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2016.11.11

インターネットの次に来るもの、シェアエコノミーへの進化について

彼もはじめにで、言っていることを再掲すれば、以下のようであるが、個人的には
社会的な変化に最も影響を与えるのは、シェアリングであろうと思っている。

ネット化したデジタル世界は名詞(結果)ではなく動詞(プロセス)として生成し
(第1章 BECOMING)、世界中が利用して人工知能(AI)を強化することでそれが
電気のようなサービス価値を生じ(第2章 COGNIFYING)、自由にコピーを繰り返し
流れ(第3章 FLOWING)、本などに固定されることなく流動化して画面で読まれる
ようになり(第4章 SCREENING)、すべての製品がサービス化してリアルタイムに
アクセスされ(第5章 ACCESSING)、シェアされることで所有という概念が時代
遅れになり(第6章 SHARING)、コンテンツが増え過ぎてフィルターしないと
見つからなくなり(第7章 FILTERING)、サービス化した従来の産業やコンテンツ
が自由にリミックスして新しい形となり(第8章 REMIXING)、VRのような機能
によって高いプレゼンスとインタラクションを実現して効果的に扱えるようになり
(第9章 INTERACTING)、そうしたすべてを追跡する機能がサービスを向上させ
ライフログ化を促し(第10 章 TRACKING)、問題を解決する以上に新たな良い
疑問を生み出し(第11章 QUESTIONING)、そしてついにはすべてが統合され
彼がホロス(holos)と呼ぶ次のデジタル環境(未来の〈インターネット〉)へと
進化していく(第12章 BEGINNING)という展開だ。

1.シェアリングの記述より
この本の一文をもう少し深く考える必要がある。

「所有権の購入」から「アクセス権の定額利用」への転換は、これまでのやり方を
ひっくり返す。所有することは手軽で気まぐれだ。もし何かもっと良いものが
出てきたら、買い替えればよい。一方で、サービスの場合は、問題解決などで
作り手と消費者の間で常に会話しつづけなければならない。継続的な関係になる。
あるサービスにアクセスすることはその顧客にとって物を買ったとき以上の
深いかかわりとなる。

以下の集産主義についての記述は中々に面白い。

テクノロジー版社会主義を、自由市場的な個人主義か、あるいは中央集権的な
権威主義かとゼロサムのどちらかで考えるよりも、テクノロジーによる共有は
新しい政治のOSであり、個人と集団の両方を同時に向上させるのだと考える
こともできるはずだ。どこにも明文化されていないが誰もが直感的に理解している
シェアリングテクノロジーのゴールとは個人の自律性と集団が生み出す力を
同時に最大化することだ。つまり、デジタルによる共有は、昔ながらの常識
とはかなりかけ離れた、第3の方法だとみなすことが出来る。、、、
新しいOSに当たるものは、私有財産を認めない古典的な共産主義の中央集権的な
計画でもなければ、純粋な自由主義の自己中心的なカオスでもない。
そうではなく、分散化した人々の協調によって、純粋な共産主義や資本主義では
できない新たなクリエイションと問題解決のためのデザイン領域が出来つつある
ということだ。
「シェア」はデジタル社会主義では最も穏やかな形式だが、シェアすることはより
高いレベルでの共同作業の基盤となるものだ。それはネットワークそのものの
基本要素でもある。

250年余り続いた資本主義も、格差拡大が顕著になり、それが各国の不安状態
のベースとなり、既成政治や企業への様々な軋轢として動いている。EUからの
イギリスの離脱、アメリカ大統領選の混迷とその結果、など顕著な例が続出している。
シェアリングが新しい経済体制になっていくのでは、という有識の人々も多く
なっているという。だが、すべてがシェアリングの経済体制になることはないのであろう。
所有したという気持ちは人間の本質的資質であり、今後は、便利なもの、自身に
とって有益なサービスを使うことなど、うまく使い分けて行かれるのであろう。

