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2019.03.04

第2節気雨水(2月19日から3月4日ごろ)そろそろ春?

2節気  雨水(2月19日から3月4日ごろ)

既に3月になる。みぞれや小雪の多かった数週間前に比べると雨の降る日
が多くなってきた。確かに季節は雨水へと移りつつある。
まだ寒い日もあるが、少しづつ暖かさの断片が周りを覆うような日も
増えてきた。湖面の色も暗い群青の色から少しずつ淡い緑のまざった
青へ変化して川面もまた軽やかな幾筋もの線を描きながら流れて行く。
梅の蕾は緩み7分ほどまでに咲いている。だが、暁春の風は冬の冷たさ
を持って庭の木々を縮ませている。
目の先には、灰色の空を後景にしてこれも灰色の比良山が幾筋かの雪影
を乗せて佇んでいる。まだ比良の山並みは冬の衣装をまとっているが、
春の心地よさにその雪影を消しつつある。
ある朝、モノクロ一色の世界に少し赤みが差し始め、天空を覆いつくしている
雲をこじ開けるが如く僅かな朝陽がその峰を照らす。薄灰色の中に春の暖かさが
忍び寄り、冬の重さも軽くなる。
メジロであろうか、その尾を小刻みに震えさせながらピンクに染まり始めた
梅の木を縫うように飛び跳ねる。小鳥の飛ぶ空に薄き羽衣のような雲が
ゆっくりと湖の方へ流れて行った。春を含んだ弱い風が鳥たちを包むように
頬を撫ぜ、左から右へと吹き抜けていく。

季節をよく現しているのに、二十四節気と言うのがある。
雪が雨になり、氷がとけて川へと流れだす頃となり、街ではあちらこちらで
梅の花が咲き、風景を薄紅色に染める。春の香りが漂い始める。
二十四節気は立春から始まるのだが、今は二番目の雨水である。
その最後の候に、草木萌動(そうもくめばえいずる)2月28日頃、
草木が芽吹き始める頃とある。催花雨、草の芽が萌え出すことを
「草萌え」(くさもえ)とも言い、また、木々についても木の芽起こし、
木の芽萌やしとも言う。
春の七草や菜花、多くの山菜がその色どりを増すころでもある。
フキノトウ、ヤブカンゾウ、ギシギシ、ノビルなどの和え物、てんぷらの
顔が眼にちらつく。

二十四節気は、中国の戦国時代の頃に太陰暦による季節のズレを正し、
季節を春夏秋冬の四等区分にするために考案された区分手法の一つで、
一年を十二の「中気」と十二の「節気」に分類し、それらに季節を表す
名前がつけられている。
なお、日本では、江戸時代の頃に用いられた暦から採用されたが、
元々二十四節気は、中国の気候を元に名づけられたものであって、
日本の気候とは合わない名称や時期もあるとの事。そのため、それを
補足するために二十四節気のほかに土用、八十八夜、入梅、半夏生、
二百十日などの「雑節」と呼ばれる季節の区分けを取りいれたのが、
日本の旧暦となっている。
季節区分(各季節の始期)立春・立夏・立秋・立冬で、気温では、
小暑・大暑・処暑・小寒・大寒となる。気象では、雨水・白露・寒露・
霜降・小雪・大雪となり、物候の表現では、啓蟄・清明・小満。
さらに、農事では、穀雨・芒種となる。
特に 雨水、啓蟄、小満、穀雨、芒種には納得感がある。草花の成長、
農作業の動きが何と無く伝わってくるからだ。
冷雨が少しづつ暖かさを増し、虫や人々に次への活動の源となっていくのだ。

東北を旅した柳田國男の文章からは、春の情景がよく伝わってくる。
「ようやくに迎えたる若春の喜びは、南の人のすぐれたる空想をさえも
超越する。例えば、奥羽の所々の田舎では、碧く輝いた大空の下に、
風は柔らかく水の流れは音高く、家にはじっとしておられぬような日
が少し続くと、ありとあらゆる庭の木が一斉に花を開き、その花盛り
が一どきに押し寄せてくる。春の労作はこの快い天地の中で始まるので、
袖を垂れて遊ぶような日とては一日もなく、惜しいと感歎している暇
もないうちに艶麗な野山の姿は次第にしだいに成長して、白くどんより
した薄霞の中に、桑は伸び麦は熟していき、やがて閑古鳥がしきりに
啼いて水田苗代の支度を急がせる」(雪国の春より)
この地は東北ほどの春の喜びは感じえないが、日本の原風景を求める中
では、水に対する関心、水への尊敬の念は、「日本文化の一つの特色」
であることが肌に強く伝わる。
特に、このあたりは比良山系の水が湧き水として流れ出し、それが細い水糸
をなし、小川のせせらぎと形作っていく。その水が幾重にも重なりあい
ながら、あるものは神社の若水となり、また住む人の生活水となりやがて
琵琶湖に注ぎ込む。以前は、かわとと呼ばれる水の引き込みが各家の横に
しつられ、様々に生きる糧に使われた。
石畳の村道を歩いていると、懐かしい音が聞こえてきた。
あかりをつけましょ ぼんぼりに お花をあげましょ 桃の花 五人ばやしの 
笛太鼓 今日はたのしい ひな祭り お内裏様(ダイリサマ)と おひな様
二人ならんで すまし顔 お嫁にいらした ねえさまに よく似た官女(カンジョ)
の白い顔、、、、、。
屋根瓦のある二階建ての古風なたたずまいの家からそれは流れ出ていた。
雨水、それはひな祭りの季節だ。歌の文句はともかくそのノンビリとした
テンポに合わせて少しづつ春が歩み寄ってきている。
「雛人形は、宮中の殿上人の装束(平安装束)を模している」そんな言葉
がふと思い出される。その時代から都人に愛された地、琵琶湖と比良山系の
自然が織りなす絶景は今も変わらない。

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