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2017年1月20日

2017.01.20

空き資源への想いその1

大分前から空き家、空き店舗、廃校、空き施設などを「資源」として捉えれば、
地域には豊富な資源がある。しかし、空き資源を活用している地域の事例はあるものの、
それが大きな動きになっているとは思えない。

「空き資源」の意味
「空き資源」とは、空き家、空き店舗、廃校、空き施設などについて、地域創生のため
の活用を前提に前向きに捉えている場合のことである。「廃校」は事実でも、地域にと
っては「廃校」は住民にとっては我慢ならない言葉であるということから、「空き資源
」と表現し、住民感情に配慮したものである。しかし空き物件を「資源」として捉えれ
ば、地域には豊富な資源が存在するというわけである。
だが、それは行政的な思考なのかもしれない。
空き家は、新築物件が増えているという状況だが、人々が空き家を活用してそこに住居を
構えるという状況は少なく、多くの地方都市のアーケード街がシャッター通り化している
のも変わっていない。資源は増えているのだが、それらが資源とみられていないのだ。

これは、我々の周辺でも同じ状況だ。
六年ほど前にこんな動きがあった。
大津市の志賀地域で企業の保養所が多数放置されている問題で、市は志賀地域の市街化
調整区域の開発許可基準を緩和する方針を決めた。
一戸建て用の分譲住宅地としての開発を可能にする内容で、用途転用が困難だった保養所
の住宅化を進めて廃虚化を防ぐ狙い。
 市によると、志賀地域には昭和40年代から製造業や金融機関などの保養所が建設され、
現在、琵琶湖岸などに約220施設が残る。そのほとんどが景気低迷やレジャーの多様化で
閉鎖されたままで、景観や防犯面から改善を求める声が地元住民から上がっていた。

 これまで保養所の土地は都市計画法の市街地化調整区域にあたり、用途変更が困難だった。
市は昨年4月から個人の土地所有者に限って住宅地としての用途変更を認めたが、転用は進まなかった。
 新たな開発許可基準では、志賀地域の保養所など既存建築物の敷地(2000平方メートル未満)で、
一戸建ての分譲住宅地としての開発を認める。個人の土地の所有者だけでなく、企業や
土地購入予定者も開発でき、道路の設置も可能にした。ただ、別荘や賃貸住宅は認めないとした。
そして、平成二十五年に地区計画ガイドラインが作られた。
だが、いまだ多くの保養所には人影も夜の灯もみえない。湖辺を歩くと芝生や庭園に囲まれた
瀟洒な建物が湖のさざ波を聞くかのように北小松までの何百棟も静かにたたずんでいる。
数十年前は休みにもなると、多くのサラリーマンが関西のあちこちからきていたのであろう。
経済論理が優先する企業では、行政だけの動きだけでは無理であろう。
地域の住民の想いがどういうような形に進められるのか、彼らを動かすきっかけや力を
どう見出すのか、よくわからない。

この保養所の活用は、10年ほど前に、行政や地域の不動産、それに私のNPOも加わり、
一部の地域ではあるが、比良山、琵琶湖の自然と小さいながら多く残る史跡を含んだ
計画を進めようとしたが、町の合併、景気の後退などで頓挫したことがあった。
成功事例の多くでは、具体的な成果が見えてくるのは10年以上が多い。「かっこの良い」
うたい文句はなくとも、地道に執念深く実施していくことが一番肝要なことなのであろう。
さらには、私の周辺でも空き家が目立ってきている。多くは高齢者がこの少し急な坂道や
つながりのない近所付き合いの中で、十分な生活が送れなくなってきているからだ。
結いという昔からのつながりとは無縁の形で移住してきた人々にとって、地域との
つながりをどううまくつけていくのか、今更ながらの課題だが、そろそろ真剣に向き合う
時期でもある。

全国の空き家数は約820万戸(2013年)で、総住宅数に占める空き家の割合は約14%
という驚くべき数字がある。7戸に1戸は空き家という県もある。
まちづくりは、国や自治体が主導するも十分な成果を上げてきたとは言い難い中心市街地
活性化策の問題などの行政主体ではうまくいかなかったことを反省として、「民間自立」
が必要なのであろう。空き家対策も同じだ。

宇沢弘文も社会的共通資本という中に、一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、
ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に
維持することを可能にするような社会的装置を意味する、と言っている。
また、社会的共通資本は、純粋な意味における私的な資本ないしは希少資源と対置されるが、
その具体的な構成は先験的あるいは論理的基準にしたがって決められるものではなく、
あくまでも、それぞれの国ないし地域の自然的、歴史的、文化的、社会的、経済的、技術的諸要因
に依存して、政治的なプロセスを経て決められるものである、としている。
われわれも空き資源をその地域の特性に合わせて考えていく必要がある。

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