2.シェアすることは
2010年に「シェア(共有からビジネスを生み出す新戦略)」の本が出たときに数回
のセミナーがあったが、的外れな質問、回答もあり、シェアの理解がいま一つ
であると感じた。また、各地域での相互扶助の仕組みは、多くの地方で存在していたが、
70年代、80年代と物質的な豊富さとともに、リアルの世界では一層薄れてきた。
それが6年経った今、インターネットがさらに社会の隅々へと沁みこみ始めた現在でも、
大きく変わったとは思えない。
当時「シェア」の中でインターネットを活用した様々なビジネスモデルの紹介をしていた。
リアルで存在した昔の常識的な共有的行動が、インターネットの圧倒的な広がりの中で
日本では、ビジネス、地域社会の中で、馴染んでいくのだろうか、そう思った。
だが、「シェアビジネス」としては急激な拡大を示しているものもある。
「シェア」の中からその動きを少し見てみたい。
シェアには3つのパターンがあるとのこと。
①プロダクトサービスシステム
所有よりも利用の考え方で、その製品から受けたサービスを利用した分にだけ支払う
コインランドリー、車、あまり使われていない私有物をシェアにより最大限に活用出
来る。
②再配分市場
中古品、私有物を必要とされていない人から必要な人へ配り直す、または交換する。
 服、本、などリユース、リサイクル、リペア
③コラボ的ライフスタイル
同じような目的を人のための時間、空間、技術など眼に見えにくい資産を共有する。
いずれも、参加メンバー、扱う量などを問わなければ、我々の身近にはある
サービスである。

また、これをビジネス化、社会適用するためには、幾つかの条件が必要とも言う。
①クリティカルマスの存在
 十分な消費活動を実現するためのある程度以上の数が必要であり、
 社会承認を得るためのイノベータ的な消費者を確保する必要がある。
②余剰キャパシティの活用
 車、自転車のような眼に見えるものに限らず、時間、スキル、空間なども
 その対象となる。
③共有資源(コモンズ)の尊重
 共通の興味を持つ人が価値を生み出しコミュ二ティを作るための新しい
 コンセプトが必要となる。公共サービスの再定義が必要でもある。
④他者との信頼
 程度の差はあるものの、見知らぬ誰かを信用しなければ成り立たない。
 参加者が同列で、共有資源を自己管理できることが必要要件でもある。

最近ではメジャーになった車シェアのzipcar、旅行者のためのカウチサーフィン、など
多数存在する。
日本では、先ほどの①から④の条件は満足している、と思う。戦後、やや希薄となった
③、④も基礎的な意識の中では、十分、存在する。そして、更に進む生産と消費をする
人口の圧倒的な減少は、シェア(共有)化を推し進める原動力でもある。情報流通の
速さと合わせ、実現のための外部環境は整っている。
だが、これらの条件だけでは新しい経済体制として十分とは言えない。

シェアエコノミーの先行事例としての紹介。
1)Airbnb (エアビーアンドビー、エアビーエンビー)
宿泊施設を貸し出す人向けのウェブサイトである。192カ国の33000の都市で
80万以上の宿を提供している。
このサイトの利用者は利用に際して登録して、本人のオンラインプロファイルを作成す
る必要がある。すべての物件はホストと関連付けられており、ホストのプロファイルに
は他利用者からのお勧め、泊まったことのあるゲストからのレビュー、また、
レスポンス・レーティングやプライベートなメッセージングシステムも含んでいる。

2)Uber (ウーバー)。
スマートフォンを活用したハイヤー・タクシーの即時手配サービスを提供する。
すでに世界42カ国、150ほどの都市で即時手配サービスを実施している。
すでに日本に進出済み。本格運用は2014年3月から台数限定、東京都山手線内側
の南半分限定でハイヤーの手配サービスを行っている。
ウーバーが新たに始めるのは、タクシーを手配する「uberTAXI」、ハイグレードタクシ
ーを手配する「uberTAXILUX」の2種類。ウーバーと契約したタクシーにはウーバーから
支給されるiPad miniと携帯電話が常備され、ウーバーユーザーからの呼び出しに対応
する。タクシー側のメリットも明快だ。空車で「流し」をしている際に顧客を獲得でき
るチャンスとなるため、稼働率を引き上げる効果を期待できる。
ウーバーは効率的なタクシーの運用に寄与するので、二酸化炭素の排出量を減らすこ
とにつながる。ウーバーはクルマだけのサービスではない。すでに米国の一部都市では
自転車で小さな荷物をデリバリーするサービスをやっている。
東京であれば、日本交通をはじめ、大手タクシー会社はスマホアプリを運用しているた
め、すでにスマホで迎車サービスを使っている人にとっては、あまり便利さを感じない
かもしれない。むしろ埼玉、千葉などの郊外や地方都市に出張した際に、ウーバーで
簡単にタクシーを呼ぶことができれば、かなり便利だろう。

