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2015年11月13日

2015.11.13

ドラッカー「ネクスト・ソサエティ」に思う。その二

この本では、IT革命は、印刷革命が引き起こした社会革命やさらにその先の産業
革命の入口になったように、同じように大きな社会革命・産業革命の入口になる
可能性があると言っている。
「ネクスト・ソサエティ」とはまさに社会革命である。

ネクスト・ソサエティは知識社会である。知識が中核の資源となり、知識労働者が中核
の働き手となる。知識社会としてのネクスト・ソサエティには三つの特質がある。
第一に、知識は資金よりも容易に移動するがゆえに、いかなる境界もない社会となる。
第二に、万人に教育の機会が与えられるがゆえに、上方への移動が自由な社会となる。
第三に、万人が生産手段としての知識を手に入れ、しかも万人が勝てるわけではないが
ゆえに、成功と失敗の並存する社会となる。
これら三つの特質のゆえに、ネクスト・ソサエティは、組織にとっても1人ひとりの
人間にとっても、高度に競争的な社会となる。

先日、非正規労働者四割となっている日本の現状をリポートした映像を見た。
改正派遣法の及ぼす個々の労働者の想いを報告していたが、来るべきネクスト
・ソサエティの社会に不安を覚えた。だが、高度な競争社会になっていくのは、
必然の動きなのであろう。

パラダイムが変った。第1に、知識が主たる生産手段、すなわち資本となった。
知識は1人ひとりの知識労働者が所有する。第2に、今日でも働きての半分以上が
フルタイムで働き、そこから得るものを唯一または主たる生計の資としているものの、
ますます多くが正社員ではなくパートタイム社員、臨時社員、契約社員、顧問
として働くようになった。第3に企業活動に必要とされる知識が高度化し、専門化し、
内部で維持するには費用がかかりすぎるものとなった。しかも、知識は常時
使わなければ劣化する。それゆえ、時折の仕事を内部で行なっていたのでは
成果をあげられなくなつた。組織が生き残りかつ成功するためには、自らが
チェンジ・エージェント、すなわち変化する組織とならなければならない。
変化をマネジメントする最善の方法は、自ら変化をつくりだすことである。
ネクスト・ソサエティとは、ITだけが主役の社会ではない。
もちろん、ITだけによって形づくられる社会でもない。ITは重要である。
しかし、それはいくつかの重要な要因の1つにすぎない。ネクスト・ソサエティ
をネクスト・ソサエティたらしめるものは、これまでの歴史が常にそうで
あったように、新たな制度、新たな理念、新たなイデオロギー、そして
新たな課題である。

組織が変わると同時に、個人も変わる必要がある。高度成長時代を通じて、
多くの労働者は自立した個人よりも、組織の一員としての行動が要求され、
それによって、組織も個人もその対価を満遍なく受けて来た。
会社に寄りかかることが自分の生活を豊かにすることに直結していた。
しかし、それは許されない。が、まだ多くの人の意識はそのままである。
この本では、それを強く言っているのだが、日本では15年経ったが、
昔のままだ。

知識労働者には2つのもが不可欠である。その1つが、知識労働者としての
知識を身につけるための学校教育である。もう1つが、その知識労働者としての
知識を最新に保つための継続教育である。知識は急速に陳腐化する。
そのため定期的に教室に戻ることが不可欠となる。知識社会は、上方への移動に
制限がないという初めての社会である。知識は、相続も継承もできないところが
他の生産手段と異なる。あらゆるものを自力で獲得しなければならない。
これからの知識社会においては、極めて多くの人間、おそらく過半数の人間が、
金銭的な安定よりもはるかに重要なこと、すなわち自らの社会的な位置づけと
豊かさを実感することになる。
あらゆる知識労働者には、3つのことを聞かなければならない。第1が強みは何か、
どのような強みを発揮してくれるかである。第2に何を期待してよいか、
いつまでに結果を出してくれるかである。第3がそのためにどのような情報を
得るのか、どのような情報をだすのかである。
知識社会においては、企業は生計の資を得る場所ではあっても、生活と人生を築く
場所ではありえないからである。それは、人に対して物質的な成功と仕事上の
自己実現を与えるし、またそうでなければならない。しかし、そこだけでは、
テニエスが昔に言ったコミュニティなることはできない。「ゲマインシャフト
とゲゼルシャフト(コミュニティと社会)」の有機的な存在としての
コミュニティは、どこにもない。
これは「職場コミュニティの限界」でもあり、その唯一実現の可能性を持った
日本でさえも、崩れてしまっている。

前記にもある様に、日本は19世紀のヨーロッパの社会であり、各省庁に
象徴されるように、官僚が自分たちの身を守るために規制も解かず従来のやり方
を踏襲しているとすると、この先は大いに不幸になるのみか。
日本は全労働人口のうち製造業に25%、農業人口は4.7%もおりこの十年で
製造業の人口が10%をきらないと危ないとも指摘している。
ネクスト・ソサエティをもたらす社会の変化が、働く人たちの役割を規定していく。
すなわち、経済よりも社会の変化のほうが重大な意味をもつにいたった
ということである。

最終稿では、NPOが企業に代わって社会問題を解決する中心組織になると
予言している。またコミュニティの存在感が希薄だった都市部が濃厚な
コミュニティを形成するようになるだろうということも言っている。
そこでは、様々な社会のニーズを実現し、ある程度教育を受けた知識労働者
によるコミュニティの創造が可能だからである。
しかし、今の日本では、ホンの一部のNPOにその期待は持てるが、
ほとんどのNPOは行政の肩代わりとなり、単なる金のかからない行政の
下請けとしての存在である場合が多いし、企業と同じくこれからの社会に
向けて変わっていく気配はまだ少ない。これが現状である。

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