いている組織の正社員ではなくなった。第2に、ますます多く
の企業が雇用と人事の業務をアウトソーシングし、正社員のマネジメントさえしなく
なった。この2つの流れが近い将来に変る気配はない。
むしろ加速していくものと思われる。

今日の日本は本質的に19世紀のヨーロッパの国である。だからいま、麻痺状態
にある。基本的に日本という国は官僚によって運営されている。政治家は大きな
存在ではなく、しかも疑惑の目で見られがちである。無能であったり腐敗して
いたとしても、それほど驚かれる存在ではない。しかし、官僚が無能であったり腐敗
していることが明らかになればショックである。日本はいまそのショック状態にある。
日本の産業すべてが効率的で競争力をもつとの説は、まったくの間違いである。
国際競争にさらされている部分は、先進国のなかでもっとも少ない。自動車と電子機器
の二つの産業が中心である。全体の8%にすぎない。したがって、日本にはグローバル
経済の経験がほとんどない。産業のほとんどが保護されたままであり、おそろしく
非効率である。

今の日本がこの状況に近いということは、15年以上遅れていると言う事なのだろう。
民主党時代、官僚主導をやめよと言う動きがあったが、今はどこへいったので
あろうか。多くの政治家が主体的に動いているとは思えない。職業としての政治屋
である。

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