3)Meetrip
Meetripは地元ユーザ(またはガイド)と旅行者をつなげるスマートフォンアプリ
である。
Facebook認証をしてサインアップしたら、地元ガイドは簡単にツアー計画を作
成できる。例えば、旅行者には知られていない古い街並みを探索する3時間のツアー、
地元で最も人気な麺を楽しむランチなどだ。旅行者はおもしろそうなツアーを見つけて
申し込むことができる。ガイドと連絡を取り合うことで、自分だけの完璧なツアーを練
り上げることができるし、値段を含むツアーの詳細は後から変更できるので調整の
余地もある。
Meetripは、アクティビティより「人」に焦点を当てている。
地元の人たちがMeetripを使う動機はいろいろ考えられる。遠くから来た旅行者との
交流や外国語の会話や練習、または地元の特別な場所を旅行者に紹介することなど。
これらはどれも、地元の人たちがアプリを最初に使い始める理由だ。
しかし時間が経つにつれ、Meetripが彼らの大きな収入源になる可能性がある。

4)KitchHike
ごはんを作る人(COOK・クック)とそれを食べたい人(HIKER・ハイカー)をつなぐ
日本発のウェブサービス。例を挙げると、COOKは「トルコに住むGulsahです。
地中海風のフルコースを用意しますよ」と登録。サイトを見て「Gulsahさんの
ごはんを食べたい!」と思ったHIKERが、日付などを指定して連絡を取る。
HIKERはごちそうになったあと、写真付きのレビューも投稿できる。
COOKは提供する料理に自ら値段をつけ(最低価格10ドルより)、HIKERはお代
を支払う。お金のやりとりはPaypalもしくはクレジットカードで行われ、
KitchHikeはその間から手数料をもらう仕組み。現在は英語版のみ提供で、
日本、タイ、カナダなど、13カ国からの登録があり、今後も世界中でサービス
を展開していく予定。
Airbnbでは「家」という元手が必要だが、KitchHIkeで必要なのは料理をつくる「人」
そのものであり、宿泊するのはためらわれる家でも、食卓を囲むことならずっとハード
ルは低くなると言う発想がある。


3.シェアエコノミーについて
現代の私たちにとって、もはや空気のような存在でもある資本主義とそれが作り出す経
済の営み。それが今、変革を迫られている。
そのことを描き出したのが、ジェレミー・リフキン氏による「限界費用ゼロ社会
 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭」であり、シェアエコノミーについて
の理解にはちょうど良いのでは、と思う。

この本では、その新しく生まれつつある経済体制を「シェアリング・エコノミー(共有
型経済)」と呼び、これからの人類史上で非常に大きなインパクトを与えていくものと
している。この新しい経済は、商品やサービスの生産効率が極限までアップしてコスト
がほとんどゼロに近くなることによって誕生する。つまり、資本主義経済の持っている
「生産効率を向上させ続ける」という性質によって、「シェアリング・エコノミー」は
生み出されるのだ、と言っている。

インターネットが登場して以来、ユーザーはほとんど無料で、情報通信の技術を利用
することができ、このようなテクノロジーの進歩によって合理化が徹底すると、限りなく
無料に近づいていく。そのような変化が、これから他のさまざまな分野にも起きていく。
だが、日本において「シェア」は、日本の経済状態における不景気とリンクされて語
られることが多いし、単なるビジネスモデルの1つとしての捉え方が主流だ。
だが、本書で想定されている「シェアリング・エコノミー」は、これまでの資本主義
の経済を形成してきたインフラとは、全く別のインフラに基づいて形作られていると
いう点がじつに重要になっている。その点において、日本における「シェア」をめぐる
議論とは大分開きがある。

その新しいインフラを作り出すのは、「IoT」(モノのインターネット)という。
「コミュニケーション、エネルギー、輸送」という、社会を形成する重要な3つの要素
の全てがインターネットと結びつき、新たなインフラを形作っていく。この新しい
インフラが、すぐに社会の基盤となるものでない。だが、今世紀の半ばくらいには、
社会の経済活動の大半がこのインフラに基づいて営まれるようになると、本書は
予測している。

インターネットはわれわれが思う以上に世界の経済や政治、そして社会へと大きな
変革をもたらしつつあるようだ。だが、その変革が良き結果となっていくのか、
さらに悪い状況を創り出すのか、私が消える頃にその結果が出るのかもしれない。

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