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2022.12.06

ルナの死はいまだ消えない

死は突然に来る。
ルナが死んでから絶えずこの言葉が脳裏を亡霊となって徘徊していた。
悲しみを乗せたまま季節はめぐる。

大雪のころ、大根が美味しさを口に運ばせる。
比良の初冠雪はあったものの雪を見るにはまだ少し先のようだ。
犬仲間が花を手向けてくれた。ルナの優しさに心が揺れ
小さな雫が畳にごく小さい水溜まりを作った。
世は丸さが急速に失われ、ギザギザの心根が横行しているが、
ここでは違った空気が流れている。
枯れ色が眼の届く限りを占めている。分厚い常緑の葉も弱弱しさが
垣間見えた。
そのような外の変化にためらい、火葬した。

遺骨
まだ暖かい灰色の骨が無造作にばらまかれていた
白い手袋が手際よく細片化した骨をより分ける
そこに死のすべてが這いまわっている
カタンと無機質な音の連続
白と黒毛の逞しい体はただの塊り
何の変哲もない石ころのような骨の集まり
取り囲む人に涙を誘う
幾筋もの滴りが床を濡らす
それぞれの思いが一滴に凝結し
濃度の高い
それは純粋な塩水でもあり
心のため息でもあり
彼とのかかわりあった情景の無数のつながりでもあり
永遠に続く心の痛み
遺骨
それは彼と過ごした唯一の証
上目遣いの可愛い瞳
苦しさを見せまいとするいじらしさ
宙を飛ぶようなかけっぷり
思い起こせば10年の歳月が過ぎていた
肌の暖かさ
生ぬるい舌の舐めっぷり
振り返り催促する仕草
一枚一枚の映像が駒落とし
そのたびに心が跳ね飛び
済んだ青い空に私は飛翔する
でもそれは夢想になった
儚き幻想に最後まで付き合わねばならない
それは苦悩か感嘆か

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