« 寒さはやはり冬、立冬の季節 | トップページ | 西近江路紀行31 生活と文化 »

2018.11.22

西近江路紀行30 郷土の味

西近江路紀行30 郷土の味

この里の郷土料理は、琵琶湖と比良の山の恵み、そしてこの情景を
眼で味わえるのも1つの料理かもしれない。

山菜も湖魚も、季節によってその姿を変える。味も変える。
そこに人々の自然を愛し、人を愛する心が育まれる。多くの都人が
鬼門として感じながらも、ここを訪れ、歌に詠みこんでいったのは、
偶然ではなかった。春はやはり、春の七草と呼ばれる若芽の美味しさ
が料理に多くの彩りを添える。

七草粥の七草は「春の七草」をさし、今でも食べられている。
「せり・なずな / ごぎょう・はこべら / ほとけのざ / すずな・すずしろ /
これぞ 春の七草」。それらを簡単に、
(1) 芹(せり)水辺の山菜で香りがよく、食欲が増進。
(2) 薺(なずな)別称はペンペン草。江戸時代にはポピュラーな食材。
(3) 御形(ごぎょう)別称は母子草で、草餅の元祖。風邪予防や解熱に
効果あり。
(4) 繫縷(はこべら)目によいビタミンAが豊富で、腹痛の薬にも。
(5) 仏の座(ほとけのざ)別称はタビラコ。タンポポに似ていて、
食物繊維が豊富。
(6) 菘(すずな)蕪(かぶ)のこと。ビタミンが豊富。
(7) 蘿蔔(すずしろ)大根(だいこん)のこと。消化を助け、風邪の
予防にもなる。
もっとも、最近は少し里の奥に行かないと取れないこともあるそうだ。
七草はどれもてんぷら、和え物、煮付けどのような調理をしても、
美味しい。セリのごま和え、イタドリの煮つけ、筍とふきの煮つけ、
さらに筍ご飯、春の香りが口いっぱいに拡がっていく。
最近は中々手に入れにくくなったもろこ焼きは素焼き、酢漬け、田楽、
でもやはり素焼きかな。
わけぎはネギより細く3月ごろが美味しい。いかや油揚げなどを入れて、
ぬた料理にすると美味しい。「こしあぶら」は、「たらの芽」と並んで
好まれている山菜。独特の香りが季節を感じさせてくれる。
水田の苗は稲となり、麦が黄色く色づくころ。安曇川のやな漁が始まる
季節となる。捕れるのは「あゆ」、「ウグイ」いずれも川を上ろうと
する成長したもので大きめのもの。水を張ったトラックに「あゆ」が
ひっきりなしに運ばれて行く。「ウグイ」は「ハス」と同様骨が多い魚
で市場では人気がいまいちだが、塩焼きが抜群においしい。

夏は魚料理も多くなる。ハス魚田、小鮎の山椒煮、ごり煮、はすは
少し小骨が多いが骨切りをしてみそ炊き、煮付けにすると美味しく
食べられる。夏には欠かせない魚だ。小鮎は北小松などでは地引網
で捕っていたそうだ。山椒の辛味と香ばしさが何といえない。
てんぷらにするのもよし、ちょうど口に合う大きさが好ましい。
ごり煮はつくだ煮として売られている。夏場には欠かせない味だ。
なかよし豆という料理がある。小豆と大豆を別々に炊いて丁寧に
混ぜ合わせる。田植えの時期に皆で食べたことからこの名前がある
と聞いた。
初夏のビワマスは脂が乗っていて刺身すると一番おいしく食べられる。
ゴリは、かま揚げし、ポン酢で食す、琵琶湖の夏の風物詩。
7月から9月、7月頃の体長1㎝位の子どものゴリ、早く炊かないと
溶けてなくなるそうだ?薄い褐色を帯びた透き通るような体、
釜揚げ。琵琶湖名産の「ゴリの佃煮」、少し前までは一般お惣菜
だったけど、今は中々口に入らない。

