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2019.05.04

2019.05.04

緑滴る、穀雨のころ

第6節気 穀雨(4月20日から5月4日ごろ)

里が緑の中に沈んでいる。穀雨、「雨が降って百穀を潤す」という。
この頃は、暖かな雨が降り田畑を潤す。比良の山、へばりつくような
白きものが消えた。雨の多い日が続いた。

ふと、春に降る雨の呼び名を思い起こした。
降ったり止んだりと定まらない雨、「春時雨(はるしぐれ)」。
しとしと静かに降る雨は「春雨(はるさめ)」、反対に激しく降るにわか雨を
「春驟雨(はるしゅうう)」という。花の開花を促すように降る雨、
「催花雨(さいかう)」、菜の花などの花々が咲く、「菜種梅雨(なたねづゆ)」。
色々とあるものだ、数日前は催花雨か、白、ピンク、黄色、彩は里を潤し
艶やかな緑に映えている。紅色の大輪の牡丹、雪を乗せたような雪柳、
白やピンクの枝花のはなみずき、朱色に燃え立つ垣根の紅花トキワマンサク、
マサキの垣根が黄緑色から黄金色に変わり、小粒の黄色い花のキソケイが
重なり合い家並みを黄色の点描で仕上げている。庭の片隅、紫のとんがり
帽子の形が崩れ大きなピンクの花弁を陽に向けたシャクナゲがいる。
緑にも、薄緑、黄緑、深緑、浅黄、様々な緑が彩なしている。

湖辺の葭(あし)が芽吹き始め褐色と薄い緑を混ぜ合う。
葦牙(あしかび)がその鋭角な若芽を牙のように見せて水面から顔を出す。
タンポポはすでに太い薄緑の茎から黄色の花を落としている。
黄色の花びらは白い骨組みの球体に変身し、茎にその身を預け、
乗って風にその旅立ちが来るのを待っている。細い道がどこまでも続き、
空の青さに混じり込んでいく。白く薄い布端の雲が道と土手と空が
織りなす水平線の上を流れる。比良の山並みは薄緑、黄緑、深緑と
様々な緑が綾を作り、ゴブラン織りの姿を見せている。
秋の紅葉に合わせたゴブラン織りがよく知れているが、春のこの情景
も素晴らしい。山の頂から中腹へさらには里へと緑が様々な色合いを
見せ、すべてに生命の光が見えている。

比良の天満宮のまつり、この季節集落のあちらこちらで春の祭りがある。
木戸や比良、小野、春の心地よさが神輿を担ぐ声とともに、集落を一層
わき立たせていく。社叢の奥に隠れ住んでいたような気分の神輿
がその晴れやかな姿を見せるのもこの時期だ。金箔に映える光が、
ハレの空気をさらに高めるかのように四方へとその金色を差し込んでいる。
法被姿の若者を先導する袴姿の古老たち、日頃の風情とは違い、
少し緊張を高めながらゆっくりと石畳、アスファルトの道を進んでいく。
それを見ようと子供連れの若い夫婦や老人たち、周囲を駆け巡る子供たち、
それぞれの喧騒を立ち込めて神輿の一団を見送る。

家々では、祖母から受け継いだ家の味で鯖寿司が手際よく作られていく。
横では、イタドリ、ユキノシタ、コゴミ、タラの芽、せり、おおば、春菊、
よもぎ、ワラビ、よめな、三つ葉等春の旬菜がいっぱい置かれ、
てんぷらになる準備中だ。さらには、おひたしや、ゴマ和え自然の恵みを
舌と目で味わえる季節なのだ。奥では、朝採ってきたよもぎをつぶし、
混ぜたよもぎの草餅が何10個となく並んでいる。
竹林では筍が収穫の時期を迎える。筍が元気な姿を見せる。筍の魅力は、
春を感じる独特の香りとコリコリとした独特の歯応えであり、それを
楽しむ方法は郷土料理にはたくさんあるが、中でもよく親しまれているのが
佃煮。細かく刻み、木耳(きくらげ)や椎茸などと混ぜ合せることで、
食感が更に引き立つ。その味は、食べたものでしか分からない。

立夏直前には、八十八夜がある。「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の忘れ霜」
と言う言葉もあるが、それは気温が下がって遅霜(晩霜)が降り、
農作物に被害を与えることを警戒した言葉だ。八十八夜が過ぎれば、
遅霜が降りることは少なくなり気候も安定することから八十八夜は
昔から農作業の目安とされ、農家ではこの頃から本格的に農作業に
とりかかる。今は少なくなったが、野村地域ではお茶が育っていた。
やはりこのころの一番茶はその香りとともにゆっくりと味わいたいものだ。
八十八夜のお茶は昔から長寿の薬とも言われた。

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