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2019.03.01

2019.03.01

西近江路紀行34 郷土料理を味わう

西近江路紀行34 郷土料理を味わう

琵琶湖には、素晴らしい湖魚に対する食文化があり、これを支える食材としての
魚が生息している。まさに琵琶湖にしかない独特の食文化でもある。
全国、画一的な食文化と冷凍品による土地固有の味わい文化の衰退が進んで
いる中、その土地にしかない、しかも、その土地に行かなければ味わえない食べ物など、
稀な存在である。琵琶湖の湖性が生み出した、食文化の発信は、湖の湖と共に
生きる誇りを、外向けには琵琶湖に対するあこがれを醸しだすことになる。
更には、地域の野菜とのコラボレーションも郷土料理として多い。

琵琶湖では、畑の産物と琵琶湖の産物を併せた料理が多数伝えられている。
よくあるのが、スジエビと大豆を甘辛く煮き合わせた「エビ豆」であろう。
この他に、大豆と魚を炊き合わせた料理には「イサザ豆」「ウロリ豆」「ヒウオ豆」等
が広く食されている。米どころ近江では、水田の畔に豆を植えることが広く行われていた。
「**豆」は、この豆と、琵琶湖の魚が合わさり生まれた料理なのだろう。
この食文化は、琵琶湖の漁師の多くが農業にたずさわり、農民が漁業を行うという
伝統に根ざしている。更には、野菜との組み合わせでは、「ジュンジュン」と称される
料理が広く食されている。「ジュンジュン」とは「すき焼き」のことである。
「牛のジュンジュン」は無論「カシワのジュンジュン」のような肉類の他に、ウナギ、
イサザ、ナマズ、コイ等々、多くの湖魚がジュンジュンとして食され、多量の野菜と
共に煮込まれる。
また他の地域に比して、琵琶湖では、コアユの仔魚である「ヒウオ」、「ビワヨシノボリ」
の仔魚である「ウロリ」、ハスの稚魚である「ハスゴ」等が盛んに捕られ消費される。
さらに、イサザ、スゴモロコ、コアユのような小型の魚も盛んに漁獲され利用
されている。このような小型の魚を集中的に利用する食文化も、琵琶湖の特徴であろうし、
伝統的な調理技術に「ナレズシ」がある。塩漬けした魚を御飯に合わせて乳酸発酵させた
食品で、現在の日本人が愛してやまない「スシ」の原型の食である。
そしてその代表がフナズシである。 
以上のように、琵琶湖には、実に多様な湖魚に対する食文化が生まれ、継承され、
商品として売られたり、一般家庭の郷土料理として生きている。
琵琶湖八珍は湖魚文化を知ってもらう一つの手段でもある。


琵琶湖八珍
琵琶湖にはこの豊かな湖の魚を扱った特有の食文化がある。
琵琶湖にいる約80種の魚が生息していると言う。その湖魚のブランド
「琵琶湖八珍」に、ビワマス、コアユ、ニゴロブナなど8種の魚介類が選ばれた。
ハス、ホンモロコ、イサザ、ビワヨシノボリ、スジエビがある。
選ばれた8種のうち5種が琵琶湖固有種で料亭から家庭料理まで広く親しまれている。
なお、ウナギ、アユ(大アユ)、シジミなども料理の素材として使われている。
この志賀周辺でも和邇や北小松、さらに堅田の港では、数が少なくなったものの、
これら八珍のいくつかを今でも獲っているので、湖魚の専門店もあり、様々な料理で
それを味わう事が出来る。
また、琵琶湖八珍の中で、「コアユ」「イサザ」「ビワヨシノボリ」「ハス」
「スジエビ」などは、佃煮(甘露煮)などとして、全国に流通している。
「鮒鮨」の材料としての「ニゴロブナ」は加工品としても有名でもある。
今では、「ニゴロブナ」や「ビワマス」に「ホンモロコ」は、滋賀県に住んでいても
滅多に口に入らない高級魚になっている。