秋は、ズイキ、ナス、大根や豆類、要するに何でも美味しいということだ。
山菜おこわは、こごめ、ゼンマイ、ユキノシタなどの山菜をニンジン、
ゴボウ、椎茸を混ぜてもち米で合わせたもの、秋の味覚がふんだんにある。
さらに、ヤマノイモはムカゴをムカゴご飯に、根を下ろしてイモ汁
にするとその粘り気の強さに驚くほど、飯にかけたりすると美味しく
滋養のある味を味わえる。食用菊はてんぷらや和え物としても美味しく
食べられる。ズイキはしのだ巻きにすると一段と美味しさを活かせる。
この時期のビワマスはあめのうおご飯として炊き込んだ身をほぐし、
ご飯と混ぜて美味しく食べられる。
みょうがもこの時期、熱湯をかけると淡いピンク色に変身する。
みょうが寿司として美味しい。

冬もまた別の味がある。鮎の幼魚の氷魚(ひうお)の細く白くその
淡白な味、ゆず酢やじゅんじゅん鍋で味わうのもよい。
又、いさざも冬の小魚としててんぷら、豆との炊き込み、煮付け、
水炊きに登場する。冬瓜もあっさり味でスープにしたり、油揚げ
との煮込みなどでカボチャと同じように食べることが多い。
この地で作られた味噌もその独特の味で比良味噌として今も
作られている。

料理はその土地で代々受け継がれてきた文化だ。その風土を
背負ってもいる。おばあちゃん、母親、そこに土地の思い出が
詰め込まれている。平均化され、平板化する食では人の心も育たない。
比良山麓の幸、琵琶湖の幸、共にうまく組み合わせ様々な料理
が里人に培われてきた。このような郷土の料理を受け継ごうと
頑張っているグループもある。

先日食べた料理グループの作った料理が浮かんできた。
今回は秋の収穫物が満載だった。落花生、カボチャ、ズイキ、アズキ、
ダイズ、シソ、もち米、等々すべて地元産。緑、黄色、褐色様々な
彩がテーブルに並び、野の香りを放っている。目まぐるしく立ち働く
料理会のメンバーの手で、それらが、落花生しょうゆおこわ、
カボチャ羊羹、干しズイキの巻き寿司、鶏つくねバーグ、なかよし豆、
シソの実つくだ煮、ズイキのすみそ和え、カボチャスープ、きゅうりの
贅沢煮、に変身する。
さらには前日作ったという自家製パンもあった。特に落花生おこわは
秋の味がじっくりと口の中を支配し、しばしの幸せに包まれた。
その時の櫛を梳いた雲と比良の山並みのまだ深い緑が思い出された。
またある時は、「わらびご飯、ビワマスコンフレーク揚げ、かぼちゃ
スィーツ、きんぴらごぼう、冬瓜スープ、紫蘇の実つくだ煮、ズイキ
のしのだ巻き、カボチャのてんぷら、食用菊おひたし」、琵琶湖の
青より青い空に包まれ育った里の実りが立ち並び、その香りと彩に、
思わず感謝!!それぞれに工夫も。例えばわらびご飯は少し味を
薄目の女性向き、きんぴらごぼうは一番人気の方のやり方を見習って
作りましたよ。味は秋の空に漂い浮かぶ気分で、満足満足の出来。

メンバーも様々な思いがある。共通した思いは、自然豊かな志賀
の味を家族に食べて欲しいと言う。
「姑として、嫁にこの地域の味を伝えたかった」、
「母親として子供たちに地域で取れる食材で手造りの料理を
食べさせたい」、
「琵琶湖の魚介類を食材にした料理をもっと知りたい」、
「地元のお年寄りからこの地域の食材を使った料理を教えて
もらうのが楽しい」、
「季節に応じた食材を使って四季を感じるのが楽しみ」、
「外から来た人間にとって豊富な湖魚の料理は参考になる」、
「冷凍食品や食材になれた若い人に季節ごとの生の食材の良さ
を知って欲しい」、
「メニューを決める時、レシピもないのに幼い頃食べた記憶だけ
から料理を再現できた時、”化石を掘り起こした気分”になる」、
「昔、おばあさんが食べさせてくれた懐かしい味が今の若い世代に
食べつながれることを信じて活動をしている」
など等。
そして、「野菜類は自分で作ったものをその日に持ち寄り、魚介類は
その日に捕れたものを使う事が大事であり、これは会の発足当時
から守るべきこととして大切にしている」との言葉であった。
まさに、郷土の味だ。

« 寒さはやはり冬、立冬の季節 | トップページ | 西近江路紀行31 生活と文化 »

人生」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 西近江路紀行30 郷土の味:

« 寒さはやはり冬、立冬の季節 | トップページ | 西近江路紀行31 生活と文化 »

最近のトラックバック

2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