少しこれらを紹介すると、
1)「ニゴロブナ」は鮒鮨(ふなずし)に使われるが、近年は産卵場所の減少や
ブラックバスやブルーギルなど外来魚の食害によって稚魚が食べられ漁獲高
は激減している。鮒鮨はなれずし(現在のお寿司の元)であり、その匂いで受けつけにくい。
現に滋賀県に来て求めたものを、途中駅で開けて「腐っている」と捨てられたという、
笑えない話がある。食べ慣れれば、日本酒にこれだけ合う肴はないと思うほど、
深みのある味をしているが、贈答用だと30cmほどの子持ちで1万円ほどと結構高い。
2)「ビワマス」は「ヤマメ」の陸封タイプで、海に出ると「サクラマス」になる。成魚になると
70cm以上になり、その刺身はトロのように舌に絡まる味わいがある。今が最盛期であるが、
「ニゴロブナ」と同じく、中々漁で確保するのは、難しく養殖されたものが主流となっている。
今日はあるところで久しぶりにビワマスを食した。刺身は相変わらず美味しかったが、
燻製風にするとまた違う味になると言う。
3)「ホンモロコ」は京料理に用いられる高級魚になっており、琵琶湖の貴婦人
の名に恥じことなく、その白焼きは絶品と評判である。
昔は、バケツにいっぱい釣れていたが、外来魚の食害のため最盛期の1/10以下
になっているとのこと。
4)「イサザ」は、琵琶湖固有のハゼの一種で、昔からなぜか獲れなくなる時期がある
ことから、漢字も「魚」偏に「少」と書いて「いさざ」と読ませている。
佃煮の他「じゅんじゅん」という鍋で食べられることが多く、白身でありながら濃い味付け
に負けない独特の風味があり、湖魚のなかでもファンが多数いる。
イサザ漁は、主に冬季に沖(ちゅう)びき網で行われる。これは、長いロープの先端に
取り付けた網で底を引きずり、イカリで固定した船へ巻き上げるという、底びき網の一種。
湖底から獲られたイサザは、水面に出ると水圧の関係で、お腹を上にした状態で浮き
上がってくるので、それをすばやく網ですくいとる。
一時はまるでとれなかった時期があり、「幻の魚」といわれていたほどであり、
ここ数年で少し漁獲が盛り返してきた。
イサザは、大豆と煮た「イサザ豆」や佃煮のほか、すき焼き風に煮た「じゅんじゅん」と
いう料理でよく食べられる。「ネギと油あげ、麩を入れ、醤油と砂糖で甘辛く煮る」のもよい。
「イサザは、白身の淡泊な味でおいしく、特に秋から1月頃のものは、骨も柔らかくておいしい」
と言われている。
5)氷魚(ひうお)
冬だけにとれる特産品であり、氷魚(ひうお)と言われる鮎の稚魚で、大きさは3~6cmくらい。
体が氷のように透き通っているため、「氷魚」と呼ばれている。氷魚は、釜揚げにするのが一般的。
「しらす」のように熱を加えると白くなり、身はしっとりしていて、舌触りは滑らか。
そこはかとなく鮎とわかる繊細な味わいは、琵琶湖の冬の味覚として愛されている。
釜揚げのほかにも、かき揚げや佃煮などでも食されている。
氷魚が主に水揚げされるのは、12月から3月頃まで。透き通っている氷魚は、
やがてウロコができ、体型も変化し、5月頃には小鮎(コアユ)と呼ばれる
ようになる。以前に近くの和邇漁港に行った時は、料理店などの専門業者に交じり、
近所の主婦数人が氷魚漁から帰る船を待ちわびている。自宅で釜揚げにするのだそうだ。
湖近くに住む人だけの贅沢な楽しみであろう。
漁船が帰港し、甲板に設けられた水槽の中には透明な氷魚が元気に泳いでいる。
すぐに漁港でハカリにかけられ、次から次へ、キロ単位でまたたくまに引き取られていく。
30年くらい前とは比べ物にならないそうだ。当時は、船いっぱいにとれた」と言う。

郷土料理の色々
湖魚や山菜が素材として多く使われるが、四季に沿って、少し上げて行こう。

春は、モロコ焼き、セリのごま和え、わらびの酢の物、鮒ずし、手長エビのかき揚げ、
シジミと大豆煮、イタドリの煮つけ など
夏は、はず魚田、小鮎の山椒煮、ゴリ煮、なかよし豆、小鮎のてんぷら、みょうが寿司 など
秋は、エビ豆、あめのうおご飯、むかがご飯、干しズイキとエビ煮、ぜいたく煮 など
冬は、いさざ煮、いさざのなれ寿司、カボチャのゆり根あん、かち豆、氷魚のゆず酢、鴨とクレソン鍋 など
いずれも湖魚や山菜、野菜を上手く組み合わせている。

山菜について
万葉集にはいろいろな山菜・野草が歌われている。昔から食材として身近にあったのであろう。
山上億良の「瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ‥」などは有名ですが、
この他にも「醤酢に 蒜搗き合てて鯛願う 吾にな見えそ水葱の羹」
「春日野に 煙立つ見ゆ乙女らし 春野のうはぎつみて煮らしも」などの歌が
ある。蒜はニンニクやノビルなどのことで、うはぎはヨメナ。
さらに百人一首には「かくとだに えはやいぶきのさしも草 さしも知らじな 燃ゆる思いを」
(藤原実方朝臣)といった歌もあり、さしも草とはヨモギのこと。
山菜は日本の伝統的な文化であり、その由来として万葉集の中にもうかがい知ること
ができる。そして歳月を経ても、この地域には多くの山菜や野草が里山周辺に多くあり、
食文化の一端を成している。
フキ、ミツバ、セリ、ワラビ、ウド、ヤマノイモ、サンショウ、ジュンサイ、ヨメナ、アザミ、
ギシギシやイタドリ、アザミ、チシャ、ニガナ、カラシナ、ワサビ、ナズナ、ゴギョウ、
ハコベ、ノカンゾウ、コゴミ、ゆきのした、たらの芽、みつば、日本すみれ、ゼンマイ などがある。
単独の調理としても和え物が多くあり、酢味噌和え、マヨネーズ和えなど色々と。
一番はてんぷらであろう。
多くは茹でて下処理後、冷蔵庫で冷やし、お浸しに カツオブシをまぶし醤油をかけると
サッパリ味で美味しい。赤味噌・砂糖・酢を合わせ良くかき混ぜたタレなどもあるようだ。

「西近江路紀行30の郷土を味わう」と合わせて読んでもらうと湖魚のことを含めて
もう少し深く感じられるかもしれない。

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